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18.不覚

試し斬り用の剣を腰に下げ、俺は草原を南に進んでいた。

依頼書にはホーンラビットの精巧な絵が描いてあったので、それを見ながら魔笛を吹いても良いが、1匹あたりの強さがまだ分からない今、まだ魔笛は使わずに慎重に行こう。


俺は感知を使い、それらしき反応は無いか確認する。相変わらず地中のワーム達が反応している。とても目障りだ。


ん?


草原の少し先の方にワームより大きな存在が居る事に気づく。

あれがホーンラビットかな?


俺は警戒しながら少しずつ近づいて行くと、角の生えた大きなウサギがワームを食べていた。


やっぱり地球のウサギとは別物だ。額に生えた角は40センチ程、体調は大型犬くらいはありそうだ...。そしてウサギなのに肉食なんだな。


その時ウサギが食事を止め、真っ赤な目でこちらを見た。


先手必勝!やられる前に倒す!


「衝波斬!」


衝撃波がウサギに襲いかかる!が...。


ホーンラビットが横に跳ね衝撃波を回避する。


...なんて機敏さだ!遠距離攻撃を当てるのは難しそうだ。


その時、ホーンラビットがこちらに角を向け飛びかかってきた!


俺は逃げずに剣を構える。ホーンラビットの角がもの凄い勢いで迫って来るが、これは逆にチャンスだ。一直線に向かってくるなら狙いも定め易い!

姿勢を低くし、角を回避しながら剣を突き出す。


真っ直ぐに突き出された剣はホーンラビットの首元から胴にかけて突き刺さる。


ギッ!


一瞬声を上げたホーンラビットはそのまま動かなくなった。


レベルが上がった!

パッシブスキル:感知が感知Ⅱになった!


む。スキルもレベルが上がるらしい。

Ⅱになるとどうなるんだ?

教えて!俺の知識!


感知Ⅱ:感知したい生物を選択できる。感知した生物が視認できる。感知範囲が広がる。


おぉ!まさに欲していた性能。

これでワームを除外して感知できそうだ。

視認できる。はなんだろう?今までは感覚で存在を感じ取れたが、はっきり見えるようになるのだろうか?

試しにホーンラビットを意識的に感知してみると、草原のさらに先に数匹居る事が分かった。

以前まではなんとなくいる場所が分かったが、今回は視界全体が薄暗くなり、対象の生物が緑に光って形として見える。

少し微妙な見え方だが、前より見やすくなったか。


「よし、ヤツの動きは早いが倒せないほどじゃないな。剣の斬れ味も良さそうだし、討伐依頼の3匹まであと2匹。さっさと倒して帰るとするか」


俺は今倒したホーンラビットを腰の袋にしまおうとした。


!?


無い...。

無限収納袋が無いぞ!


いつ無くした!?夕方装備を整えて宿を出た時は確かにあったはず...。さっきの戦闘中に落としたか?

ホーンラビットと戦った場所をくまなく探すが見つからない。

ヤバいぞ...あれが無いと相当不便だ。

冒険者として大きすぎるアドバンテージだったことに改めて気づく。

とりあえず狩りは中止だ。街に帰りながら道中を探そう。

落ち込みつつ、俺は夕暮れの道を街に向かって歩き出した。



***



「クックック!やった!やったぞ!」


まさかこんなに簡単に手に入るとは!

盗賊の基本スキル、盗む。

今ほどこのスキルの有り難みを感じた事はない。


夕方混雑のピークを迎えるギルドにターゲットの新人冒険者が入ってきたのは幸運だった。冒険者達の喧騒に紛れて新人冒険者の腰から巾着袋を盗み取ったハガネルは、街から少し離れた森の中にある隠れ家で一人喜びに打ち震えていた。


「今日は本当についてやがる。昼間強盗に入った武具屋では良さげな武器をいくつか入手できたし、この不思議な袋も手に入ったしな」


あとは足がつかないようにこいつらを売りさばけば死ぬまで遊んで暮らせるだろう。


ハガネルはこれから訪れるであろう怠惰な生活に妄想を膨らませ醜悪な笑みを浮かべるのだった。

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