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88.竜人族サリオス

『ユウくん⁉︎』


サリオスがユーバーを親しげに呼んだ事から、ドラゴンの危機は無さそうだと判断した俺達は、からかい半分でユーバーに目をやる。


「う、うむ。言っただろう。知り合いだと…」


「ちょっと、ユウくん!知り合いは無いでしょう!数十年ぶりに会ったのに相変わらずつれないのね」


「そんなことより何でこんな所までやって来たんだ?」


「決まってるでしょ!あんな大きなエネルギー、竜人族か巨人族か、人族ならユウ君ぐらいにしか出来ないもの」


もしかしてクロノ闘技大会で使った怒りの鉄槌かな…?あれは確かに巨人族の物だろう。


ってか、巨人族って種族として存在するのか…。


「私達も巨人族も人族には基本的に干渉しないのは昔も今も変わらない。という事はユウ君がやったって事でしょう?そして、それだけの敵と戦ってるのなら、愛しの旦那様を助けに来るのは当然よね?」


『だっ、旦那様ーッ⁉︎』


シュトロームが一人膝をつく。


…相当本気の一目惚れだったんだな、シュトローム。もうサリオスは諦めて次を探すんだ…。


「ゴホン。まあ、その、そう言う事だ…」


「それで言い渋ってたの?全然恥ずかしい事じゃないじゃない。堂々と言えば良かったのに」


「いや、なんというか、…人間なのに竜人と婚姻などあまり大きな声では言えないと思ってな…」





それを聞き、無言で俯くサリオス。




「ユーバー!それは間違ってる!あんた何年生きてるんだ⁉︎」


「シュン?何よいきなり⁉︎」


いきなり説教モードになった俺にローザが驚く。


「ごめん。だけどユーバー。今の台詞は酷いよ。サリオスさんの想いをちゃんと受け止めなよ!」


「お、想い…だと?」


「そうだよ。誰かを愛おしく想う気持ちって、世間体とか種族が違うからとか、そんなの全て超越した物じゃないか?」


「…」


「今だってサリオスさんはユーバーのピンチだと思って遥々遠くから駆けつけたんだろう?素晴らしい奥さんじゃない」


「…」


「夫婦って事はユーバーもサリオスさんの事愛してるんでしょ?」


「むっ、う、うむ…」


横で聞いているサリオスが顔を上げ、その表情が晴れる。


「ならユーバーもサリオスさんの事大切にしてあげなきゃ。異種族だろうが何だろうが堂々としてなよ。こんな美人さんなんだよ?自慢の奥さんじゃん。何年も放っておいたらダメだよ!」


「うむ…。そうだな…」


「シュン、いいこと言うわね。その通りよ!しっかりしてよね。ユーバー!」


「そうですよ。ユーバーさん。私ならこんな美しい方とは一時も離れたくありませんね!」


「み、皆さん…」


サリオスも若干、感極まり気味だ。


「うむむ…。まあ、確かに、そうだな。…サリオス、今まですまなかった…」


「えっ、そんな、良いのよ」


なんか…、二人の関係性もよく知らないのに唐突にこんな展開になって悪かったかな?


