表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/151

34.猪の群れ

移動を開始して既に三日目に入った。


誰一人脱落する事無く、ただひたすら全員で歩き続ける。

三日目にしてようやく大きな森を抜け、膝下ほどの高さの草が群生する広大な草原の中に俺達はいた。草原のど真ん中に草の無い乾いた土の道が一本あり、歩くのも割と楽だ。こういった開けた場所では上空からの襲撃にも警戒が必要だが、青く晴れ渡る空では小鳥が囀りながら飛び交い、なんとも平和な雰囲気を醸し出している。


食事の時には魔笛を使いファングボアを呼び寄せる。この猪は魔物では無いが何故か魔笛が聞こえるようで、食べられる為に寄ってきてくれた。ガルヴァリの宿屋でステーキになっていた程の肉質で、臭みも無く美味い。


ただ、毎食猪肉だけだとさすがに飽きるので、途中の休憩の時にいくつかの班に分かれ、護衛を各班に配置した上で木の実や果実なども採取し、それも皆で分け合ってメニューの足しにした。


魔物に関しては、感知Ⅱで進行方向に魔物を見つける度に俺が速攻で倒してしまうので、エリバンの皆に危険が及ぶ事は無く、移動はすこぶる順調だった。



「いやー。シュンのおかげで思ってたよりだいぶ楽だな」


「はは、そうか?なら良かった。しかし皆そろそろ足の疲労が酷いんじゃないか?」


休憩を挟むとはいえ、朝から晩まで一日中歩いていると、足にマメができてしまったり、靴擦れを起こしてしまう者もいる。ヒールで都度対応するが、疲労感までは解消できない。


「誰も弱音を吐かないが、まあ、本心はそうだろうな。できれば早めにガルヴァリからの迎えと合流したい所だ」


予定ではそろそろ馬車と合流できても良い頃なのだが...。



と、感知スキルの先の方で数匹の魔物の影が見えてきた。


「ローニン、この先にまた魔物がいる。だが...」


感知でよく見ると、何匹かの馬と人間達もいる。一方魔物達は数匹が集まり陣形を組み人間達を囲むように陣取っているようだ。


「様子がおかしい!多分ガルヴァリからの迎えの馬車が魔物に囲まれているぞ!」


「なんだと⁉︎集団で襲うような知能を持つ魔物は...。この辺だとゴブリンか⁉︎」


「いや!其々がゴブリンよりデカい。太ってて...槍を持っているように見える」


「槍だと?まさか...オークか!」


「観察眼Ⅱ!」


オーク

ランクE

LV25

武器:鉄の槍

防具:鉄の盾、皮の軽鎧

耐性:火、水、斬撃、麻痺

弱点:無


ランクE...

ゴブリンより一つ上か。

狼のボス、ワーウルフはランクDと言っていた。それよりは弱いわけだな?


ただ、ウルフの大群を倒した時に、群れだとランクがあがるとエイミーが言っていた。

と言う事は、少なく見積もっても30匹はいるであろうあのオークの群れはランクD相当と言う事になる...。


意外と早くワーウルフクラスの敵を相手にする時がきたようだ。まあ、今なら普通に勝てる気はするが...。


「ローニン、ここでみんなで待機していてくれ。少し試したい事があるんだ」


「ああ。分かった。オークはランクEだ気を付けろ!」


さて、必勝パターンが通用するか...?素材の事を考えると、なるべく傷付けずに倒したい。

傷付けない...。そうだ!


「シールド!」


道に沿って縦長に楕円型のシールドを張り、エリバンの皆を守る。

結構な広範囲にシールドを展開したのでMPの消費もそこそこのようだ。


そして、感知Ⅱで見たオークを思い浮かべながら短く魔笛を吹く。


「属性付与!ライトニング!ライトニング!」


武器と防具にライトニングを纏わせる。


剣も防具も白く輝き、プラズマのような筋が全身から絶えず放出される。


こちらに全速力で向かってくるオーク共に向かい、俺は怯む事なく接近し魔法を唱える。


「ソウルイーター!衝波斬!」


先頭の一匹の首を狙う。斬撃に耐性があるようだが、なんとか首の左半分を切断することに成功する。


グガッッ!!


