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27.最強魔法

さて、あぁは言われたものの、これからどうしたものか...。


俺はギルドから寝床にしている宿に戻り、とりあえず昼飯を食べていた。


自分の身を守る為にも少しレベルを上げて、強い魔法を覚えたい。とか念じてみるか?

いや、魔法だとMPが切れたら終わりだ。

となるとスキルにするべきか...。

強いスキルはクールタイムも長いだろうから連続して放つ事は難しいだろう。

今欲しているのは、単発の威力よりも、長時間多くの敵を相手に出来るようなスキルか魔法だ。

何か良い案は...


ってあれ?

もしかしてこれは...


俺はふと思い立ち、飯の勘定を済ませると、再びギルドへと向かった。


***


ギルドへ来た俺は依頼ボードへ向かいゴブリン討伐の依頼を探すが一枚も見当たらない。


「あ、シュンさん!さっき大事なお話をしていたようですが、ゴブリン大発生の件ですか?」


エイミーが不安そうな顔で声をかけてきた。


「あぁ、エイミーも知ってるんだね」


「ええ、さすがに一般市民にまで情報が漏れてしまうとパニックが起こる恐れがありますので、ギルド職員の中でもごく一部の人にしか状況は説明されていませんが...」


「大変なことになったね...。少しでもゴブリンを狩っておこうと思って来たんだけど...」


「あ、ゴブリン討伐の依頼については今後大量に倒される事になると予想されるので、一時‬的に依頼ボードから削除しています」


「なるほど。じゃぁ普通に依頼無しでやってみるか」


「?何か討伐の作戦があるのですか?」


「うん。ちょっと思いつきでね。試してみたいことがあるんだ」


「そうですか、こんな時ですから、ゴブリンを狩るならいつも以上に気をつけてくださいね」


「ああ、分かった。ありがとう。行ってくるよ!」


「行ってらっしゃい!お気をつけて!」


***


数分後、俺は街の西にある森へ来ていた。レベルが上がったおかげか、ギルドから街の西門、西門からこの森まではそれぞれ結構な距離があったが、かなり早めの移動速度で来ても疲労感は全く無い。


「さて、と...」


あまり奥へ行くとゴブリンの斥候がいるかもしれない。

手前の方で野良ゴブリンを狩るとしよう。


俺は昨日見たゴブリン討伐の依頼書にあった絵を思い出しながら魔笛を短く吹く。


ウルフの例もあるので、一度吹いた後はしばらく待った方が良いだろう。


程なくして感知に3匹の赤く光るゴブリンが反応しているのが見えてきた。


「3匹か。丁度良いな。観察眼!」


ゴブリン

ランクF

Lv5

武器:棍棒

防具:布の服

耐性:無

弱点:火、雷


典型的な雑魚魔物だ。


敵のステータス確認はこれで良しと。


ウルフの時は属性付与でなぎ倒したが、今回は魔法の威力も確認しておこう。


「フレイム!」


ゴウッ!


前に突き出した手の平から火柱が水平に噴き出す。


「ギャッ!」

「ギギッ!?」

「グワッ!」


真直ぐ俺に向かって走っていた3匹は纏めて火に飲み込まれ絶命した。


レベルが上がった!

魔法:ソウルイーターを覚えた!


...魔法の威力は充分だ。一発で何匹か倒せそうだ。

それは良いとして...。ソウルイーター?なんだろう。ゴブリンを食うのか?ちょっと気分的に嫌だな。


ソウルイーターとは何だ?知りたい!



魔法:ソウルイーター

消費MP:全て

持続時間:戦闘終了まで

効果:倒した敵の魂のエネルギーを吸収し、自身の体力と魔力に変換する。



...やっぱり予想通りだ...。


こういうのが無いかな?と考えただけでその要望に応え得る魔法を覚えてくれた。まさに望みのままに。だ!


体力も回復してくれるなら疲労感も無視できそうだ。これなら空腹や眠気が来ない限り継続して魔物を狩り続けられるだろう。


...ヤバい。対多数に関しては最強魔法だ...。


よし、早速新しい魔法の効果を確認してみよう。

俺は再びゴブリンを魔笛で呼び寄せる。


「今度は10匹はいるな。いいぞ」


ゴブリンが適度に近づいてきた所でスキルを使う。


「属性付与!フレイム!」


まずは武器にゴブリンの弱点である火を纏わせる。


「属性付与!フレイム!」


今度は防具だ。


「よし、ソウルイーター!」


唱えた瞬間激しい脱力感が身体を襲う。


くっ!MPが枯渇するとこんな感じになるのか!

しかし、なんとか動かなければゴブリン10匹が迫って来ている。


「腕!うごけええぇ!!衝波斬!!」


スキルはMPが関係ないのでこんな時役に立つ。


ザンッ!


最初の一匹が声も出さず胴体を上下に真っ二つにされる。

上半身がそのまま何処かへ飛んで行き、バランスを崩した下半身が地面に倒れる。


死んだゴブリンの体から白く輝く細い光が俺の身体へと吸い込まれた。と、同時にそこそこの力が戻るのを感じた。

体感だが、結構な量のMPが回復したようだ。


「よし!フレイム!ライトニング!衝波斬!」


衝波斬のクールタイム中に魔法を挟む事で効率良く敵を倒す。

魔法を使っても先程のような脱力感は感じない。

魔法のMP消費よりソウルイーターの回復量の方が余裕で勝っているようだ。


掌から炎の柱が迸り、稲妻の閃光がゴブリンに襲いかかる。魔法を使った側から全快しているようで、疲労感等微塵も感じない。


あっという間にゴブリン10匹を片付け終えた。

売れるか分からないが一応死体を回収しておく。


「うーん。この感じで何匹くらい狩れるんだろう?」


いや、待てよ?最初こそ危険な状態になってしまうが、一度狩り始めたら消費MP関係なく戦えるわけだ。


...と言う事はだ。

恐ろしい考えが浮かんでしまった。


MPはいくら消費しても構わない。その消費に見合う威力重視の大規模魔法を覚えたい!



...これで良し。


覚えるタイミングはレベルが上がった時なのでもう少し敵を倒そう。


「魔笛!ゴブリン!」


誰が聞いているわけでもないが、なんとなく声に出してみた。

言ってから口笛を吹く動作をするので少し間抜けだ。まぁ、誰も見てないから良いや。

なんとなく気恥ずかしくなり、ヤケ気味でだいぶ長い事魔笛を吹く。


おかしいな。全然ゴブリンの姿が見えてこないぞ?野良ゴブリンはあれしか居なかったのだろうか?

俺は仕方なく森の奥へ入り込み、感知を発動しながらゴブリンの魔笛を吹き続ける。

多少の群れなら倒しきれるだろうし、このくらいのレベルだと、結構数を倒さないとレベル20まで上がらない気がする。


散歩しながら魔笛を口笛の様に吹き、奥へ奥へと進む。森の中にも木が無い道の様なものがあり進みも容易だ。おそらくユディエルが言っていた基地に続く道なのだろう。


どのくらいの距離か分からないがついでに基地まで行ってみるか?もしかしたら生き残りが立て篭もっているかもしれないし。


俺は一度魔笛を吹くのを辞め、皮服に魔力を通す。


「属性付与。フレイム」


万が一移動中に敵にぶつかってもこれである程度大丈夫だろう。


「よし、行くか!」


俺は軽くなった身体を矢のように走らせ森の中を一気に駆け抜けた。

作中に出て来る魔法名、スキル名、その他固有名詞は既存の漫画、アニメ、ゲーム等とは一切関係ありません。

特に横文字は単純に英語と思っていただけると幸いです。

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