密航者
アルカディア王国 東部エンデューロ湾
ここでは海の海産物が捕れる海域ではあるが夜になると外灯が少なく真っ暗でなにも見えない。それを利用して密航者が後を絶たない。ギルド夜桜エンデューロ支部は毎日巡回をしている。
そして突如通信が入った。
『エンデューロ海岸において不法入国者が現れた。直ちにベルド支部長クレース隊員は速やかに向かわれたし』
「やれやれ……やはりあそこか……」
「ぼやいてないで行きますよ支部長」
「そうだけどねクレース君」
「つべこべ言わずに走る」
加速術式が書いてある靴を使い走っている二人はそんな会話をしていた。
「一応支部長なんだけど……」
「年は私の方が上です」
「やれやれ」
そして通信の入ったエンデューロ湾に現着すると、やはり真っ暗でなにも見えない。二人は光魔法を発動するコンタクトを付けているため、暗闇でも昼間のように見えていた。海岸沖に船と密航者20人いた。
クレース君に合図して照明弾を照射し辺りが光輝いた。
「動くなエンデューロ支部だ」
ギルドの者が現れたと知った密航者らは魔法で立ち向かった。ベルド支部長は霧魔法で姿を消して1人また1人倒していく。クレース隊員は魔導銃を使用して援護していった。
粗方片付くと、船が出向し始めた。それを止めようと動き出す。
「支部長……船を抑えましょう」
「わかったわかったじゃあクレース君船を」
「私では沈めてしまう恐れが……」
「責任はマスターがやってくれるって」
クレースは書類整理に忙しそうに仕事をしているクリスギルドマスターの顔を思い浮かべた。
『あぁこんな部下だからマスターは大変だろうな』
と顔を浮かべながら魔導銃に弾を込めた。
術式を展開させた銃を船に構えて放った。その弾は船に着弾し爆発したのだ。それを確認した支部長は剣を取りだし跳躍魔法で高く飛び上がり船を斬り付けて船を停めた。中を確認するともぬけの殻となっていた。
「っち……空振りか」
支部長は密航者らを取り押さえてどこの国かを吐かそうとしたが自滅魔法が発動して自害していた。
「支部長……」
「はぁ……また空振りだよ」
「仕方ないですよ次ですよ」
「そうだね……それとすごいよねこれ」
支部長は突然夜桜マスターから渡された魔道具に驚いていた。自身の魔力は使わずに術式だけで魔法を使える代物に驚愕していた。制作者は『サイエンス』しか解っていない。年齢性別が不明で天才の魔道技師だった。これだけで10年の進歩しているだろう。




