19.強盗
しかし、見た目はこんなに小さな袋なのに、一体何が入ってるんだ?
袋の中に手を入れてみようとすると...
バシッ!
「ぐぁっ!」
な、なんだ!?
強い衝撃が右手を襲い、腕の付け根まで全体が痛みで痺れた。
くそ!使用者が限定される魔法か何かか?
袋を逆さまにしても...何も出てこない。
棒を入れてみようとしたが...
バシュ!
やはり弾かれてしまった。
「くそっ!くそっ!くっそおおおおぉぉぉ‼︎」
なんてこった...全く使えないじゃないか...。
こんな物売れるわけが無い。
あの新人冒険者め...。こうなったらヤツを痛めつけて無理矢理使い方を吐かせるしかないな...。
ハガネルは武具屋で奪ったばかりの良質な剣を腰に携え、目の奥に暗い光を灯しながら、ガルヴァリの街へと向かうのであった。
***
ついてない事は重なるものだ。
無限収納袋を無くした俺は、ギルドでエイミーに袋の落し物がない事を聞いた後、ウェイン武具屋に来たのだが...
「ウェイン大丈夫か?一体何があったんだ?」
俺が武具屋を訪れた時、店内は酷く荒らされており、店の奥では背中から血を流したウェインが倒れていた。なんとか即死は免れたようで、かすかに息をしていたので慌ててヒールをかけ、身体が回復したところで事情を聞こうとするが...。ウェインは涙目で悲壮な表情を浮かべたまま下を向き、一向に話そうとしない。
「すみませんっ...すみませんっ!シュンさんに合わせる顔がありません!」
ウェインが泣きながら言葉を絞り出す。
「どういう事だ?誰かに襲われたんだろ?」
「...実はあの後シュンさんからお預かりした剣の鞘を早速作ろうと思って、店の奥で準備をしていたのですが...」
***
材料はこれで良し!と。
こんなに素晴らしい剣の鞘を作れるなんて光栄だなー。ワクワクするぞ!
僕は店の奥で準備をしていたのですが...。見たことも無い剣との出会いに、すっかり浮かれていたんです...。
ガシャン!
店の方で嫌な音がしました。
恐る恐るお店の方に行ってみましたが、特に変わった事は起きていません。
嫌な予感がしたので少し早かったですがお店を閉めて奥に戻った時、いきなり背中に激痛を感じました。燃えるような痛みでした。
自分が背後から斬られたんだと分かり、なんとか犯人の顔を見ようとしましたが、黒いバンダナと黒いスカーフで鼻まで顔を覆っていて表情を見る事はできませんでした。
後はそのまま地面に倒れて気を失ってしまったようです。
気づいたらお店の中が荒らされ、いくつかの高価な武器と...あぁ、それと、なんという間抜けさか、シュンさんからお預かりしていた至高の剣を盗まれてしまったようなのです...。
***
「本当に、本当に申し訳ありません。一生をかけてでも必ず弁償いたしますッ...!!」
ウェインは再び泣き崩れてしまった。
「...なぁ、ウェイン。絶対秘密守れる?」
「は、はい?秘密...ですか?」
ウェインは涙目で俺を見上げる。
「うん。これから俺が言う事、絶対誰にも言わないで欲しいんだ」
「大切な剣を奪われてご迷惑をお掛けしただけでなく、シュンさんは命の恩人。シュンさんが知られたくない事だと言うのなら、絶対に誰にも言いません!」
ニヤ。
俺は小さく悪戯な笑みを浮かべた。
「よし!じゃあまず涙を拭いて立ち上がるんだ!」
そして俺は自分が人より多くの経験値を貰える事、無職でありながら様々な特殊スキルや魔法を使える事を話した。
「そんな事があるんですか...。いや、他ならぬシュンさんの言う事です!信じます!
...で、何故そんな大事な事を僕に?」
「ふっふっふ。それはね。ウェインくんには強くなって貰って、一流の武具屋になってもらおうと思ってね!」
「えぇぇ!僕が魔物と戦うんですか!?冒険者になるって事ですか!?」
「冒険者にならなくても、レベルは上げられるんだよね?多少でも強くなれば今回みたいに襲われたとしても対処できるし、武器の試し斬りなんかも自分で出来るよ。何、すぐだから!すーぐ強くなっちゃうから!」
お父さんを魔物に殺され、若くして跡を継いだ親孝行者には、これくらいしてあげたい。
あと、とりあえずウェインを襲ったヤツは断じて許さない。武器も取り返さないとだし。再起不能な程度に懲らしめてやろう。
断じて許せませんね!




