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四刀流の最強配信者 ~やり込んだVRゲームの設定が現実世界に反映されたので、廃止予定だった戦闘職で無双します~  作者: 木塚 麻弥
第3章 最強配信者、学園で無双する

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第122話

 

 ハヤテ式ダンジョン攻略講座ハードモード2日目。


「今日は女神が乗っ取ったウンディーネを再現して、それと戦ってもらいます」


「それってもしかして」

「大技3つも使ってくるやつ?」

「うん」

「いや、それはねーよ」

「いくら何でも無理ゲーだろ」

「流石に死ぬっす」


 クラスメイトたちからは嫌だという声が上がるが、颯はそれを無視する。


「でもせっかく東雲学園の技術者さんたちに頑張って再現してもらったんだから、みんなも戦っておこうよ。大丈夫。俺たちならきっと倒せるさ!」


 そう言って彼は強引に戦闘を開始してしまった。



 ──***──


 ハヤテ式ダンジョン攻略講座ハードモード5日目。


「また、この日が来ちまった……」


「定期的にハヤテ式の講座がくるのが精神的にヤバい」


「俺、今日は学園に来る気がなかなかおきなかった」


「今日の敵はなんだろうね」


「結局2日目の女神入りウンディーネ戦が一番きつかったかな」


「え、マジ? 俺は初日が地獄だったな」


「いやいや。3日目の初期装備と初期スキル縛りで第3等級ダンジョンのモンスターと戦わされたのヤバかっただろ」


「それを言ったら昨日の装備を他の人と入れ替えるのも大変だったじゃん」


「でもアレは他のみんながどんなこと考えて戦ってるのか理解するきっかけになったっす。良い経験だったなーと」


 週に2回のペースで開催されるハヤテ式ダンジョン攻略講座ハードモード。


 他国のダンジョン攻略部隊がなかなか第5等級のボスを討伐出来ずにいるため、既に第6等級の中盤くらいまで攻略している颯たちにはまだ余裕があった。そのため今は仲間を強化するのに時間を割いている。


 あまり急いで攻略しすぎるのも良くない。高難易度ダンジョンに入る人が少なければマーケットに素材が流れず、最前線で戦うための装備を作ることが出来ない。自分たちで素材集めをするのが基本だが、強い装備をより強化していくには大量の素材が必要になるのだ。



「みんな、おまたせー」


「お、来たな颯先生」

「今日の敵はなに?」

「縛り系じゃないと嬉しい」


「本日の相手は……。偽ハヤテ、Ver.3(バージョン スリー)です!」


 訓練場の床が開き、泉のダンジョンで出現するのと全く同じ見た目の偽ハヤテが現れた。


「バージョン3?」

「え、1と2は?」

「見た感じは同じだよね」


「Ver.1は俺が初めて戦ったやつ。1年半くらい前の俺の動きをトレースした強さ。Ver.2は俺が戦い方を教えたら強くなっちゃった後のやつ」


「……ん? じゃあVer.3って」

「も、もしかして」

「朧を使えるとか言わないよな?」


「違うよ」


 颯の回答にクラスメイト一同は安堵した。


 ただでさえVer.2の偽ハヤテが強いのに、本家が使う四刀流の奥義まで修得した個体が相手ではどう足掻いても勝てる気がしない。


 直人や龍之介たちはホッとしていたが、玲奈だけは嫌な予感がしていた。


 考案者が()()颯なのだ。

 強くなるためなら何でもする男。


 今の彼は自分が強くなることだけではなく、仲間も一緒に強くしていくことに喜びを感じているのが良く分かる。


 そんな颯がVer.2の偽ハヤテとVer.3を明確に区別したということは、戦力も段違いになっているに違いない。


 玲奈のその予想は、見事的中する。



「Ver.3の偽ハヤテは朧だけじゃなくて、闘気解放も使ってくる」


「……は?」

「えっ」

「と、闘気解放を?」

「朧だけじゃないって、朧()使うの?」


「もちろんそう」


 その時、偽ハヤテが剣を握った右手を頭部の前に持ってきて、その手首を左手で抑えるポーズをとった。


 赤いオーラが偽ハヤテの周りを舞う。


「おい、マジかよ」

「それはダメだろ」

「あぁ。今日私死ぬんだ」

「涼香、諦めないで!!」


「さぁみんな! 死ぬ気で頑張ろう!!」



 ──***──


 偽ハヤテVer.3と死闘を繰り広げる颯たちをスミスが遠くから眺めていた。


 彼のそばには3Dモニターがあり、玲奈とよく似た姿をしたAIの愛奈が3D映像となってスミスと一緒に訓練の様子を見ている。


「いやぁ。颯君は鬼だね。あんな訓練をガールフレンドを含む仲間たちに強制することができるなんて」


「ご本人は現実のダンジョンで仲間が怪我を負わないようにやっていると言っていますが……。彼の表情を見る限り、アレは(たの)しんでやっていますね」


「ちなみにみんなの精神状態はどうかな? 流石にSAN値削られ過ぎじゃない?」


「その点はご安心ください。こちらが皆様の正気度、通称SAN値を数値化したものとなっています」


 モニターに表示された各個人のパラメータをスミスが確認する。


「えっと。これは、全員が100になってる? SAN値って、マックス99じゃなかったっけ?」


「国内、いえ世界最高峰のAIと自負するこの私が皆様の精神状態を分析したところ、そのような結果となりました。玲奈様を含む全員が、颯様が課す地獄の訓練をいくら受けても正気度は全く減らないということです」


「龍之介君とか慎吾君は授業はじまる前に暗そうな表情をしてたよ」


「それは演技です。教室に入る前、ニヤついていたのを確認していますので」


「……てことはさ、実はみんな颯君の特訓を楽しみにしてるの?」


「えぇ。そうなりますね」


 颯の訓練を受ける度、確実に強くなっている実感を得られることに気分が高揚しているのだ。彼は今の自分に足りないことを教えてくれる。アドバイスに従えば新しい境地に至れる。


 ただなんとなく地獄の訓練を喜んで受けるのはヒトとしてダメな気がしてしまい、全員が嫌がる演技をしていた。



「みんな変態なんだね」


「颯様はその強さも思考も、いろんなところで人外だと言われています。彼と同じSランクになった方々も世間と同じように颯様を人外だと言います。同格内でも圧倒的な差があるのだと。しかし私は、偽ハヤテを少人数で撃破できてしまうような人は既に頭のねじが数本吹き飛んでいるのだと考えています」


 颯だけが特別ではなかった。


 彼と同じ教室に集った8名も、颯と同じように正気度のパラメータがぶっ壊れていたのだ。

 

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i889366
マガポケにて連載中!
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