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76.魔導師ハーマン

登場人物紹介(久々の人のみ)


・ユディエル

ガルヴァリギルドマスター

剣士系職業の最高峰、剣聖まで上り詰めた人物。


・エイミー

ガルヴァリギルド職長

黄色い髪をポニーテールにした可愛い系女の子。


・バッシュ

剣士。ワイルドで不器用だが面倒見が良い。シュンがエルモナルで出会った初めての人。

シンディとハーマンと3人で有名なパーティを組んでいた。今はガルヴァリギルド副長。


・シンディ

呪術師。バッシュとハーマンとベテランパーティを組んでいた。今はガルヴァリ援護術指南役。


・ハーマン

魔導師。バッシュとシンディとパーティを組んでいた。今はガルヴァリ魔法指南役。



「おい!シュン!いくらお前でも冗談じゃ済まされん事もあるぞ!」


「そうだよ!あたし達がどれくらいアイツと一緒にいるか知らないだろう⁉︎」


やはりいきなりこんな事を言われたら、そうなるよな...。


俺達はシュトロームの衝撃の告白の後、直ぐにガルヴァリのユディエルに連絡を取り、瞬間移動Ⅱでガルヴァリのギルド長室に来ていた。


今ここに集まったメンバーは、ギルド長の剣聖ユディエル、副長になったばかりの剣士バッシュ。同じく援護術指南役なりたての呪術師シンディ、あとは俺とローザの5人だ。


ユーバーにはクロノ闘技大会の後始末を一任してある。シュトロームについては、あの決勝で死んだことにしておいた方が都合が良いらしく、ハーマンの件が一段落したら合流する事になっていた。


「だけど、これは実際魔人族から直接聞いた情報です。信憑性は高いと思います」


「だから魔人族だなんていきなり言われてもよ!それに、人類を滅ぼそうとしている組織なんて本当にあるのか?闇のなんちゃらだの、魔人族だの、そんな得体の知れないヤツの言う事より、俺達は自分の仲間を信じるって言ってるんだ!」


「そうさ。シュン君を疑ってるわけじゃない。闇の眷属ってのも実際あるのかもしれない...。だけど仮にそうだとしても、その魔人族とやらの言う事は信じられないね」


「...」


流石に何年も一緒にパーティを組んでいたせいか、全く信じてもらえない。下手をしたらバッシュ達にも危険が迫っているかもしれないのに...。


「話が終わりなら俺達は行くぜ。なんせ新しい仕事を覚えるのに忙しいんでな!」


「ごめんよ。シュン君...。ハーマンには何度も命を助けられてるんだ。いきなりそんなこと言われても到底信じる事なんてできないよ」


「いえ、すみません。俺も逆の立場なら同じようになったと思います」


こうして話し合いは一瞬にして終わり、二人は早々に部屋を出て行ってしまった。


「シュン。どうするの?」


「時間を置いてもう一度話し合いたい所だけど...、時間が無い...」


万が一シュトロームの裏切りが闇の眷属にバレたら、まず真っ先にやつらは闘技大会決勝で戦った俺をマークするだろう。そして俺達と繋がりが深いガルヴァリギルドに手を出す可能性は大いにあり得る。ハーマンに先に動かれる前に何とかしたいが...。


「ユディエル様、少しお願いしたい事があるのですが...」


俺はユディエルに夜にもう一度、今度はハーマンを加えた三人を呼ぶように頼み、ローザと一度自宅へ帰る事にした。



***



「ここがシュンのお家⁉︎」


「ああ、貰い物だけど、なかなか気に入ってるんだ」


「ねー!私も凄くステキだと思う!」


「ふふ、ありがとう。あ!ちょっと待って、しばらく空けてたから埃っぽいかも...。浄化!」


俺は家全体が綺麗になるようにイメージしながら浄化を使う。これ一発で家の中も外も綺麗になってくれたらとても便利なのだが...。


おそるおそる家に入ると...。


「おっ!良かった。綺麗になってるっぽい!」


「わー、中も綺麗ね!」


ローザも気に入ってくれて良かった。いや、深い意味は無いが。


「けど、本当にどうするの?」


俺達は椅子もテーブルも無いのでキングサイズのベットに並んで座って話す。


「うーん。シュトロームが嘘を言ってるとは思えない。何もメリットが無いからな」


「確かに。ほんとの忠告と言うか、情報提供をしてくれただけよね」


「ああ」


「...わたしはそのハーマンって人の事よく知らないんだけど、どんな人なの?」


俺は初めてエルモナルで魔物と出会った時の事、バッシュ達3人パーティとの出会い、ゴブリン大襲撃で共に街を守った事、今はガルヴァリ冒険者ギルドの要職に就いていることなど、大まかにローザに伝えた。


