20.奇襲
その日は荒らされた店内を二人で片付け、お礼にとウェインの家で夕飯をいただき寝床まで提供して貰って翌朝を迎えた。本当は巾着袋がどこにいってしまったかが気になってはいるが、ウェインがこんな事になってしまった以上、こちらを優先するべきだろう。魔法剣も奪われたままだし。
「いやー、しかし、浄化ってほんと便利ですね!お風呂に入らなくても清潔だし、ご飯の後歯磨きもしなくて良いし、店内もピカピカで掃除要らず。そのスキルだけで食べていけそうですね!」
「あはは、そうかもね。何の職業のスキルなんだろう?」
「さぁ、僕も武具屋一筋で、どんな職業があるのかあんまりよく分からないんですよね」
「そっかー。あ、それはそうと、ウェインは神父さんに何の才能が見てもらった事はあるの?」
「いえ、僕は冒険者になろうと思った事は無いですし、最初からお父さんのお店を手伝おうと思ってましたから」
「そうかそうか。まぁ、それじゃ、これからせっかく魔物退治に行くし、その前に神父さんに才能を見て貰おうよ」
「えぇ、それは構いませんが...。確か、才能があっても無くても見てもらうだけで10万ゼニルかかったような...」
「結構かかるね...」
「まぁ、神父さまも生活がかかってますからね」
ウェインは苦笑いをする。
「よし、それじゃあまずはお金稼ぎからだね!ギルドで依頼をこなせばすぐに溜まるよ」
「10万がすぐですか...。冒険者って儲かるんですね!」
「あ、あぁ、まぁうまくやればね!」
俺は反則的な自分の狩りの仕方に後ろめたさを感じながら返事をし、ギルドへ向かうのだった。
***
「畜生。あの新人め。一晩中ギルドを見張っていたってぇのに来やがらねぇとは」
かと言ってヤツが何処にいるのか当てがあるわけでもねぇしな。
多少寝不足だか、夢の怠惰な生活の為だ、またギルド前で待ち伏せするか...。
見習い盗賊ハガネルはギルドの入り口が見える物陰に潜みターゲットがくるのを待った。
「む、いきなり来やがった!ヤツだ!」
メインストリートを歩いて来る男二人を見つけ、戦闘モードに入る。
狙いは不意打ちによる先制攻撃だ。
まずは隣の男を殺し、ビビった新人の脚を斬りつけ動けなくする。その後は人目を避け誘拐し、じっくり袋の使い方を尋問する。
...我ながら完璧な作戦だ。
物陰に隠れながら二人が前を通るのを見届け、背後を取る。
一撃で仕留める。俺は死角から音もなくヤツらに近づき、後頭部に剣を突き出した。




