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62.クロノ大闘技大会本戦①


「さー皆さん長らくお待たせ致しました!いよいよ本日からクロノ大闘技大会の決勝トーナメントが始まります!」


『うおぉぉぉ!!』


休養たっぷりのヘイズが開始宣言をすると、今日も満員の観客達のボルテージが一気に上がる。

舞台上には決勝トーナメントに出場する6名の選手が勢揃いしていた。


「今年は例年以上に凄い戦いが見れそうだぞ!何せ決勝トーナメントの参加者が一味違う!まずは予選会の優勝者から紹介だ!」


こんな凄い人数に注目されたことが無いせいか...結構緊張するぞ...。


「予選会Aグループ優勝者!アレグリア随一の魔導師!グラン選手!」


パチパチパチパチ!


ヘイズの紹介を受けたグランが手を上げ観客の拍手に応える。



「続いて予選会Bグループ優勝者!我がアスリア国の頼れる将軍!アモンド・アイ選手!」


『わああぁぁぁ!』



どうやらこの国の軍は民からの信頼も厚いようだ。魔物から幾度も街を護っているのかもしれない。



「そしてそして!ガニメデ公国から参加!未だ謎が多くダークなイメージのこの人!私は敢えてこの呼び方をさせてもらいます!ダーティー・シュトローム選手!」


『ブゥゥゥゥウ!』


予選会での一部始終が、人伝いに伝わったのか、闘技場全体から物凄いブーイングが起こる。


シュトロームはそんなものはお構いなしに余裕の表情で腰を曲げて深くお辞儀する。


「以上、予選会優勝者の三名でした。続いて!シード選手の御紹介です」


ザワザワザワザワ...


「まずはこの人!去年の闘技大会優勝者!Aランク冒険者!炎玉のモズ・フレア選手!」


『おぉぉぉぉ!』


昨年の優勝者とあって、知名度、人気、共に高いようだ。



「お次はこの方!菊一紋次郎陛下のお孫様にしてAランク冒険者!冒険者の街ガルヴァリから参戦!死を呼ぶ踊り子!キクイチ・ローザ選手!」


『うううぉぉおおおおお!!』


『わあああぁぁぁああああ!!!』



「うわっ!?」


あまりの歓声の大きさに思わず耳を塞ぐ。


しばらく舞台上の6人も驚き観客席を見渡す。


「さすがは今回の決勝トーナメント紅一点、強さのみならずその美貌も超一流!断トツの人気だ!」


「シュン、聞いた?美貌も超一流だって!」


嬉しそうにローザが俺に声を掛ける。


「ああ、そうだね。確かにその通りだよ」


「本当にそう思ってる?」


適当に返事をしたと思われたのか、ローザが懐疑的な目を向ける。


「お、思ってるよ」


次は俺が紹介される番だ。ローザには申し訳ないが、結構ドキドキしてるので今はあまり話しかけないで欲しい。鋼の心有りでコレなのかな...?スキルの効果が発揮されている気が全くしない。



「さあ!そして!そして!今回の大闘技大会の大本命!予選会では不思議な力でバルガス選手を救い!十万匹のゴブリン大襲撃からたった一人でガルヴァリを救ったのはつい先日の事!冒険者成りたて!驚愕の15歳にして人類を救った救世主!ガルヴァリの煌星!シュン選手!」


『ううううおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおお!』


『ぉわああああああぁぁぁぁああああああ!』


「救世主様ーー!世界をお救い下さいーーー!」


「きゃああああ!!シュン様ーーー!結婚してーーー!!」


『シューンッ!シューンッ!シューンッ!シューンッ!シューンッ!』


闘技場がシュンコールで一体となる。



何コレ...何この状況...。


俺は戸惑い、歓声に応えるのも忘れ茫然と立ち尽くす。



「これはこれは!またまた凄い人気だ!強いだけでなく、優しく!若く!カッコ良い!完全無欠の新人冒険者シュン選手!決勝トーナメントでの活躍が楽しみです!」


『わぁぁぁぁぁ』


俺は辛うじて手をあげ声援に応えたが、早い所控室に引っ込みたい。


今日の対戦カードは第一試合モズVSグラン 第二試合ローザVSアモンドの二試合だ。つまり俺の出番は今日は無い...。


明日、第一試合の勝者とシュトローム。第二試合の勝者と俺が戦う予定になっている。

6人なのでトーナメントとなると不公平感があるが、厳正に抽選した結果なので仕方ないだろう。


各々の紹介も済み、選手たちは一度控室に戻る。


「シュン大丈夫?ずいぶん緊張してるみたいだけど...」


「ああ、まあ、大丈夫だよ。あんまり人に注目される事に慣れてないんだ」


俺は苦笑いでローザに応える。


「ふっふっふ、情けないですねぇ。シュンさん。私の様にどんな時でも平常心でないと...」


「シュトローム...。俺はお前を許さない。バルガスさんの借りは俺が返させてもらうぞ」


「ふっ、これは恐ろしい。救世主サマが本気で私と戦いたがっているようだ。せいぜい私と当たる前に足元をすくわれないように注意して下さいね」


「お前こそモズやグランに勝てるか怪しいがな。余裕でいられるのも今のうちだぞ」


「ふんっ」


シュトロームは不機嫌そうにその場を去る。



「さて!と、午前中はモズとグランね。ユー、じゃなかった、アモンドが相手じゃ難しいかもしれないけど、いずれ相手になる可能性もあるもんね。一応見ておこうかな...。シュンも見るでしょ?」


ローザが気を利かせて話を振る。


「うん」


「私も見るぞ、ガイアの三人で見学だ」


「あれ?でももう観客席埋まっちゃったよね?控室から見られるのかな?」


「大丈夫よ。おじいちゃんにお願いして来賓用の席を三人分取ってもらってるわ」


「...ああ、そう。ありがとう」


ローザ、抜け目がないのね...。



かくして、いよいよクロノ大闘技大会決勝トーナメントが始まった...。





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