1話 贈り物
「ちょっとちょっと、また寝坊ですか?斗真が観たいって言うからこの映画にしたのに…寝坊はないなぁ~」
「ごめん…昨日夜更かししてて」
「ん?それは私と映画に行くのが楽しみだから?いやいや~照れちゃいますなぁ」
(ジリリリン)(ジリリリン)
目覚ましの音で目が覚める。とても懐かしい夢を見ていた。
今日は3月31日、もうあれから12年が経った。未だに僕は君の夢を見てしまう。
この日は決まって行く所がある、僕と君の思い出の場所。
「さ~、そろそろ行く準備でもするか」
重い体をベットから起こし身支度をしていると
(ピンポーン)とチャイムがなった。
こんな朝早くに誰だろう??
(ガチャッ)
「古賀さんのお宅で間違いないでしょうか?」
「あ、はい」
「藤元 真昼様からお届けものです」
「え?真昼·····?」
「どうかなされましたか?」
「いえ…すみません何でもないです、ありがとうございます。」
僕は驚きを隠せなかった、今日夢に出てきた君からの届け物なんて、誰かが僕に仕掛けたドッキリじゃ無いんだろうかとも思ったけど、袋を開けて直ぐに、本当に君からの贈り物だって事に気がついた。
見覚えのある執筆で
(お久しぶり!多分これが届くのは12年後の3月31日だと思います。私からの贈り物!心得て見よ!)
文字だけで明るい声でにこにこしながら書いているのが想像につく。
何が入ってるんだろう·····少し緊張しながら
そっと中身を取り出した。
中には1本のDVDが入っている、早速テレビに繋げてみると画面越しにあの頃の君が映っていた
「やっほ~!お久しぶり!って言っても私はさっき斗真に会ったから実感わかないんだけど·····ふふっ泣いてる?う~~ん多分泣いてないな!私にはわかる!」
君は相変わらずの笑顔で大袈裟な身振り手振りを使って話している。
いきなり画面の君が真剣な表情になった
「あのね·························」
続く