再びⅢ
「ほいっと」パチン
指を一度鳴らすと紅蓮の竜巻は跡形もなく四散する
「……ぁぁああああ!!」
ズドン!!
すると、遥か上空からシンが落ちてきた
消滅作用を持った灰色の鎧のおかげで地面が消滅し、落下の衝撃を和らげる
カズト「おかえり、上空千メートルの旅はどうだった?」
シン「死ぬかと思ったわ!!」
なんだ、思いの外元気じゃないか。
ちょっとやりすぎたかもとか思って損したよ
カズト「ほれ、休んでる暇は無いぞ」
シン「ちょっ!!」
問答無用で俺はシンにタナトスで斬り掛かる
シン「【地魔法『大地壁】』
雷魔法『雷盾』!!」
するとシンは地面を隆起させ、俺とシンの間に一枚の岩壁を作り出し、雷の盾でさらに補強する。
カズト「はい残念、タナトス」
俺は右手に持った黒剣の銘を呼ぶ
すると、黒剣の刀身に赤黒い雷のようなものが這い回る
「《死斬》」
俺はその剣を岩壁に向かって振るう
「……は?」
サクヤ『なんやて!』
すると岩壁はバターのように容易く切り裂かれ、その切り口からボロボロと風化して砂になってしまった
「ルー」
更に左手に持つ水晶のような剣の銘を呼ぶ
すると、俺の呼び掛けに応じるかのように剣が刀身から微かに冷気を放出する
「《凍斬》」
その剣を旬に向けて下から斬り上げる
「ヤバッ!!」
シンは咄嗟に右に跳んで回避しようとする
「ぐあぁぁぁ!!」
だが回避しきれずに、左腕を肩口から斬り飛ばされる
「「シン!!」」
遠くから二人分のよく似た声質の悲鳴が聞こえてくる
「あ?」
左腕が無くなったシンが意外そうな声を出す
それもそうだろう、斬り飛ばされた腕と肩口の断面が凍り付いていたのだから
シン「痛みは感じないし、……その剣の能力か?」
訝しげにそう聞いてくるシン
「わざわざ手の内を晒す馬鹿がどこにいる……って言いたいとこだけど、この能力の実験だ……げふんげふん、この能力を使わせたことの報酬に教えてやろう」
シン「今実験台って言い掛けたよな?」
カズト「気のせいだろ。流石に友人を実験台に使うほど人でなしじゃねえよ」
【「「「「えっ?」」」」】
「えっ?」
何故か舞台上にいる全員に同じ反応をされた。解せぬ。
カズト「コホン…で、この剣の能力だったな。
先ずさっきも言ったけどエリュシ〇ータの方の銘は死炎タナトス、ダー〇リパルサーの方は凍炎ルー。
この二本はそれぞれ死竜の鱗の欠片と、フラスの羽根が入ってる」
マリア「勝手に武器を改造するなよ」
カズト「いいだろ別に、やってみたかったんだから。それにいちいち伏せ字にするのがめんどいんだよ」
シン「どっちかというと後半の方が本音だろ」
カズト「ソンナコトナイヨ。
…で!能力を説明すると、タナトスの方は斬り付けた対象に死を与える能力で、ルーの方は斬り付けた対象を凍らせる能力だ」
シン「死って土とかにも有効なのか?」
カズト「ああ、形あるものいずれ壊れるだろ?それを強制的に引き起こしてるんだ。
ちなみに生物だったら毛を一本切るだけで殺せるぞ」
ユウヤ「チート過ぎるだろ……」
まあ武器を使わなくてもそれ位はできるんだけど、剣を使うのはどっちかというと能力を使い辛くする為だな。
それこそタナトスの能力を使えば見ただけで簡単に生き物の命を奪えるけど余程のことが無い限りそれはしたくない
サクヤ『なら!完全回復』
カズト「虚実の炎『その回復はできません』」
サクヤの能力で回復はしたがカズトの虚実の炎にて嘘となり発動はならなかった。