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07 選択


 凄いですね、クロ先生の秘薬。


 まさに即効で回復。



 シュレディーケさんの時にこの薬があったら、


 あんなことやそんなことをしなくて済んだのにな。


 ただ、魔蜘蛛が縁結びしてくれたっていう事実だけは変わらないと思う。



 男の子は元気になったのに、何も行動を起こしません。


 闘うどころか逃げる気力も喪失状態。


 うつろなまなざしで、静かに身の上を語るのみ。



 ---



 彼の名前は、ハンジさん。


 僕と同い歳の、召喚者。



 キルヴァニア王国のとある闇組織が、『召喚』魔法使いを脅して無理やり『召喚』させたそうです。


 召喚者は特別な固有スキルを授かることが多いそうで、


 ハンジさんも、それを目当てに召喚されたのですね。



 召喚されたハンジさん、最初はワクワクしていたそうです。


 アッチの世界では、異なる世界に召喚されて大活躍っていうお話しが流行っているとか。


 ハンジさんも、組織の人たちからもてはやされているうちに、すっかりその気に。



 で、ひと通りこちらの世界についての説明を受けて、


 ハンジさんも自分の立ち場がかなりヤバいと、ようやく理解しました。


 でも、こんなアブない組織でも自分を必要としてくれるのなら、


 ヤレることヤッて、こっちの世界でひと旗揚げてやるってな感じで、よからぬ方向に一念発起。



 そしていよいよ、固有スキル確認の儀。



『無害結界』


 この結界を張った使用者から認識された存在は、結界内では使用者本人に害を及ぼすことは出来ない。



 なるほど、結界範囲内ではそれなりに無敵っぽいですね。


 ただ、認識できないモノからは、普通に攻撃されちゃう。


 背中から小さな魔蜘蛛がチクリ、とか。



 スキルが判明した途端、組織からいいように使われ出したそうです。


 なにせ分かりやすく認識できる相手には、ほぼ無敵。


 コイツをリーダーってことにして矢面に立たせれば、


 俺たち安全に仕事出来るぜ。



 仕事はもちろん、悪事。


 真っ先に危険に飛び込む役目は、ハンジさん。


 全ての危険を請け負うのも、ハンジさん。


 ご丁寧に、ターゲットになりやすいようキルヴァニア中に名を轟かされる始末。



 気付いた時には、新鋭強盗団の首領扱い。


 実際はそんなに強くないって仲間内では知れ渡っているので、


 扱いも何だか微妙。


 ってか、身代わり盾代わり 兼 下っぱ使いっ走り。



 逃げたくても逃げられず。


 何せキルヴァニア国内では、音に聞こえた強盗団の首領。


 どの街でも、どんな村でも、そっくりな似顔絵配布の指名手配犯。


 泣く泣く、悪事の片棒担ぎ。




 もうどうにでもなーれ状態のハンジさんに、チャンス到来。


 今回の本気の討伐隊は、キルヴァニア最強と名高い自由騎士団。


 団員ひとりひとりがマジハンパ無い強さ、


 楽して稼いできた強盗団の皆さん、あえなく総崩れ。


 そしてハンジさんのお相手は、獣人最強戦士との誉れも高いヴォルドルフ騎士団長。


 ハンジさん死にものぐるいで防御一辺倒、気付けば強盗団壊滅状態。



 選択肢はふたつ。


 このままお縄について、裁きを受けるか。


 能力全開で逃げ切るか。



 で、今に至る、と。



 ちなみに、"半次=ハーフセカンド"だそうです。


 まあ、あまり触れないであげましょう、ソッチ系の話題は。



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