7、盲目の巫女
「それで、貴方はなんでこんな深い森に?」
「神託に従い、この森にいるはずのとある方にお会いしに来ました」
「あら、あなた修道女なのね」
改めて服装を見てみると、巫女装束のような服を着ている今は薄汚れて見る影もないが
「はい、正確には神託の巫女と呼ばれているのですがそこのことはこの際置いておきましょう」
「ちなみにあの貴方を襲ってきていた奴らは?」
「おそらく、悪魔王教信者たちでしょう、若い娘はいい供物になるそうですし、これでも一応神託の巫女なので」
「ふーん」
「聞いてきた割には興味がなさそうですね」
「あまり宗教関係に関わりたくないの」
「こ、こ、ここは・・・・聖域?」
大樹を見た瞬間巫女が困惑し始めた
「あの、ここは聖域なのですか?こんなに高密度な魔力が集まった場所は神殿でも、見たことがありません・・・」
「貴方がいう聖域がなにを指すか分からないので答えられないわ」
「お、お名前を、お名前をうかがっても?」
「ステラよ、ここで精霊たちと暮らしているわ」
「ああ、あああ、神よ、ここが、ここが、そうなのですね、こここそがまさに、新時代への道、始まりの場所、私はそんな場所に、入れることを嬉しく思います・・・」
巫女は急に膝を付き祈り出したかと思うと嗚咽を漏らし涙を流し始めた
「え、ええーなぜ急に!?」
仕方ないわね、気が済むまで放置しておきましょうか、今日は少しやりたいことも、出来たことだし
「精霊たち、後の世話はよろしく頼んだ、私は部屋にいるから」
見学していた精霊に後を頼み思いついたことを実行しに行く
「せっかく神様の像を作るんだからいい木がいいわよね・・・木材置き場には、いい木あるかしら・・・お、この木良さそうね」
そう思いついたこととは、神様の像を作ることだった
感謝の気持ちは大事だよね、私に力をくれてこの世界に送り出してくれたのも神様だし
確か神様は・・・若いような老いたような男のような女のような感じだったはず
さっそく万能道具箱を使い木を掘っていく、どんどん掘って削ってしていく
中々難しいわね・・・時々手までスパって行っちゃいそうでなかなか緊張感があるわ
うむ、中々イイんじゃないかしら、完璧とも言えるわね
「こ、こ、これ、は・・・・創世神様?」
あ、いつの間にか来てた巫女さんがまた拝みだした
「気は済んだかしら、そろそろ話しの続きをしたいのだけれど?」
「はっつ、も申し訳ありません」
「貴方、名前は?」
「ジャンヌと申します」
「貴方、目が見えないのによく、ここまで来れたわね」
「え?、ステラ様に私が盲目だとお話しましたでしょうか?」
「別に聞いてないわね、ただ行動の節々におかしいことはあったし」
「そうですか、話を戻しますと私は幼少期にはもう目が見えなかったので、
それなりに、盲目の期間は長いのです長くこれで生活していると次第と他の器官が成長するのです、たとえば・・・ステラ様どちらかの手を上げてみてください」
言われた通り、右手を上げる
「いま、右手を上げておられますね」
今度は無言で右手を横に伸ばし、左手を上げる
しかしジャンヌはそれも見事に言い当てる
「ほんと見たいね、すごいわ」
「ありがとうございます、盲目だとこれぐらいはできるようにならないと、生活していけませんから」
「それで?そんな盲目の貴方がわざわざこんな深い森の中に来たのは誰か人に合いに来たのだったわね、誰に合いに来たの?」
「貴方様で、ございますステラ様、一年前我らが神から神託が下りました
『世界を、新たなる時代へと導く者、深淵の森に在り、見届け見極め見定めるべし、その者の名__ステラ__』と」
・・・絶対あの人だよね?完全に悪ふざけじゃない?
