表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/235

第43話 「あーん! あーん! あーん!」

「ちゅ、ちゅ、中2まで一緒にお風呂に入ってた!? 中2ってことは2年前!? ついこないだじゃん!?」


 春香がガクガクブルブル震えだした。


「いえ、中学2年の終わりくらいまでだったので、1年ちょっと前くらいですね」


「こ、こここ、こーへいっ!?」


 春香がついには泣きそうな顔で俺を見た。


「いやあの、な? 千夏とは家族ぐるみの付き合いがあったからさ? 昔からの付き合いの延長というか? 一緒にご飯食べたりお風呂入ったり一緒に寝たりとかは、小さいころからの延長でごくごく自然にしてたっていうか……」


「ううっ、ほんとだったし……こーへいのばかぁ……」

 春香が涙目で見つめてくる。


「ほら、そんな昔話より今はお弁当を食べましょうよ。お昼休みが終わっちゃうわよ。はい、航平、あーん」


「ううっ、うううっ! あーん! あーん! わたしもあーんする!」


「分かった、分かったからちょっと落ち着け春香――」


「あーん! あーん! あーん!」


「わかった、わかったから、な、な?」


 千夏にいいように(もてあそ)ばれる春香をなだめすかしながら、結局俺は2人分の唐揚げ弁当を完食することになった。


「はい、航平、あーん」

「うん」


 ぱくっ。


「こーへい、こーへい、わたしのもあーん!」

「う、うん。分かってるからちょっと待って、まだ飲みこんでないから――」


 むぐっ。

 口の中に無理やり唐揚げを追加で押し込まれた……。


「ねぇねぇこーへい、美味しい!?」


「もご、もぐ、もご……ごくん。うんもちろん。すごく美味しかったよ。でも口の中が空っぽになってから次のが食べたいかな……?」


「良かったぁ。じゃあわたしの分の唐揚げもあげるね」


「いやさすがにそれはちょっと……」


 俺には既に、春香と千夏が用意してくれた2人分の唐揚げ弁当があるわけで……。


「あら、食べないのでしたら、春香のお弁当はわたしが食べてさしあげますよ」

「ちょっと千夏、なに勝手に食べてるし! それならこっちだって!」


「春香、人のお弁当を勝手に食べるなんてお行儀が悪いんじゃないですか?」

「千夏のほうが先に食べたんだし!」


「だって春香の分は航平にあげたんでしょう? でも航平はお腹がいっぱいだって言うから、だからわたしが代わりに食べてあげたんですけど?」


「ううっ! ああ言えばこう言うし! ムキーっ!?」


「千夏は昔から口が達者なんだよ。言い合いじゃまず勝てないから変に対抗しない方がいいと思うぞ」


 俺は春香に、千夏の幼馴染として散々言いくるめられてきた経験則を教えてあげたんだけど、


「こーへいはちょっと黙ってて!」「航平は少し黙っててくれる」


「あ、はい、すみません……」

 お、怒られてしまった……なぜ……。


 その後、2人が仲良く(?)会話を弾ませている隣で、俺は黙々モグモグと2人分の唐揚げ弁当を完食することに勤しんでいた。


 なぜ黙々かというと、春香と千夏から交互にひたすら「あーん」され続けていたからだ。

 口を休める暇なんて俺にはなかったのだった……。


「ご、ごちそうさま……どっちのお弁当もすごく美味しかったよ……ありがとう……げふ……」


 完食した俺はどうしようもないほどにお腹がパンパンだった。


「こーへい、明日も唐揚げ弁当を用意するから!」「航平、明日も唐揚げ弁当を作ってくるわね、幼馴染として」


「いやあの、唐揚げはしばらくいいかな……今日で十分食べれたから……あと、せめて1日ずつ日をずらして作ってきてくれると、嬉しいかな……?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] カクヨムコンに出してるって書いてるけどこんな作品通るはず無いだろw 炎上してる作品なんて選ばれないし書籍化するにもリスクが高過ぎる
[一言] このクソ展開まだ続くの? まぁタイトルどうりなら春香とくっつくんだろうけど、いかんせん!この展開になるまでに千夏が絡んでくる理由(心情・行動)があまりに無さ過ぎて、素直に話を楽しめません。
[気になる点] アホみたいなバカップル話が散々続いて、食傷気味になってたところで、千夏登場!ザマア展開かと思ったら、優柔不断なくそ展開。千夏の心理描写もないままにラブバトル。一体何のためにバカップル話…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