「なるほど。それじゃ益々危険ね。こちらの情報が容易に入手できちゃうポジションじゃない」


「そうなんだ。でね。今日の夜の話し合いなんだけど...」


そこで俺は夜に向けてローザに一つお願いをし、腹ごしらえをして時が来るのを待った。



***


その夜


***


「ユディエル様、また呼び出して何なんです?」


「まー、まー、シュン君が何か話があるんでしょー?久しぶりに会うから楽しみだなー」


「ああ、3人とも仕事終わりにすまんな。少しだけ付き合ってくれ」


「まあ、良いですが...」


何の話をされるか察しているバッシュとシンディはお互い顔を見合わせる。


そこへ...


「失礼します。シュン様とローザ様をお連れしました」


「ああ、ご苦労、通してくれ。エイミーはもう上がって良いぞ」


「はい、それでは失礼します。シュン様、ローザ様、どうぞ中へ」


「ああ、ありがとう。エイミー」


「シュン!誰⁉︎」


ローザが何故か怒って聞いてきた。


「え?受け付けもやってるギルド職長のエイミーだよ」


「ふーん。やけに親しげなご様子でしたけど...」


「そ、そんなことないよ。気のせいだよ」


「おいおい、夫婦喧嘩ならあとにしてくれ。大事な話があるんだろ?」


夫婦じゃないですけど!まだ...。


ユディエルから声をかけられ、心の中で呟きつつ、俺達は慌てて中に入る。


「すみません。失礼します!」


「シュン君久しぶりー。そんな綺麗な方と行動を共にするなんてなかなかやるねー」


いきなりハーマンが親しげに声を掛けてくる。...本当に闇の眷属幹部なのだろうか?


「あは、照れちゃうんでやめてくださいよ」


「さて!それじゃメンバーが揃ったな。ではシュン、話を頼むぞ」


「分かりました。今回皆さんに集まって貰ったのは、ある事を確認する為です」


バッシュとシンディは内容が分かっているので黙って目を閉じ下を向いている。


「ある事?なんだろー?」


「ハーマンさん。話とはあなたの事です」


「んー?僕かい?何かな?」


「実は今回俺はクロノで闘技大会に出場していました。その事はご存知ですか?」


「えっ、今回のゴブリン大討伐の表彰を受けに行ったと思ってたよー。そんな大変そうなのに出てたんだねー」


「はい。結果はさておき、その大会に実は魔人族が隠れて参加していたのです」


「⁉︎...魔人族?」


「そうです。そしてその魔人族は言いました。ハーマンさん。あなたが闇の眷属の幹部であると」


ダンッ!


「シュン!だからそれは違うって言ってるだろう!」


バッシュが机を強く叩き、声を荒げる。


「しかし、これはハーマンさんに直接お聞きしたいのです。ハーマンさん。あなたは闇の眷属や魔人族とは無関係ですね?」


「うーん。そんなの聞いた事も無いねぇ。闇の眷属って何だい?」


「そうですか...。これはガルヴァリを守るお三人のためにも伝えておきますが、闇の眷属とは、人類でありながら人類を滅ぼそうとしている者達の集まりです。そして、魔人族も人類を滅ぼそうとしています」


「...そうはさせるかよ!」


「バッシュとシンディは知ってたのー?」


「ああ、昼間にシュンに聞いてたからな」


「すみません。ハーマンさんを疑ってしまって...。おそらくその魔人族は俺達を混乱させる為にデタラメな情報を言ってきたのでしょう...」


「良いよ良いよー。そうかー。ちなみにシュン君にそんな事を言ってきた魔人族って何て名前?」


「?何故そんな事を?」


「いやー、そいつの事を知っておけば、そこから魔人族に繋がる情報が得られるんじゃないかと思ってさー」


「確かに。...そうですね。皆さんここで情報を共有しておきましょう」


「...」



「俺に情報をリークしてきた魔人族の名は、テオ・サキシサスです」


「えっ?」





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