42.アスリア領土お勉強
ギルドで首都クロノが北にある事を聞いた俺はガルヴァリ北門の外に来ていた。
あの後、すぐにでもガルヴァリを経とうとしたものの、流石に疲れていた俺は三日ほど休みを取りブラブラと街を散策したり、エルモナルの食文化を学ぶ為食べ物屋巡り等もしたが、特にこれと言って驚くことはなかった。
やはり日本の食文化のレベルは高かったなあ、と昔を懐かしんだくらいだ。
「はあ、ラーメン食べたいな…」
ゴブリンを10万匹倒してもラーメン一杯が食べられない。
…なんとも言えない話だな。
大自然を目の前に切ない思いを呟く。
「まー、叶わない事を言ってても仕方ない!」
気を取り直して前を向く。
街の北側は緩やかな登りが続く小高い丘になっており、門から伸びる一本の道の周りには短い緑の草が生え、所々に木が生えている。
丘の先の稜線は左右にどこまでも広がっていて、早くそこまで行って丘の向こう側を見てみたくなる。
天候は今日も快晴で、頬を撫でる優しい風がなんとも心地よい。
「天気も良いし、見晴らしも良いし...。ピクニックにでも行きたくなる気分だなぁ」
日本ではインドアで部屋に篭ってゲームばかりしていたが、魔物と戦い体を動かしているせいか外に出たい欲求が生まれてきた。
「さて、さっさと用事を済ませて、レベルとランクを上げよう」
休みも取ったし、魔笛のおかげでさくさく成長出来るので魔物討伐のモチベーションも充分だ。
「ガルヴァリとエリバンの間はこのくらいか...」
先程借りた地図の上で親指と人差し指を尺取虫のように動かし距離を測る。
首都クロノまでは、ガルヴァリからエリバンまでの距離とほぼ同等のようだ。
走って数時間だったよな...。飛んだらどれくらいで行けるんだろう...。
地図で見るとクロノはここからほぼ真北だが、方位磁石も無いし太陽の位置から方角を割り出すのも正確性に欠ける。
多少蛇行したり別れ道があったりするようだが地図の道を頼りに行くしかないようだ。
「ゼログラビティ!」
俺は地図をしまうと、早速新たに覚えた特殊スキル:ゼログラビティを使い宙に浮いてみる。
「おおー、凄い!浮いたー!」
初めて使ってみたが思ったより身体のコントロールが容易にできた。自然と地面に立っている時のような姿勢を保てている。
しかし、ここから先はどうやって移動するんだ?
少し怖いが、日本で見たアニメの主人公が空を飛ぶ姿をイメージをしてみる。すると...
「おぉぉ!」
高低も、右折左折も、スピードも、イメージ通りに動くことが出来、更には空中で何度も前転したり体勢を崩す事なく剣を振ったりする事もできた。
「これはまた便利だなぁ」
走っても相当のスピードを出せていたが、これで移動が更に楽になりそうだ。瞬間移動でいつでもガルヴァリには帰ってこられるしな。
ただ、風で地図が破れてしまわないか不安だ。
「地図を確認する時は止まって見るか」
そう思い、俺は空中に浮いたまま静止すると、無限袋にしまっていた地図を開き改めてじっくり位置を確認してみる。
だいぶ尺度が小さいらしくアスリア全土が描かれている大雑把な物だ。
ほぼ四角形の領土に、広大な森と平原がメインの国らしい。東側の平原の先は海になっていて、西の森にエリバン。その更に奥にはガニメデ公国領が位置している。
ガルヴァリは国土の中心より少し南、首都クロノは国土の北寄りにある。
周辺にも数カ所小さな街があるようだが、今は気にする事はないだろう。
「さて、行くとするか!」
位置確認を終え、軽く気合いを入れた俺は上空高く舞い上がり首都クロノへと飛び立った。
短くなってしまったので、次の話は早めに投稿できるよう頑張ります。




