短冊の願いごと
「子供の頃にさ、願いごと書かなかった?」
ふと聞いてみた。
「あー、俺何て書いたかなぁ。よく覚えてないや」
ふふっ、書いてはいたんだ。
「私はねぇ、結構メルヘンチックなこと書いたよ」
「へー、どんなこと?カッコいい王子様が来ますように。とか?」
「ヘヘッ、ナイショ」
「聞きたかったなー」
今でも覚えてる。
小学生の時は運命の人が現れますように。
中学生の時は好きな人に告白されますように。
高校生の時は大切な人のそばにずっといられますように。
玄関へと歩く。
「ちょっと買い物行ってくるね」
「俺も一緒に行くよ」
なんだかんだ言って叶ってる気がする。
そこには笑顔な二人がいる。
外は少し雨が降ってるけど大きな傘で出かける。
やべー。
近所のスーパーにある七夕飾りに願いごと書いたのでバレたくねぇ。
傘をもっている人は笑顔の下でそんなことを考えていた。