俺は人生の大先輩に偉そうに説教してしまった事を少し恥ずかしく思い後悔する。


でもまあ、なんとなく丸く収まったみたいだから結果オーライだ。


「それよりも、ユウ君。もう危険は無いの?」


「ああ、あれは私では無い。シュンが召喚した巨人族の一撃だ」


「えっ?巨人族を…召喚⁉︎」


「まあ、召喚と言っても、パンチを一発おみまいするだけだがな」


「にしても凄いじゃない…。さっきも普通に空を飛んでいるし…。あなた、一体何者なの?」


サリオスが驚愕の表情で俺を見る。


「彼は、そうだな…。神の使い、と言ったところか」


「神…、エト神?」


「そうだ。いずれこの世界を救う存在だ」


「ユーバー、言い過ぎだよ」


「いえ、それなら納得だわ。神の弟、ユーバーが言うのなら間違い無いわね」


もういい加減自分がそういう運命だという事を受け入れるか…。


「そうなれるように頑張るよ」


俺は諦め半分、ため息混じりで答えた。





「あの、シュン…くん?」


「はい?」


「ユウ君に危険がないのならこのまま帰ろうと思ったんだけど...」


「?」


「一つ助けて欲しい事があるの」


「なんでしょう?」


「これはユウ君にもお願いしたいんだけど…」


「なんだ?」


「実は…今竜人族の間で戦いが起きていてね…」


サリオスの話によるとこうだ。


竜人族には大きな二つの派閥がある。


一つは竜王ザダルが率いる帝国軍。そしてもう一つがサリオスの父ハークライツが率いる革命軍だ。


帝国は人類と魔物を糧とし、地上に竜人族の楽園を築こうとしている。一方、革命軍は今のまま竜人族は空の大地に住み、世界のバランスを保とうと考えているそうだ。


「竜人族は空にいるのか…」


「人族や魔人族がなかなか遭遇した事がないのはその為なのですね」


「ええ。だけどもし帝国が勝ってしまったら…。正に地獄絵面、人類も魔物も絶滅するまでドラゴンに食い尽くされるわ」


「なんだって…」


「そして食糧が無くなった竜人族もいずれ衰退する。人口を制限して計画的に食糧を維持する今の形が、竜人族が生き延びる唯一の方法だと言うのに…」


エト神様…魔物意外にもとんでもない危機が人類に迫っているじゃないですか…。


「しかし、魔物を絶滅させようと頑張ってる俺達に、その魔物すら餌にしてしまうような竜人族なんて相手になるのかな…?」


「助けて欲しいって言っただけなのに、一緒に戦ってくれるの⁉︎」


サリオスの表情が一層明るくなる。


「えっ!だって、そういう事だと思って…」


『シュン(さん)ー』


ローザとシュトロームが、俺に責めるような目を向ける。


「なっ⁉︎…良いだろ⁉︎ユーバーの奥さんが困ってるんだ!二人とも見捨てるのか?」


「だって、ユーバーとシュンは良いかもしれないけど、わたしはドラゴンなんかに勝てる気はしないわ!」


「私もローザさんと同意見です!それよりも闇の眷属と魔人族を倒すのが先です!何匹ものドラゴンを相手にするなんて無謀ですよ!」


「その点は心配ないわ。私はこう見えても竜人族でも戦闘力は上位よ。ユウ君はその私と互角以上に戦える。そして、ユウ君と同じか、それ以上の攻撃力を持つシュン君なら十分戦力になるわ」


「だからシュンとユーバーは特別なの!常人の私には無理よ!」


「ローザ、大丈夫だ。もしかしたらガイアは全員ユーバーレベルまで到達できるかもしれない」


『えっ⁉︎』


俺はミルコのリストレインワームを潰した時に覚えたスキル、経験値乗算を皆に教えた。


「経験値乗算…とんでもないスキルですね…」


「ローザのマグ、デゼルファングの獲得経験値ボーナスは10倍、ユーバーのインビジブルも10倍、シュトロームのロードインパクトは…経験値ボーナスはあったっけ?」


「いいえ、残念ながらロードインパクトは経験値ボーナスどころか、代償として経験値1/2が付いています…」


「それはおそらく大丈夫だろう。確かシュンのスキル効果は獲得経験値"ボーナス"が乗算だったな。であればプラス効果しか反映されないはずだ」


「それじゃ、わたし達ガイア全員100倍の経験値が貰えるって事なの⁉︎」


「いや、俺の天啓、エターナルフォースもあるから、もう100倍、つまり獲得経験値は10000倍って事になるかな…」


「なっ、シュンさんデフォルトで経験値100倍だったんですか…」


「あ、うん。あはは…」



「…ユウ君、昔と違って今は凄く心強い仲間がいるみたいね」


「ああ、私を叱る事すら出来る、頼もしい、仲間達だ」


ユーバーが自慢げに言ったその言葉に、ガイアの全員が顔を見合わせ微笑み合う。


「よし!一丁やってやりますか!」


『おー!』


俺は右手を空に突き上げ、ガイアの皆も同様に拳を上げる。




さあ!これからまだまだ強くなって、ドラゴンだろうが魔人族だろうが倒しまくってやろうじゃないの!





お読みいただきありがとうございます!

スキル効果のおさらいです↓


パッシブスキル:経験値共有

効果:パーティ時の経験値が人数割りされない。(パーティメンバーにも同様の効果が適用する)


パッシブスキル:経験値乗算

効果:経験値共有の効果に加え、パーティメンバー同士の獲得経験値ボーナス効果が乗算される。

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