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74.クレーターの中心で


「二人いる、ですって?」


「う、うん...」


「ここからはよく見えませんが...。見間違いでは?」


「いや、感知スキルで見てるから間違いない」


「あの化け物とシュトロームは別人ってこと...?」


「いや、そんなはずは...。とにかくちょっと見て来る...」


「気をつけてよ」


「うん」



俺は感知Ⅱで二人の様子を窺いながら、地面が深く沈んだクレーターを降りて行く。


そして、クレーター中心地に着き、そこに倒れている人物を見て驚いた。


「な、なんでここに...!?」




そこには、人類最強の男、ガイアに加入したばかりのユーバー・アモンド・アイがシュトロームと並んで倒れていた。



「...」


倒れている二人は共に気を失っている。


「この状況...。ユーバーがシュトロームを...助けたのか...?」


回復させて良いものか一瞬躊躇うが、事情を聞かないことには何も分からない。


「ヒール!」


俺はユーバーにヒールをかけ、話を聞くことにした。


「う、くっ...」


「ユーバー、これはどういうことか納得のいく説明をしてくれないか?」


「シュン...その前にシュトロームにも回復を頼む!急がねば死んでしまうッ!」


言いながら上半身だけ起こすユーバー。


「?こいつは人類の敵魔人族だぞ!?ここにいるってことはユーバーも俺達の戦いを見てたんだろ!?それを助けるだって?」


「そうだ!こいつは魔人族だが敵ではない。今の所、味方でもないがな。とにかく手遅れになる前に...頼む!」


いつも冷静なユーバーがこれだけ焦って頼むのなら何かしらあるのだろう。


「ヒール!」


この状況なら、いざとなれば俺とローザに加えユーバーもいる。再び戦う事になってもなんとかなると判断した俺はシュトロームにも回復魔法をかける。


「う...う...」


「ふぅ、すまないシュン。ありがとう」


「良いけど...、一体どういうことなんだ?」


「うむ。説明する前にローザも呼べるか?」


「ローザを?待ってくれ」


俺は通信Ⅱでローザに連絡を入れる。


「ローザ、クレーターの中心にいたのはシュトロームとユーバーだった」


「なんですって!?何でユーバーがそこに!?」


「分からない。今から説明してくれるらしいんだけど、ローザもこっちに来れる?」


「分かったわ。あ、その前にシュトロームがまだ生きてるなら会場の皆は避難させておいた方がいいよね?」


「ああ、そうだね。おそらく大丈夫だとは思うけど、万が一また暴れ出してもシールドの無い今の状況じゃ危険だ。今のうちに避難させておいてもらえると助かる」


「了解。バルガスさんにお願いしたらそっちに行くわね」


「ありがとう。頼むよ」


俺はローザの気遣いに感謝しつつ通信を切った。


「もう少ししたらローザも来る」


「すまんな。しかし、個人通信か。便利だな」


「そんなことは今はどうでも良い。ユーバー、一つだけ確認させてくれ。あなたは味方なんだよな?」


「ああ、心配するな。私は味方。人類側だ」


「シュトローム。これからローザがここに来るが、また暴れ出したら本気で貴様を殺す」


「クック...。分かっています。私にはもう貴方と戦う理由がありませんのでご安心ください...」


戦う理由...?何の事だ...?


一応感知Ⅱで見てみても体の輪郭が敵対心を示す赤にはなっていないので、もう戦う気がないのは本当だろう。


「シュン!ユーバー!お待たせ」


ローザが小走りにクレーターを降りて来る。


「よし、これで"揃った"な」



「シュン、ローザ、私が最近秘密裏に動いていたのは実はこの為だ」


「この?って言うと...どの?」


「まずはシュトロームと一つ契約を結んだ」


「シュトロームと...?」


「うむ。シュトロームは魔人族でありながら、魔人族に敵意を抱いている」


「...人類で言う闇の眷属のようなものか」


「まあ、そうだ。闇の眷属は未だ謎が多い。今後私達が闇の眷属や魔人族と戦うには内情を知っていて、かつ魔人族を恨んでいる人物が必要不可欠だ。戦闘能力も持ち合わせているとなればこれ以上の適任者は無い」


「...」


「そこで、さっき言った契約の話が出てくる。シュトロームには現在魔人族を統べている魔人王とその幹部達を全て倒すまで、私達に協力してもらうことにした」


「魔人王...?初めて聞いたわ...」


「...俺達としてはメリットがある話だけど、シュトロームは何の為に魔人族を裏切るんだ?」


シュトロームに目を向けると、彼は地面の一点を見つめながら話し出す。


「...私の生きる目的もそこなのです。今の魔人族の社会をぶち壊し、新たな魔人族の世界を作る。それが私の悲願なのです」


「...」


「ですが、私一人の力では到底無理な話。かと言って魔人族には王を裏切るような者はいない...。そこで力を持つ人類を探そうとしていた矢先、ゴブリンを全滅させた人間を殺せと魔人王から命令が下ったのです」


「...魔人王...か。でも、その魔人王を倒して新たな魔人族の世界が出来たとしても、人類とは敵対するんだろ?なら魔人族の社会がどう変わろうとも人類の危機には変わりない気がするが」


「そこが契約なのです。私の悲願が達成されれば、私が魔人族の新たな王になります。魔人族の民には人類には手を出さないよう御触れを出しましょう」


「んっ!?なんだって!?シュトロームが魔人族の...王!?」


「クックッ、今はまだ夢物語ですがね...。シュンさんに出会えて夢が叶う可能性がほんの少し出て来た気はしますが...」


「ちょと待てっ!なんでそこで俺が出てくるんだ!」


「何を言ってる。人類を救うのがシュンの運命。つまり魔人族を滅ぼす事がお前の使命だ」


「いや、それ滅ぼしちゃってるし!それに、そんなのいきなり言われても...」


「まぁ、滅ぼすまで行かずとも、人類に被害が及ばないようにすると言う事であれば、今回の計画が達成されれば充分だろう」


「でも...俺が生きてる間は俺の存在が抑止力になって人類が守られるかもしれないけど、俺が死んだら魔人族がどう動くか分からないんじゃ...」


「なに、お前が死ぬのは想像もつかない程先の事だろう?そんなに心配する事でもない」


「...はい?」


「ん?なんだ?...エトから聞いていないのか?...まったく、アイツは...」


呆れた様子でユーバーが首を振る。


「良いかシュン。おまえのその肉体も、私と同じ不老不死だ」


ローザとシュトロームが驚愕の目で俺を見る。



『ええええぇぇぇぇぇーーっ!?』






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