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97.最果ての街バゴ


「らっしゃいらっしゃい!新鮮なワイバーン肉が入ってるよ!よっ!そこの兄ちゃん!一つどうだい!?︎」


俺達ガイアの四人は、ハークライツと負傷兵を治療した後、レイルの案内で夜のバゴの街を散策していた。


サリオスやラウダ達革命軍上層部は今回の帝国軍による暗殺未遂を受け、緊急の軍議を行うらしくしばらく手が離せなくなるそうだ。


「ワイバーン肉の串焼きか…一つ食べてみようかな?」


「シュン、本気?ワイバーンなんて…、ドラゴンよ?人間が食べても大丈夫なのかしら?」


「ふっ、ローザ、大丈夫だ。ワイバーン肉はなかなか美味いぞ。シュンが奢ってくれるのなら、皆で頂いてみるのも良かろう」


「まいどありっ!一つ500ゼニルだよ!」


国が違くても貨幣通貨は同じなのか…、発行元とかどうなっているのだろう?


と言うか…、ユーバーは相変わらずケチと言うか何というか…。500ゼニルくらい良いけどさ…。


俺はガイアの四人とレイル、五人分のワイバーン焼きを頼む。


屋台のおじさんが五本の串焼きを香ばしいタレの入った壺に突っ込み、網の上で適度に焼いた物をこちらへ渡してきた。


「我もこれは好物だ。シュン殿、ありがとう」


「いえいえ」


一本の串には大きな肉が3個程刺さっており、これだけでそこそこお腹が膨れそうだ。


「ん!美味しい!」


「本当ですね!私もこれは気に入りました。このタレがまた美味ですね!」


ローザもシュトロームも気に入ったようだ。

二人の反応に期待感を持ち、俺も一口食べてみる。


「むっ!確かに。肉は柔らかいし、このタレうまっ!」


日本で食べた焼き鳥を思い出す。

香辛料が入っているのか、程よく辛味があって飽きない味だ。


拳より大きな肉を、俺達五人はあっという間に平らげてしまった。


「そう言えば、ちょっと疑問なんだけど、竜人族って本来の姿は人なの?」


「?どう言うことかの?」


俺の質問にレイルが答える。


「いや、あの大きなドラゴンの姿が本来の、と言うか自然な姿なのかと思ってたんだけど、こんな街があるし、革命軍の皆も普通に人の姿をしているからさ」


「ああ、そういうことか。うむ。それはその通りだの。我らは卵から産まれるが、生まれつき人の姿をしておる。竜化できるのは自分を鍛え抜いた者のみじゃな」


「そうなんだ」


「しかしそれでは…、子孫を残せるのは竜化できる者のみと言う事ですか?」


シュトロームの疑問も分からなくもないが、人の姿のままでも人間と同じように子供を残せないのだろうか?卵から産まれるという事は竜の姿じゃないと子供を産めないのか?だとすると、とても子孫を残し難い生き物という事になりそうだが…。


「うむ。その通りだの。我ら竜人族は、生物として優秀な者の血のみが受け継がれてゆくのだ」


「そんな…、竜化できない人は自分の子供を産めないなんて…」


「?何を悲しむ事がある?次の世代が産まれる度にどんどん優秀な血が濃くなってゆくのだ。種としての後退はない。竜人族はより優れた種族として進化し続ける生き物という事。我らはそれを誇りに思っておる」


「だけど…」


「ローザ、考え方は人それぞれだ。彼らがそれを良しとしているのなら、他の人がどう思おうともそれで良いのだ。彼ら自身が誇りに思い、それを幸せだと感じているのだからな」


「…うん」


「ハッハッハー。そう言う事だの。さすが兄者は我らの事をよく理解しておるわい」


ユーバーの言葉に愉快そうに笑うレイルは、本当に自分達の子孫を残す仕組みについて満足しているようだ。


まあ、彼らにとっては産まれた時からそれが当たり前なんだもんな。例えば人間が一度に何人もの子供を産めないのと同じように、竜人族も自分達の産まれる仕組みを変える事なんて出来るわけないし。


「…しかしの。そんな限られた者しか子供を持てないにも関わらず、同じ竜人同士で貴重な命を奪い合うドラゴニアの今の状況は、我は異常だと思うのだ。帝国軍も、我ら革命軍も、優秀な血が流れている者達しかいないはずなのに、そんな事も分からないとは不思議だの…」


「レイル…」


「おっと、客人の前で雰囲気を悪くしてしまったかの!これは失礼した!今我が言った事は忘れてくれ!革命軍の誰かに聞かれても問題になりかねんからの!」


そう言っていつもの様に空を見上げて豪快に笑うレイルは、自分ではどうしようもない何かを笑って吹き飛ばそうとしているように、俺には見えた。





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