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63.クロノ大闘技大会本戦②


「さー!それでは早速参りましょう!決勝トーナメント第一試合!予選会Aグループ優勝者グラン選手!」


『わああああ!』


グランは予選会の時と同じ深緑のローブに身を包み、シンプルな木の杖を装備している。


「対するは早くもこの人の登場となりました!昨年の優勝者!炎玉のモズ・フレア選手!」


『わああああ!』


こちらも予選会と同様、黒いマントに黒いフード。中には黒く光る軽鎧を身に付けており、右手には漆黒の剣が握られていた。


「グランは魔導師だけど、モズの職業は何なんだろう?炎玉を使えるんだよね?」


「そうね。炎玉を使える職業は確か...」


「魔剣士だ。シュンは折角良いスキルを持っているのに、使う癖がついていないようだな」


「あ...」


観察眼Ⅱの存在を忘れていた。

確かにこんなに有効なスキルは無い。使う癖をつけていこう。


名称:モズ・フレア

種族:人間

職業:魔剣士

冒険者ランク:A

称号:炎玉

Lv:62


パッシブスキル

・暗黒剣

効果:魔剣使用時、相手に与えたダメージを吸収し、自身を回復する


アクティブスキル

・ダークネス

効果:相手の視界を奪う


・シャドウウォーク

効果:一定時間素早さ2倍 足音と気配を消す


・炎玉

効果:球状の炎を生み出す



「ふむふむ。あの武器も見た所魔剣っぽいな」


「おそらくそうだろうな。ドラゴンの討伐経験があるらしいからな、魔剣の数本くらいは報酬として賜っていてもおかしくない」


「なるほど。で、グランは...っと」



名称:グラン

冒険者ランク:B

称号:無し

職業:魔導師

Lv:55


パッシブスキル

・魔力強化

効果:魔法のダメージが上昇する


・MP節約

効果:魔法使用時消費MPが2/3‬になる


アクティブスキル

・フレイム

効果:火柱が手から放出される


・フレイムサークル

効果:自身の周囲に炎の輪を生み出す


・フレイムピラー

効果:火柱を出現させる


・ライトニング

効果:稲妻が手から放出される


・ライトニングバースト

効果:自身の周囲に稲妻を撒き散らす




「ランク的にはモズの方が上か...」


「そうなんだ」


「うん。モズAランク、グランBランク。Lvは62と55だね」


「観察眼Ⅱ...ほんと便利なスキルね」


「だね。...忘れてたけど...。...しかしBランク冒険者でも魔法は2系統しか使えないのか...」


「魔法なぞ、普通は1系統しか使えん。見習い魔導師から魔導師に転職できれば2系統、大魔導師で3系統程度だ。無職で全ての系統を使いこなすお前は相当な規格外だな」


「...」


あなたが用意した身体だろっ!...言わないが。



そうこうしている間に、舞台上では戦いの準備が整っていた。


「それでは!クロノ大闘技大会決勝トーナメント第一試合!モズVSグラン!試合開始ぃぃ!」


グワーン


「先手必勝!ライトニング!」


開始直後の僅かな隙をつきグランがいきなり魔法を放つ。


バリバリバリバリッ!


ただの棒のようにも見える杖の先から放たれた一筋の稲妻が、空気を裂きモズに襲いかかる!


直撃する!


と誰もが思った次の瞬間。


「あっ⁉︎モズが...消えた⁉︎」


ローザが驚きの声をあげる。


「おおっと!モズ選手!突然消えてしまったぞ⁉︎一体何処へ行ったのか⁉︎」


いや...、俺も消えたと思ったが舞台上をよく見ると僅かに小石や砂埃が立っている箇所がある。


「あれがシャドウウォークか...。気配を消すどころか姿も認識できなくなるのか...」


「魔剣士は職業的にもかなり強い部類に入る。いわゆる当たり職だ」


「なるほど、才能に恵まれていたってことか」


「ダークネス!」


姿の見えないモズの声がすると、グランの顔の周りに黒いモヤが現れた。


「⁉︎な、なんだこれは!」


アレグリア随一の魔導師も初めて受けるスキルらしい。


ザッ!


「ぐわあぁ!」


突然グランの背中が下から上に向かって切り裂かれ、グランがその場に膝をつく。


「1対1の対人戦では、俺のほうに分があるようだな」


「くっ...」


モズが姿を現し、膝をついたグランの背後から話しかける。


確かに範囲攻撃の得意なグランより、スキル構成的にもモズの方が有利なようだ。


「まだまだ!ライトニングバースト!」


バリバリバリバリッ!


『おおおぉぉぉ!』


グランを中心に360°全方位に稲妻が飛び散る様に、観客も思わず声を上げた。


「くっ!」


モズはバックステップの連続で距離を取るが、数発被弾したようだ。


...思ったより魔法範囲が広い!これは迂闊に近寄れないか...?


「グラン選手も一太刀受けたがまだまだ負けていないぞ!魔法で反撃に出たー!」


「近寄れなくとも俺にはコレがある...」


「むっ」


グランの顔に明らかな焦りが見える。


「くらえ!炎玉!」


モズが前に手を差し出すと、人一人は余裕で飲み込めそうな大きさの火の玉が生み出される。

炎玉の最上級スキルの獄炎玉と違って、透明なガラスのような物には囲まれてはおらず、単純にあの火の玉をぶつけて攻撃するようだ。


ゴオオオオォォ!


獄炎玉とは比べるまでもなく小規模だが、それでも人一人に使うには十分な大きさの炎の塊が背中を斬られ動けなくなったグランに向かう。


「...ここまでか...」


ブワッ!

ゴオオオオオオ


炎玉が直撃しグランは呆気なく場外へと飛ばされる。

芝生の上で怪我も火傷も完治したグランが悔しそうに地面を拳で叩く。


「モズ選手!得意の炎玉が炸裂!グラン選手も健闘しましたが一歩及びませんでした!第一試合勝者!炎玉のモズ選手!」


『おおおぉぉぉ!』


モズは手を振り歓声に応えながら控え室へと戻って行った。





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