こちらに向かって走っていたオークだが、首に斬撃を受けた衝撃で後頭部から地面に叩きつけられ、仰向けのまま動かなくなる。


魂が光となって俺に吸い込まれた。


「よし!ウォータ!」


MPが回復したのを確認した俺は、粘度のある水を顔に纏わり付かせるイメージでウォータを使う。

オークの豚のような鼻目掛けて水の塊が飛んで行き、着弾と同時に顔全体を包み込んだ。


ガボッ!グガガッ!


顔を水で覆われたオークは、鼻を塞いでいる水を退かそうと足掻くが、手が水を突き抜け上手くいかない。そのまま歩みを止めたオークはその場でもがき苦しみ、前のめりに倒れ込んだ。


「よし!上手くいった。ウォータ!ウォータ!ウォータ!」


魔法は連続使用が可能だ。

寸分違わぬコントロールでオーク達の顔目掛けて数発の水塊が飛んで行く。


グオッ!


ガッ!


ブキィッ!


そのまま5匹くらいはウォータで傷をつける事なく倒せた。放っておけばそのうち溺死するだろう。が、後続のオーク達には接近され、近接戦闘になる。


オークは流石にランクEに格付けされるだけあって、どいつも2メートルは越えようかと言う体躯だが、動きも早いしパワーもありそうだ。

しかしLV27になり、加えて防具への属性付与で数段階動きが俊敏になった俺からすると、力の差があり過ぎて最上級スキルを使うまでも無い。


ヴヴゥゥンッ!


ライトニングを付与された魔法剣は、振るだけで電気的な独特の音を発する。


オークの毛は近くで見ると1本1本が太く、針のように鋭い。毛自体が生まれつきの鎧のようになっており、これが斬撃耐性になっているのだろう。


しかし、そんな剛毛もライトニング付与の魔法剣の前では何の役にも立たず、俺のスピードについて来られないオーク共は、次々と首をはねられて行く。ランクEともなると、中には辛うじて槍の柄で剣を受けようとする者もいるが、俺は力づくで柄ごと首をぶった斬る。切断跡は焼け焦げるが、素材的には概ね問題無いだろう。


ヴヴンッ!


ヴヴゥゥンッ!


ヴヴゥゥンッッッ‼︎


首を一振りで跳ねるので、オーク共は声を上げる間も無く死んで行く。

獰猛で恐ろしいはずの猪の表情が恐怖に歪んでいるようにも見える。


「ブキィ!フゴフゴ!」


「グワッ!グオッ!」


周りのオーク達が意思疎通しているようだが、お構いなしに次から次へと首を跳ねまくる。

首を失った体が、薙ぎ払った横方向へ側転し地面に転がる。


こうして、俺を殺そうと息巻いて襲いかかって来たオーク共は、ものの数分で全滅した。


「ふぅ」


ソウルイーターが解除され、属性付与も解除する。


レベルが上がった!

パッシブスキル:MP自然回復を覚えた!


おお、道中の魔物ではレベルが上がらなくなっていたが、さすがはランクE魔物。レベルが上がったぞ。しかもパッシブスキルでMPをカバーしてくれるとは、またまた良いスキルを覚えてくれた。


どれ、一応...。MP自然回復の効果を知りたい!


パッシブスキル

MP自然回復:毎秒MPが自然に回復する。回復量は残りMP量が少ない程多くなる。


なんだこのチート。笑えてくる。ソウルイーターとの相性抜群じゃないか。

今までウィークポイントだと感じていたソウルイーター使用直後の脱力感による隙を1秒で埋めてくれると言うことだ。素晴らしい。


新たに覚えたスキルに満足し、エリバンの皆にかけていたシールドを解除する。オークの死体を回収し、血だらけになった道に浄化をかけていると、オークがいた方向から何台もの馬車が向かってくるのが見えた。



「おお!ガルヴァリからの迎えか⁉︎」


「お、ローニン。そっちは何事も無かったか?」


「ああ、しかし...相変わらずの無双っぷりだったな。オークがあれだけ群れていたら、小さな村くらいなら壊滅させられてもおかしく無いってのに、そのオーク達が可愛そうに見えたぞ」


「ははっ。あのくらいなんて事ないさ」


「はぁ、俺もいつかはオークの群れを''あのくらい"扱いしてみたいもんだぜ...」


半笑いで、ローニンがため息と共に呟く。



そうして俺達は、三日目にしてようやく迎えの馬車と合流したのであった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