「貴方が信じる神が私を新時代へと導く者と?」
「ええ、我らが神はそうおっしゃっていいます」
「・・・まあいいわ、それで?貴方はこれからどうするの?」
「此処に住まわせていただきたいと、考えております」
「元の町に帰る気は?」
「ありません、もとより戻らない気でしたので戻っても住む場所がありません」
「町よりかなり不便よ?」
「巫女に贅沢などあってないようなものです」
「仕方ないわね、ちゃんと働くなら許しましょう」
「ありがとうございます、細かい作業はできませんが力仕事はできます
お任せください」
「ということよニコラ出てきてちょうだい」
『はい、精霊のみんなには伝えておきますね』
「この気配は、精霊王女様ですか?」
『正確には、星霊王女ですジャンヌ様以後おみしりお気を』
「?」
『?』
ジャンヌが首をかしげると伝播したようにニコラも首をかしげる
「ああ、ジャンヌは精霊と会話できないのね」
「ステラ様はできるのですね、うらやましいです」
「ジャンヌ右手を出してちょうだい」
「はい」
差し出された右手を取り、そのまま手の甲に口付けをする
「な!?」
すると、口付けをした手の甲に紺色の六芒星が現れる、しばらく光を発しながら回転し
しばらく周り続けやがて、光が薄くなると共に回転も収まっていく、最後には六芒星の証しだけが残った
「ステラ様これは?」
「ニコラ、もう一度自己紹介を」
『よくわかりませんが、まあ分かりました、ジャンヌ様はじめまして
星霊王女ニコラと申します、以後お見知りおきを』
「!?み、見えます聞こえます!ニコラ様よろしくお願いします」
「それはね、六芒星の誓いの紋章でね一生私に仕える代わりに色んな恩恵が
もらえる紋章なの、正式に誓いを立てたわけじゃないからまだ仮だけどね
ああ、別に神様に仕えるのをやめろっていってるわけじゃないから安心しなさい
奴隷契約の超軽い番見たいな感じよ」
「一生使えると誓います!!」
「はええよ」
再び右手の甲の六芒星が光り出しやがて収まる
「しかも、受理されちゃったしまあジャンヌがいいならいいのだけど」
「貴方様に、仕えられることより幸せなことはありません」
「そこまで?まあいいか、そろそろいい時間だし夕食にしましょうか
ジャンヌは明日仕事を教えるから、今日はゆっくり座っていなさい」
「で、ですが・・・」
「なにもわからない、人が付いてきてもただ邪魔なだけよ明日からは手伝ってもらうから
大人しく座っていてちょうだい」
「は、はい」
「ニコラ、煌を呼んできてちょうだい」
『かしこまりました』
ニコラが呼びに行くのを確認し、先日作った地下保存室に午前中にとっておいた
花を取りに行く
「だいぶ、肉が減ってきてるわね最近は食べるばかりで狩ってなかったからね
あと、塩も必要ね私たちにはいらないけど人間が生きていくには必要だからね
後で、ジャンヌに確認しましょう」
材料を持ち家に戻る
戻るとなぜか、ジャンヌは気絶していた目の前には煌がいるのだけど・・・
そんなに怖いかしらね、結構可愛いと思うんだけど・・・ねえ
あとでジャンヌに聞いた話だと人間にとって王女蜘蛛蝶はであったら死を覚悟するどころか
町と反対に逃げなきゃいけなくてはいけないレベルでやばいらしい
確かにそう言われてみると、蝶の癖に天敵のはずの蜘蛛の能力も持っていて
もちろん空も飛べる、自分を襲ってきた魔物は蜘蛛の糸で絡め取り容赦なく捕食
飛んでいても蜘蛛の巣に引っ掛かって終了
火が弱点だが空に逃げれば関係ない、ワイバーン程度なら狩ることも可能だという
・・・強すぎんね?道理で気絶するわけですね、でもこんなに綺麗で可愛いのに・・・




