12.神童
「ちょっと待ってください。レベルが10になったと言いましたが、どうやってそれを知る事が出来たんです?バルカンの腕輪は結構高価なのに、冒険者になりたてのシュンさんが腕輪をお持ちなのですか?」
「バルカンの腕輪?」
「やっぱり知らないんですね...これですよ」
そう言ってエイミーは金の腕輪を取り出す。
「これは...」
俺が冒険者登録をした時に付けた腕輪だ。
「ドワーフの中でも3本の指に入る技術者と名高い、バルカンが作り出した腕輪です。付けた人の職業やレベルを見る事が出来ます」
「なるほど...」
「いくら異常な数のワームを異常な程の短時間で狩って来たとは言え、レベルを1から10に上げるにはどう頑張っても数年はかかります。さすがに半日でLvが9も上がるなんてことは絶対にありません!」
エイミーと俺の間に少しの沈黙の間ができる。
「絶対に無いとは思いますが...。シュンさんの場合、ありえない事が起こらないとも限らないと学びました。腕を出してください。レベルを見させていただきます」
「あぁ、うん。よろしく頼むよ」
エイミーはバルカンの腕輪を俺の腕につけ表示を見る。
「...」
「どうかな?」
「...レベル10です」
「うん。そういう事だから。ここはひとつ穏便にですね...」
「あり得ない...。もう意味が分からない。シュンさん、あなたは一体...まさか、救世主?神の生まれ変わり?」
「いや、あのー、そんなことはなくてね。俺は至って普通の、あ、いや、普通じゃないかもしれないけど、知識も実力も昨日冒険者になったばかりの初心者だよ」
「シュンさんは神の子、神童ですね。分かりました。それで納得することにします」
「いや、あの、だからね。俺はごく普通の...」
「シュンさんは神童。シュンさんは神童。シュンさんは神童...ぶつぶつ」
焦点の合わない目でなにやらぶつぶつ呟き出した。
もうこの人に俺の声は聞こえていないらしい。仕方ない、業務に支障をきたしてしまっているようだし、先に剣の鞘でも買いに行くか。
俺はそのままギルドを出て一番近い武器屋へと向かった。




