14 お引越し
バタバタ騒がしくならないようにしながら、
お引越しの準備を進めております。
ミスキさんは、最初はちょっと心配そうでしたが、ハンジさんのうれしそうな笑顔を見ることができてからは、いっしょに喜んでくれております。
出来れば、お引越しの世話焼きさんの方は、もう少しだけお手柔らかに、ですよ。
モノカさんたちが、ハンジさんを囲んでのお祝いパーティーを始めちゃいそうだったけど、どうにか自粛をお願いすることができました。
もう少しだけ、静かに見守ってあげていてくださいね。
男衆は、ハンジさんを励ます会を、女性陣に内緒でひっそりと開催。
この小さな東方風建築の一軒家が、
久しぶりに"男たちの挽家"しております。
ハンジさん、ようやく笑顔を見せてくれるようになりました。
凄いな、ヒューネちゃん効果。
もしかしたらヒューネちゃんの隠し固有スキル『ストレス反射』って、
あの時とは真逆の効果もあるのかもしれませんね。
ストレスを軽減させてあげると、混乱とは逆に、この世に安寧をもたらす、みたいな。
アリシエラさんには、ヒューネ湖の『ゲートルーム』の改築をお願いしました。
正確には、『ゲートルーム』の小屋からちょっと離れた場所に、
ハンジさんのおうちを建ててもらったのです。
例の東方風一軒家と同じ建物、
"男たちの挽家"ならぬ"男たちの沈黙"って感じですかね。
ここで騒がしくするのは厳禁ですよ。
おっとそういえば、お引越し前に重要な案件を片付けねば。
ってことで、ジコハ山へ。
あー、拗ねてますね、ロージュさん。
このあいだストーキング行為をキツめに叱りましたから。
でも、一線を越えないよう、しっかり釘を刺すことも大事なのです。
「……一線……越えたい……フォリスさんと……」
えーと、本当は反省して無いんでしょ。
ってかヒューネちゃんのマネしたってムダですよ。
それと大事なこと。
ハンジさん自身がロージュさんに会いにくるまでは、
ロージュさんからの接触は絶対に禁止です。
もし、ハンジさん相手に問題を起こしたら、
僕はここには二度と来ないです。
これは、冗談抜きで絶対に、ですよ。
「……分かりました」
「精霊ローガンフージュは、夫であるフォリスさんとの約束を生涯守ることを誓います……」
ほら、そういうとこですよ。
とりあえず、夫うんぬんは抜きにして、約束は絶対ですからね。
それでは、ごきげんよう。
「行ってらっしゃい、ア ナ タ……(投げキッス)」




