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69.クロノ大闘技大会本戦⑧


そして迎えた翌日...。

今日も満員御礼の闘技場にヘイズの声が静かに響く。


「皆さん大変長らくお待たせ致しました。いよいよ本日、第99回クロノ大闘技大会の優勝者が決定致します。今回の優勝者はこのアスリア国の...いや、エルモナルの長い歴史の中でも最も優れた戦士と言っても過言では無いかもしれませんッ!」


徐々にテンションを上げるヘイズ。


「それでは早速!栄誉あるこの優勝決定戦にコマを進めた選手の紹介です!」


...俺はまだ一度も戦っていないので、コマを進めるも何も初戦が決勝戦だ。仮に負けたとしても準優勝だ。こんな状況でも賞金を貰って良いのだろうか?


「まずはこの方!ご存知!エルモナルの救世主!ガルヴァリの煌星!シュン選手!!」


『うわあああああ!!』


「シュンにいちゃーん!頑張ってー!」


ユーバーは今日も姿を見せず、ローザとバルガス親子が一緒に観戦してくれている。


「シューン!優勝だからねー!」


俺は舞台上で声援に手をあげて応える。割と普通に振舞えてるぞ。ようやく鋼の心の効果を実感できた気がする。


「正義は勝つ!という所を是非見せて頂きたい所です!」


はい。頑張ります。何せ決勝の相手は...。

俺は相対する人物の目を見据える。


「そして対するのはこの人!予選会からの出場!準決勝では前回優勝者モズ選手に圧倒的な差で勝利した!ダーティー、シュトローム選手!」


『うわあああああ!』


ヘイズってシュトロームに操られた事根に持ってるのかな...。ダーティーを定着させたいようだ。


舞台上で対面しているシュトロームは、俺の目を見つめ余裕の笑みを浮かべながら微動だにしない。


「それでは!第99回クロノ大闘技大会決勝戦!戦闘開始ィィ!」



グワーン!



「...」


「...」


試合開始を告げるドラが鳴ったがお互い無言のまま動かない。


観客達も固唾を飲んで舞台上の二人を見守り、緊張感が闘技場内を包む。


「...行きますよ?」


「いつでもどうぞ」


シュトロームが一瞬笑ったかと思った次の瞬間、モズを貫いた巨大な大剣、ロードインパクトを振りかぶったシュトロームが目の前に突然現れた。



さすがに早いな。


しかし、俺は慌てず剣を抜きスキルを使う。


「瞬間移動!」


ブンッッ!


シュトロームの巨大な大剣が俺の残像を切り裂く。そして...。


「属性付与!フレイム!」


シュトロームの背後に瞬間移動で回りこんだ俺はすかさず後ろからフレイムを付与したルーン・コアを突き出す。


シュッ!


キンッッ!


剣筋を見もせず、大剣を担ぐようにして俺の剣を躱すシュトローム。


「最初で決めようと思ったのに、流石にそう簡単にはいかないか」


「クックック、瞬間移動ですか...。いきなり楽しませてくれますねぇ」


「いつまで余裕でいられるかな?」


「ククッ、そちらこそ、随分と余裕がありますね」


バッ!


シュトロームが羽織っていたローブを脱ぎ捨てる。


「あなたには本気のスピードで行かないといけないようです」


「ふっ、それはどうもっ!」


言いながら俺は手から無詠唱でフレイムを放ち、防具のアース・コアにもフレイムを付与する。


ゴオオオォォッ!


高い知能で繰り出されるフレイムの威力とスピードは大魔導師が使うそれに匹敵、もしくはそれ以上の勢いでシュトロームに襲い掛かる。


『うおお!』


「なんて巨大な火柱なんだ!」


「あんなフレイム見た事がないぞ!」


観客達はその威力に驚きの声を上げるが...


シュッ!


余裕を持ちシュトロームがそれを横に回避する。


ババッ!


回避先を予想していた俺はすかさず超スピードでシュトロームの前に迫る。


「何っ!?」


ギィィン!


魔具同士がぶつかり激しく火花を散らし、シュトロームが数歩下がる。


「くっ、予想以上のスピードとパワーをお持ちですね...。さすが世間に騒がれるだけのことはある...」


戦闘中によく喋るやつだ。


「ゼロ・グラビティ!」


俺は会話の相手にはならず、ゆっくり空中に浮かぶ。


『おぉぉぉ!』


「なっ!シュン選手!空も飛べるのか!?」


観客とヘイズが驚きの声を上げる。


「これはこれは...。クックックック!良いですね!非常に楽しい戦いです!やはり戦いはこうでないと!」


「シールド!」


次に俺はシールドを発動した。ただし自分にではなく、シュトロームの真上に、だ。


「?これは...シールド?一体なんのマネです?」


「アイスウォール!」


シールドを屋根のようにし、分厚い氷の壁でシュトロームの周りを囲み込む。


「むっ!?」


「アイス!」


才能を持ってさえいれば見習い魔導師でも使えるアイスだが、俺の知能値で繰り出されるアイスは巨大な氷塊だ。


冷気を纏った氷塊が一直線にシュトロームに向かう。


「シールド解除!」


猫ダマし的なシールドの使い方だが、アイスがシールドに触れる直前で解除することでそれまでのシュトロームからの反撃を防げる。

シールドが解除された時には既に巨大な氷塊が迫っているという訳だ。


ドッッガァァン!


北極の氷が解けて海に落ちる時のような巨大な音と共にシュトロームにアイスが炸裂する。

アイスとアイスウォールは消えたが、残った冷気でモヤがかかっていて様子がうっすらとしか見えない。しかし感知Ⅱではきちんと敵対反応を示している。


バッ!


「うっ!?」


信じられない事にシュトロームが額から血を流しながら俺のいる上空まで飛んで来た。


ザッ!


「うあぁぁぁあっ!!」


あまり上空で動くことに慣れていなかった俺は、ロードインパクトの突きを回避しきれず、右肩に一撃を受け地面に落ちてしまう。


ドウッ!



「ぐあぁ...。金剛有りでこれかっ!」


エルモナルに来て初めてまともなダメージを受けた。


傷口とその周辺が燃えるように熱い。


カランッ!


右腕の感覚が無く、手に力を入れる事ができずにルーン・コアを地面に落とす。


「ぐうぅ...。ヒール!ぁっ!?」


左手でヒールを使おうとした俺にシュトロームの大剣が迫る。


ザンッ!



「シューン!!」



闘技場にローザの悲鳴が響く中、俺の右腕が宙を舞った。






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