29.千人隊長
「ふぅ、やっと終わったか」
...ん?おかしいぞ、あれだけ倒したのにレベルが上がらない...。
不思議に思っていると、感知が自動で発動した。
「む!なんだあのデカい影は!」
感知範囲の端から通常のゴブリンの2倍はあろうかという大きさの赤い影が、かなりのスピードでこちらへ向かって来るのが見えた。
そしてそれが視界に入った時、俺は目を疑った。
「なんだあのゴブリンは⁉︎」
見た目はゴブリンの姿をしているが、肌の色が通常のゴブリンの茶色と違い、オレンジ色をしている。
体のサイズも大きく、2メートルは優に超えていそうだ。
「ボス的な魔物か⁉︎観察眼!」
ゴブリンリーダー
ランクE
Lv20
武器:錆びた剣
防具:皮の鎧
耐性:毒、麻痺
弱点:火
ゴブリンリーダー...だと?
ゴブリン達も組織で動くのだから、ある程度の纏め役がいるわけか。
知能も普通のゴブリンより高いのだろうか?
「グググ...。オマエ、ナニモノ、ダ? オレノ、コブンタチ、キュウニ、クルッタヨウニ、ハシリダシタ。オマエ、コロスタメ二!」
言葉を話したぞ...。
コイツはリーダーなせいか、普通のゴブリンを対象とした魔笛は聞こえなかったようだ。
「コタエロ!コレ、ミンナ、オマエ、ヤッタノカ⁉︎」
魔物にしては仲間思いだ。怒りと悲しみが感じ取れる。
「ああ、そうだ。言っておくが、こちらはこの基地が襲われたから対処しただけだ。お前達が何匹集まろうと俺には勝てん。諦めて帰ってくれないか?」
気紛れか、部下を全滅させられたのが可哀想に感じたのか、俺はなんとなくコイツと戦いたくなかった。
「ググ...。ソウハイカナイ。オレノ、コブン、ゼンメツ...。コノママ、カエッタラ、オレ、コロサレル。オマエ、ツヨイ、デモ、オレ、タタカウシカナイ」
そう言うと、ゴブリンリーダーは錆びた剣を前に構え、戦闘態勢を取った。
「そうか...。ならば仕方あるまい。お前名前はあるのか?」
「ググ、ゴワゴワ、ダ」
「そうか、俺はシュンだ。行くぞ!」
属性付与もソウルイーターも発動したままだ。
俺は一気にゴワゴワに接近し、剣を振るう。
キンッ!
俺の剣を受けたゴワゴワの錆びた剣は、一撃も耐える事なく折れ飛んだ。
「グッ!ヤハリ、オマエ、ツヨイ。イママデ、アッタ、ナカ、デ、イチバン、ダ」
「それは光栄だな!ライトニング!」
「アバババッ!」
流石に即死は免れたようだが、激しい電撃に撃たれ、ゴワゴワの動きが止まった。
「安らかに眠れ」
ザンッ!
跳ね飛ばした首が地面に転がり、燃えあがる。続いて、残った身体が膝から崩れ落ち地面に倒れ込んだ。
会話をして意思疎通をしたせいか、なんとも言えない気分になる。
しかし、こいつらは基地を襲い何人もの人々を殺した魔物なのだ...。
そして、ソウルイーターが解除される。
どうやら戦闘終了らしい。
俺はゴワゴワの死骸を袋に仕舞った。




