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98.竜王ザダル①

「…であるからして、我ら革命軍はこれまでの消極的なやり方を改め、直ちに帝国軍本部へ全軍攻め込むべきであると決定した」


革命軍本部である大きな神殿内にある会議室で、ハークライツを中心とする竜人族の幹部達を前に、俺たちガイアの四人は四天大将の一人、ラウダの話を聞いていた。


どうやら竜人族はレイルが優秀な種族と言っていた割には単純なようで、やられたらやり返す。と言った性格らしい。


「全軍で攻めるだなんて、死傷者がどれだけ出ると思っている!相手方の民達も我らが勝利した後は大切な領民となるのだぞ!」


「サリオス!その話は軍議で元帥も納得したであろう!後々に遺恨を残すような事はあってはならんのだ!」


「…っ!帝国軍の民を皆殺しにでもするつもりか!?不可能に決まっている!」


確かに双方の言ってる事も分からなくもないが…。


「それに…、大変申し上げにくいが四天大将の一人エールマンと十騎士を失った今、明らかに革命軍の戦力は落ちています。特に十騎士達はそれぞれが各部隊の隊長達…。1000人を超える一部隊を統率できる人員は現状他にはおりません!」


「…」


軍議での決定事項を聞くためにガイアと同じく呼び出しを受けた十騎士唯一の生き残りライラックが意見すると、会議室が沈黙に包まれた。


どうやら軍議を行ったものの、現状を打開する妙案が浮かばなかったようだ。


「し、しかし、主要メンバーを失い、革命軍の士気は急激に低下している…。こんな状態で帝国軍に追撃を受けよう物ならひとたまりもないぞ…」


「…」


ラウダが言うまでもなく、皆状況が悪いことは分かりきっている。有効な打開策が無いからこそこんなに揉めているのだろう。


「シュンよ…」


今まで黙っていたハークライツが静かに、しかし威厳のある声で俺の名を呼んだ。



やっぱりそうなるか…。だから俺達四人がここに呼ばれたんだろうな。



「…はい」


「本来関係ないお前たちにこんな内輪の争い事を相談するのも忍びないのだが…。今我らは最大の危機を迎えておるのは避けようのない事実。…それは分るな?」


「…はい」


「このような不利な状況の中、酷かもしれんが…どうか我らに力を貸してくれ」


「…シュン」


大丈夫だ。ローザ。最初からなんとなく分かっていたが、竜人族のこの争い、どちらが善でどちらが悪かはっきりした。


「分かりました。元々サリオスとはその約束です。ただし条件があります」


「むっ?なんだ?申してみよ」


「竜人族の個体数は寿命が長い代わりに出生の仕組みの関係もあって少ないです。サリオスの言う通り相手方とはいえ命を大事にしなくては種族そのものの衰退に繋がります」


「…」


「少人数で構成された数パーティーで帝国軍の本丸を攻め落としましょう。頭を取ればこちらの勝利です」


「はっ!何を馬鹿なことを…」


「ラウダ!…良かろう、それを聞き入れるかどうかは後で軍議に上げ改めて話し合おう」


「…俺達が協力するのはその条件が飲まれてからです。どうか聞き入れて下さい」


「さっきから何を勝手な事を…。貴殿は帝国軍を仕切る竜王ザダルの恐ろしさを知らんだろう!」


ハークライツに諌められたものの、ラウダは収まりがつかないようだ。


「はあ、まあ、知りませんね」


「ヤツには幾つもの逸話があるが、あまりに多すぎて…。簡単に言うと、ヤツは化け物だ。竜人族史上最強と言っても過言ではない。竜化した竜人族が十人いても勝つ事はできない…たかだか精鋭部隊の一つや二つでとてもどうにかなる相手ではないのだ」


「はあ…」




***



〜100年前〜


〜ドラゴニア 学園都市パンデモニウム〜



「レイル!ザダル!今日も自主訓練行くんでしょ?」


「シル。勿論さ、僕達はまだまだ強くならなければいけないからね」


「ハッハッハー!ザダルは相変わらずだの!まあ、我も自分を鍛えるのは嫌いではない。どこまでも付き合おうぞ」


「ありがとう、レイル。僕も君がいると助かる。一人で訓練するのは限界があるからね」


「って言っても、ザダルの相手になるのはギリギリレイルくらいでしょ。二人とも異常な強さだもんね」



パンデモニウムは竜人族のエリート達が集まる学園都市。

その中でも特に成績優秀な学生達が集まるのがこの三人が通うパンデモニウム第一学園である。



「ハッハッハー!しかし今度の定期試験では今度こそ我が勝つ!ザダル!覚悟しておくが良い!」


「ふふ、また今度も僕が一番だよ」


「くーっ!私だってたまには二人に勝つんだからね!」


「ハッハッハー!シルヴィア、頑張るのだぞ」


「僕にもできる事があれば手伝うからね」


「むー。上から目線も今のうちだけよ!」


「ふふ」



***



夕暮れの自主訓練場、疲弊しきった三人が地面に座り込んでいる。


「ぬうぅ、ザダルにはやはりまだまだ敵わぬか…」


「ふぅ、だけどレイルも着実にレベルアップしてるね。攻撃の多彩さは流石だよ」


「ハッハッ、しかしそれを一撃も受けずに交わし切る主も流石よの、色々パターンを考えておるのだが、まだまだ工夫が足りぬかの」


「ちょっと二人とも、あれだけの攻防、見切るだけで手一杯よ。ますます自信無くしちゃうわ…」


「ふふ、シルも僕らの動きに慣れて、着いてこられる様になったじゃない。凄く進歩してるよ」


「むぅー。着いてくだけじゃヤなの!せめて対等にやり合えるくらいにはならないと…」


「ハッハッハー!主は幼き頃からザダルに一度も勝てた事が無いからの。我らに追いつくには努力を続けるのみだの!」


「もー!二人ともたまにはサボりなさいよね!いくら私が頑張っても、あなた達も頑張るからいつまでも追いつけないじゃない!」


「ふふ、僕は常に最強の座を維持し続けないといけないからね」


そう言ったザダルの目が一瞬鋭く光るのを二人は見逃さなかった。


「のう、ザダル。前から気になっていたのだが、主は何故そこまで強さに拘るのだ?ドラゴニアの中でも優秀な人材が集まるこのパンデモニウム第一学園でも、主は入学当初から常に成績は断トツで一番ではないか」


「…」


「そうよ。自分を鍛えるのは良いことだけど、ちょっとストイックすぎない?」


二人の質問にザダルは一瞬何かを考え軽く笑う。


「うん…二人には話しておこうかな」


「なんだ、改まって。らしくないの」


「ふふ、ちょっと照れくさいけど、僕の夢の話さ」


「えっ、ザダルの夢!?︎興味ある~!」


「シルヴィア、ここは茶化さずちきんと聞くぞい」


「…はあ~い」


「ふふ、ありがとう」


三人は車座になり、男は胡座、シルヴィアは正座をしてザダルの澄んだ目を見つめる。




「シル、レイル。僕はね。…王になりたいんだ」





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