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21.対人戦

ウェインとギルドに向かっていると、ふいに感知スキルが発動した。


ん?勝手に感知モードだ。


突然の事に戸惑っていると、緑に光っている人影の中で、一人だけ赤く強く光っているのが見えた。


「あれは、人か?ウェイン!ギルド手前の建物の物陰に、俺に敵対心を持ったヤツがいる!誰だか分からないけど、いきなり襲ってくるかもしれないから気をつけて!」


小声でウェインに注意を促す。


「えっ、そんな!それが分かるなら逃げた方が良いんじゃ?」


「いや、多分ヤツは俺達が気づいているとは思って無いだろうから、そこに逆に隙がある。おそらく通り過ぎた所で背後から襲ってくるだろうけど、その時を狙う。ここで逃げても後からまた別の場所で襲ってくるだろうし。そしてその時は俺達に感知されるかも、と警戒心を持って慎重に攻めてくるはず。だから今がチャンスなんだ」


「分かりました。魔物と戦うと思って、危険と向き合う覚悟はして来ました!対人になっちゃいましたけど、腹を括ります!」


「あぁ、ありがとう。襲ってきたらウェインは回避に専念してね!」


ウェインは無言のまま目で頷き、俺達は普通を装ってそのままギルドへ進む。

ヤツの横を通り抜けた後、予想通りヤツは俺達の背後に回った。

そして、急接近し攻撃を仕掛けてくる!

狙いはウェインか!


視線は前を向いているが、感知でヤツの動きを把握していた俺は、その剣がウェインに届く刹那、振り向きざまに剣を抜き弾いた。



キィィン!



!?


「くっ!なぜバレた!?」


「さぁな!」


言いながら俺はヤツの武器を持った方の腕を根本から斬り飛ばした。


ザシュッ!


「ッッ!ぐわあああぁぁぁ!!」


「あ!あの剣!シュンさんのですよ!」


「えっ!?」


落ちた剣に目をやると、確かに見覚えのある剣だ。


「この黒いバンダナとマスク。間違いない。こいつが僕を襲った盗賊です!」


「そうか、なら心置き無くお仕置きできるね」


俺の中に感じたことのない残酷な心が芽生えてくる。


ザッ!


俺は失った腕を抑えていた、残されたもう片方の腕の手首から先を斬り飛ばす。


「ぐぎゃああああ!」


あまりの激痛に盗賊はその場に両膝をつき蹲る。


「殺す気で来た割には自分がやられた時はみっともないな。お前は何者で、何の目的で襲ってきた?」


「ぐうっ!クソがぁぁ!新人冒険者じゃねぇのかよおおお!ハァッ!ハァッ!っちくしょおお!殺せ!俺は何も言わん!さっさと殺せえ!」


「...ヒール!」


俺は盗賊にヒールをかける。腕の出血は止まったが切断された先は戻らない。


「なっ!回復魔法!?そうか、そっちの武具屋が生きていたのもてめぇの仕業か。だか、一体何のマネだ?」


痛みも消えたのか、盗賊は少しは落ち着きを取り戻したように見える。


「襲われたから迎撃したが、俺は人殺しじゃない。お前を裁くのは然るべき人達に任せる。ただ、俺の物は返して貰うぞ」


俺は自分の剣を拾った。


「さて、それじゃ何故俺を襲ってきたかを聞かせてもらうかな」


「へっ。言っただろう。俺は何も喋らん」


「そうか」


キンッ!


盗賊の左耳が宙を舞う。


「ぐうっ!」


「ヒール」


「くそっ。なんてヤツだ。ハァハァ」


「盗賊になんてヤツ呼ばわりされるとは心外だな」


「わ、分かった。悪かった。もうこれ以上は止めてくれ。俺の目的はコイツだ。昨日ギルドで奪ったんだ。使えなかったんで使い方を聞こうと思っただけなんだ。これも返すし自首もする。もう勘弁してくれぇ」


完全に心が折れたのか、盗賊は涙目になりながら素直に目的を告げた。

しかし、無限収納袋もコイツが持ってたのか。懲らしめるにしてはやり過ぎたと思ったがそうでもなかったな。

俺は袋を回収し、腰に下げた。俺以外は使い方が分からないだろうけど、これももっと大事に扱わないとな。


いつの間にか騒ぎを聞きつけた住人が事の顛末を見ており、街の衛兵を呼んで事情を説明してくれていた。

盗賊が自首した事もあり、俺とウェインはその場で少し話しただけで一件落着となった。



「いやー、シュンさん強いですね!びっくりしましたよ!」


「いや、あはは。実は俺、人を傷付けたのなんて初めてで、あれでもすっごい緊張してたし、斬った後なんて手が震えて剣を持っているのがやっとだったよ」


「そうなんですか!?」


「ヒールがあるからある程度無茶出来たけど、そうじゃなかったらとてもあんな風に出来ないよ」


「そうでしたか。いや、ありがとうございます。剣も奪い返して頂いて。命を救われたのも二度目になっちゃいましたね」


「良いって!剣も袋も戻ってきたし、大変だったけど良かったよ。それより、試し斬りに借りてた剣、人を斬っちゃったけど大丈夫かな?」


「?武器ですから、当たり前じゃないですか。何を気にしているんです?」


人間の血が付いた事を気にするかと思っていたが、エルモナルでは武器は魔物専用って訳じゃないようだ。


「あ、いや、そうだよね。何でもないよ。あははは」


「ところで、無事に武器も戻ってきた事ですし、僕の冒険は無しですかね?」


「いや、武具屋として魔物を倒さないといけない機会があるなら、ウェインさえ良ければ、少し強くなっておいた方が良い事には変わりないんじゃないかな?」


お父さんもそれで命を落としたのだ。ここは強くなっておくべきだろう。


「そうですね。シュンさんが良ければ是非お願いします!」


「よし、それじゃ予定通り神父さんに才能を見てもらって魔物を倒しに行こうー!」


「はい!」


「...えっと、ごめん。神父さんてどこにいるの?」

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