13 みっつめ
最終候補地に到着。
えーと、ここはヒューネ湖っていう大きな湖の湖畔ですね。
エルサニア王国とアルセリア王国の国境に位置する、
自然豊かで風光明媚な静かな湖畔です。
つい最近『ゲートルーム』が設営されまして、
直通で来ることができるようになりました。
この周辺にも、かなり強力な人避け結界が張られておりまして、
結界内でしたら、静かな生活を保障できますよ。
「……あの対岸にあるのは」
あー、アレですか。
実はワケあって、一大観光地となっているのです。
かなり賑やかなのですが、
近付きさえしなければ問題無しかと。
「……フォリスさん……このひと……だれ?……」
こんにちは、ヒューネちゃん。
こちらはハンジさん。
今住んでいるところがちょっとだけ騒がしいので、
お引越しできる静かな場所を探しているんだよ。
ハンジさん、こちらはヒューネルミネアさん。
ヒューネちゃんって呼んであげてくださいね。
このヒューネ湖の精霊さんで、
誰よりも静けさを愛する優しい娘さんなんですよ。
「……こんにちは……ヒューネちゃん……」
「……ハンジさん……ここで……暮らしたい?……」
小首をかしげるヒューネちゃんと、
戸惑うハンジさん。
ぎゅっ
おっと、ヒューネちゃんからハグしてくれるなんて。
きっとリスト爺ちゃんとか、びっくりしちゃうよね。
「……ハンジさん……いろいろ……あったって…‥わかる……」
「……ゆっくり…‥していってね……」
崩れ落ちるように膝をついて、
静かに泣いているハンジさんを、
ヒューネちゃんが優しくぽんぽんしてあげております。
うん、お引越し先、決定かな。
うっ、ちょっと待った。
お隣さんがアレだって、
すっかり忘れてたよ……




