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77.真実


やっぱりか...。


俺が出した名前に不自然な反応を示した人物が一人だけいた。


思わず驚きの声を上げてしまったその人物に全員の視線が集まる。


「ハーマンさん...。闇の眷属の事を知らないあなたが、何故闇の眷属に崇拝されているテオの名前をご存知なのですか?」


「...」


「ハーマン...お前?」


バッシュとシンディは驚きと不安の表情でハーマンを見る。


「うーん。あ、違う違う。二人とも誤解しないでよー。たまたま知り合いの名前と同じだったからビックリしただけだよー」


「...」


「ハーマン。信じたくは無いが、その言い訳は無理があるぞ。苗字もちは貴族か社会的に地位のある人物だ。俺は今回シュンがその名を出す事を聞いて、前もってその名前の貴族やお偉方を調べたが、そんな名前の奴はいない...」


俺は今回の作戦で、ハーマンがどう反応し、その場合どうやって逃げるかもある程度予想した上で、ユディエルにその名を調べるように依頼していた。


「...ハーマン。嘘だろう?あんた...」


ハーマンは観念したように床に視線を落とす。魔導師のローブのフードに隠され、中はどのような表情をしているのか窺い知れない。


「はあ〜〜。...この生活、結構気に入ってたのになぁ...」


「ハーマン⁉︎」


「ごめんよ。二人とも。実はそういう事なんだー」


寂しそうに微笑むハーマン。


「そ、そんな...」


愕然とする二人とは対照的に、俺とローザとユディエルが警戒する。


「あー、そんなに身構えないでー。幹部とはいえ所詮僕は人間だからさー。ここにいる皆と戦って勝つ自信はないよ」


ダンッ!


「バカ野郎!お前っ!!なんでッ!!」


バッシュがハーマンの胸ぐらを掴み、そのまま背中を壁に押しつけて咽び泣く。


「ごめんよ。バッシュ。僕は...こうするしか無かったんだ...」


⁉︎


「バッシュ!離れろ!」


ザンッ!


「⁉︎ガハッ!ハ、ハーマ...ン...?」


ローブの隙間から見える杖の先からウォータカッターが打ち出され、至近距離でバッシュの左腹部を切り裂く。


「バッシューッ!!」


「くそっ!シンディ!下がって!」


叫び、取り乱すシンディを制止するが...。


「ハーマン!!あんたーッ!!」


懐から短剣を出し、泣きながらシンディがハーマンに飛び掛かる。


ドスッッ!


無抵抗のハーマンの腹部にシンディの短剣が突き刺さる。


「ぐふっ!...シ、シンディ...本当にすまない。いつかは、こうなると、思ってた、よー...」


ハーマンの目にも涙が溢れ出す。


「ふふっ、き、君達と...過ごした日々は、心から、本当に、楽しかっ...た...よー。もう一度、3人で、冒険に行きたかっ...」


ドサッ


膝をつき床に倒れるハーマン。


「はあ、はあ、バッシュ、シンディ、い、今までッ、あ、ありが、と。逃げ、て。ここ、は危ない...」


「シュン!バッシュが!早く回復魔法を!」


「あ、ああ!」


ローザに急かされ、重傷のバッシュにヒールをかける。


「シュン、くんっ。君ならもしかすると...。い、いや、二人を頼んだ、よーぉぉッ⁉︎」


⁉︎


「皆!気を付けろ!ハーマンの様子がおかしい!」


「たの、たのッ、んんんッ!だあぁああぁ!ヨおおおぉおおッ!」


ユディエルの言う通り、ハーマンの様子が普通じゃ無い。

涙を流しながらもがき苦しみ、意識は無いようだが体が激しく痙攣し、手足が床を強く叩く。


「あガガガがッ!..........」




一瞬ハーマンの動きが止まる。




「...ル、ルイザ!」




「えっ?」


ブワアアアアアアッッ!


意識を失ったハーマンが、誰かの名前を呟いた次の瞬間。ハーマンの全身から熱風を伴った蒸気が激しく吹き出し視界を奪う。


「うわっ!」


「きゃ!」



シュウウウウ...


...⁉︎


「な、何よ、これ...」


思ったより早く蒸気が晴れ、そこに現れた光景にシンディが思わず声を漏らす。



「ガシューッ!ガシューッ!...ガッ!ゴッ!ゴルワッ⁉︎...グルアアアアアアアアアッッ!」



そこには一匹の覚醒魔人のような魔物が叫び声を上げ立っていた...。





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