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「慎太郎って言うんだ!じゃあしんちゃんね!俺はゆう、よろしくな!」
小学校2年の頃転校した先の学校で、短髪で元気そうな男子が僕にそう言った。初めての転校で不安だったけど、すぐにゆうが話しかけてきてくれて僕はすぐ馴染むことが出来た。ゆうとは家が近く、それから毎日遊んだ。比喩ではなく、本当に毎日。カードゲームをしたり、テレビゲームをしたり、外で遊んだり。カードゲームは同じくらいの強さで、テレビゲームは何をやっても僕のほうが強かった。ゆうの家はゲームは1時間までというルールがあって、うちには制限はないからいつもゆうはうちに遊びに来た。64のカスタムロボとかマリオテニスをしたり、ファミコンでボンバーマンをしたり、ゲームキューブでマリオカートをしたり、wiiでスマブラをしたり。色んなゲームをたくさんした。どのゲームをしても、だいたい僕が勝って、ゆうは悔しそうにして諦めること無く挑んできた。外で遊ぶ時は、他に沢山の人を呼んで一緒に遊んでた。ゆうはみんなの中心になるような存在で、ゆうの隣にいるといつも楽しかった。
小学校卒業のタイミングで、また僕の引っ越しが決まった。ゆうと離れるのは本当に辛かった。転校のタイミングで、僕は一人称を俺に変えた。ゆうに憧れて変えたっていうのは内緒。
どうしてこんな事になったのか。俺は世界を呪った。今までゆうはずっと元気だった。少しもおかしなところなんてなかった。俺が気づかないわけがない。でも、ゆうは癌だった。余命宣告されて入院してから、どんどん衰弱しているのが分かる。余命宣告されたから衰弱してるんじゃないか、そう思えるほどだった。ここのところ毎日、俺は仕事終わりに1人で酒を飲んでいた。昨日、ゆいちゃんの親友というあやという人がゆうの家の前まで来た。俺のことをゆうだと思ってるみたいだったから、ゆうのフリをして、ゆうとの約束どおり冷たく振っておいた。ゆいちゃんにもこんな寄り添ってくれる親友がいるなら、冷たく振ってもゆいちゃんは大丈夫だろうと思った。でもゆうは絶対強がっている。ゆいちゃんのこと大好きだし。本当は最期まで、隣にいて欲しかったに決まってる。でもゆうはゆいちゃんのことを考えてそれをやめた。それが俺もわかったから、ゆうに協力することにした。そう思うと、また涙がこぼれ落ちた。俺ってあんまり泣かないタイプだと思ってたけど、最近は毎日1人で飲んで泣いてしまう。だから目立たないように、狭い居酒屋で1人で飲んでいた。ある程度お酒も飲んで帰ろうかと思った頃、知ってる声が聞こえた。
「じゃあはい、かんぱーい!」
声のした方をみると、ゆいちゃんとあやという人で飲んでいた。あやはこちらを驚いてみていて、それに気づいたゆいちゃんも振り返った。
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