表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/151

43.エルミナ・ローザ

目の前にガルヴァリよりも更に高い石造りの壁が立ちはだかる。


「威圧感が凄いな...」


巨大な建造物を目の当たりにするとなんとなく少し怯んでしまう。


空を飛び猛スピードで飛行を楽しんだ俺は、ほんの1時間程でクロノに着くことができた。


縦に並んだ丸太を数本の横に走る鉄の枠でしっかりと組み合わせて作られた巨大な門は、開かれれば相当大きな馬車でも余裕で通れそうだが、普段は閉まったままらしい。すぐ横にある通用口のような所から人々は中に入っているようだ。


街に近づくにつれ人通りも多くなってきていたが、門の前には冒険者や商人と思われる人達の長い列が出来ていた。


門の横にある小屋には兵士が数人在中し、列の先頭の人達とやり取りをしている。身元確認のようなものだろうか?

俺もその列の最後尾に並び、その様子からなんとなく日本の遊園地や動物園の入場受付けを思い出す。


「さすがにしっかりしているなぁ...」


規模とセキュリティに感嘆し独り言を呟くと、前に並んでいた若い女性が振り返り話しかけてきた。


「ふふ、君、首都に来るのは初めて?」


「あ、はい」


黒髪ロングでキリっとした少しキツめの目に見つめられ少しどぎまぎしてしまう。



「この街は私の生まれた街なの。この壁の中にいると気づかないけど、初めて外から来た時は大きくてビックリするよね」


「はい。僕はガルヴァリから来たんですが、あそこも大きな街でしたけど、首都というだけあってここは更に大きいですね」


「え、そうなの!?私もガルヴァリから来たのよ。酒場や夜のギルドなんかで踊り子をしていたんだけど...君くらいの年齢だと私の事聞いた事ないかな?ガルヴァリのエルミナ・ローザって、これでも結構有名なのよ」


「エルミナ?」


エルモナルに来て菊一紋次郎以外で初めて苗字を聞いた。


「エルミナは夜にだけ咲く花ね。可愛らしい小さな花なんだけど月明かりに青白く光る花びらは幻想的でとても綺麗なのよ。私も夜にお仕事をするからそんな花と同じ通り名が着いたってわけ。あ、ローザが名前ね」


なるほど。通り名か。


「素敵なお名前ですね」


ローザは少し驚いたような顔をした。


「君、見かけによらず案外軽い子!?」


しまった。ナンパしたと思われたか。


「いえ!そんなつもりじゃ...」


「ふふ、分かってるわよ。君可愛いから少しからかってみただけ」


踊り子らしいエキゾチックな雰囲気に、健康的な小麦色の肌。

目はキツめだが、笑った顔はとても可愛らしい。


「それで?君のお名前は?」


「あっすみません。俺はシュンと言います。冒険者をしています」


「えっ。そうなんだ...。冒険者、ね。」


そこで会話は終わりローザは前を向いてしまった。一人称を俺にしたのがまずかったか?それとも何か悪い事でも言ってしまっただろうか?


そのまま列が進みもうすぐ順番が来るかと言う所で、ふいにローザが振り返った。


「ねえシュン君、変な事聞くんだけど、ガルヴァリが今大きな危機に見舞われてるって知ってる?」


ゴブリン大襲撃の事だろうか?さすがに一般市民にも情報が公開されていたのか?


「はい、なんとなく噂で聞いただけですけど...」


もう俺が解決してしまったが話すと長くなるし、もうすぐ順番が来そうだから適当に合わせておこう。


「冒険者達に協力要請が出るかもって聞いたわ。そんな状況を知ってて君はガルヴァリを離れたの?」


...なるほど。それがひっかかって急に態度が変わったのか...。


何と言ったら良いか考えていると...



「まあ、私もその話を聞いても首都に来たから人の事をとやかく言えた立場じゃないんだけどね」


さみしく笑うとローザはそのまま受付けを済ませ、街に入って行ってしまった。









ローザ登場。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