04 案件
そんな感じで、我が家は平穏。
そして僕は、いつものお仕事をいつも以上にがんばるのみ。
今日は、アウド村に顔を出しての御用聞き。
何か依頼ごとはありますかね。
「狩人さん宛ての依頼は、特にはございません」
さいですか。
まあ、今日も素敵なミュネさんにご挨拶できましたし、
退散しましょうか。
「ただ、王都のギルド本部から、こういう手配書が」
えーと、何々。
『広域指名手配犯、魔灸の森に潜伏の可能性』
キルヴァニア王国で暴れまわっていた強盗団の首領が、
自由騎士団による壊滅作戦から逃れて、
エルサニア国内に隠れ潜んでいる模様。
"ハーフセカンド"と名乗る首領は、
強力な固有スキルを操る凶悪な犯罪者につき、
目撃した際は接触を避け、速やかに最寄りの巡回司法省へ通報願います。
……怖っ。
こんなのがうろうろしているんじゃ、しばらく森へ入らない方が。
って、うちは森の中だっての。
みんなを危ない目に遭わせないよう、
早めに何とかしなくちゃ……
「フォリスさん、くれぐれもお気を付けて」
はい、いつも以上に隠密するようにします。
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サイリさんに相談して、防犯のため、我が家も強力な結界で守護することになりました。
悪意を持つ存在から強力な麻痺効果で守護してくれるという、
サイリさんお得意の結界を、我が家にもお願いしたのです。
ありがとうございます、サイリさん。
サイリさんのお宅があるエルサニア大森林は、こことはかなり離れていますが、
しばらくは防犯の方、お互い気を付けましょうね。
みんなも、お出かけする時は今まで通り『ゲートルーム』経由ですが、
くれぐれも気を付けてください。
「そんなに危険なヤツなのか」
要注意案件ですよ、シュレディーケさん。
かなり強力で特殊な固有スキル持ちみたいで、
得体の知れないワザを使って悪事をやりたい放題、だったそうです。
直接闘ったヴォルドルフさんの話しでは、
剣士タイプでは無いらしいのですが、
無効化系の奇妙なワザの使い手で、
首領のくせに仲間を見捨てて逃げ出すタイミングも絶妙だったとか。
「むう、嫌なタイプだな」
「もちろん、フォリスさんも近接戦は厳禁だぞ」
はい、自分の実力はよく分かってます。
装備は前よりも充実していますが、
僕自身は相変わらずなので。
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巡回司法省主導の厳戒な警戒網が街道を中心に張り巡らされてますし、
モノカさんたちも、いつでも応援に駆けつけられるよう準備してくれているそうなので、
捕縛は時間の問題だろうと思われます。
僕も、しばらくは狩りをせず、
我が家とアウド村を結ぶルートを中心に、森の巡回に専念。
どんな固有スキル持ちかは知らないけれど、
森の中なら僕なりのやり方で対応できるはず。
そしてその考えこそが"フラグ"だったのです……




