偽者の実力
「オラァ!!」
グレンが爆脚を使い縦横無尽に高速で動き回り、黒ローブを攪乱しながら斬り掛かる
「いっ!?」
だが黒ローブは背後から高速で振るわれた槍を振り返りもせずに体を右にずらして躱し、地面に突き刺さった槍を右足で抑える
「ぐぬぬぬ……!」
相当な力で押さえられているらしく、グレンが引き抜こうとするがビクともしない
「【シャドウウィップ】」
そして黒ローブは影を鞭のように自在に操る闇魔法『陰の闇鞭』を発動する
「ヤバッ!戻れ風死!」
グレンは咄嗟に闇を消して腕を顔の前で十字に組み、腕の前で小さな爆発を起こし大きく後ろに吹き飛ぶ
「ゲホッ!……いってぇ…」
顔面に影の鞭を受ける前にどうにか距離をとり躱したグレンが咳き込みながら回避の為に一度消した風死を手元に召喚する
『ここまであっという間の戦闘でしたがいかがでしょう?学園長』
『そうだね~、流石は帝と呼ばれるだけあって無駄の無い戦闘だよ。
それとグレン君も今の回避は良かったよ。肉を切らせてでも骨は守る、良い判断だ。
教職者としてはこの戦闘センスを少しでも勉強に回して欲しいところだけどね♪』
俺も今回は学園長に激しく同意する。
こういう時は頭が回るのに何故それが勉強になると発揮出来ないのかね?
「【シャドウダイブ】」
黒ローブはグレンが構えるのを見て闇魔法『影潜』を発動、自分の影に沈み込む
決してポケモソの技ではない
「それ反則だろ!?」
グレンはそう言って辺りを見渡す
シャドウダイブは影の中を移動する魔法で一見便利そうに見えるが、わりと簡単に攻略できる魔法だ。
まず影が繋がっているところにしか移動出来ないので影を見れば出てくる大体の位置は予想出来るのだ。しかしグレンは目を瞑り意識を集中させるが、相手は待ってくれない。
「うわっと!」
グレンが踏んでいた影から出てきた黒ローブは黒い魔力を纏わせた手刀を振るうが。間一髪のところで気づいたグレンが横に転がることで回避したため、手刀は空を切る
「やられてばっかだと思うなよ!【フェザーレイ】!!」
転がった体勢のままグレンが黒ローブに向けて突き出した右手から緑の極太の熱線が放たれる
何時の間にやらグレンも風魔法『我山正風』がスムーズに撃てるようになったんだな。
まだ魔力が収束しきれていないが十分及第点だろう
「【技奪】」
躱すかに思われた黒ローブは、右手を熱線に向けたと思うと手先に黒い渦を作り出した
ジュッ
そして熱線と渦が接触した瞬間、熱線は渦に飲み込まれ消え失せた
「うへぇ……ここまで手も足も出ねえとカズトと戦ってるような気分になってくるぜ……」
黒ローブの手元から黒い渦が消えるのを見届け、そう声を漏らす
失礼な、俺はもう少し手加減してるだろう
「【大地之重力】」
黒ローブはそんなグレンなどお構い無しに加重魔法をかける
「お、重っ!」
一気に体が重くなり動きが鈍くなるグレン
『おおっと!総帝が初めて直接攻撃に入りました!
グレン選手は重力に囚われて動きがかなり重くなっております!』
「【ダークソード】」
黒ローブは漆黒の剣を出してグレンに向けてダッシュする
「ちょっ!ヤバッ!!」
グレンは慌てていつもより強い火力で爆脚を使い、空中に飛び上がる
そしてグレンの首があったところを黒ローブの振るう黒剣が通過した
「…おっ?軽くなった?」
グラビティが領域干渉型の魔法だと知らなかったのか、グレンは空中でようやく重力から解放されたことに気づく
「なら、《火炎車ァ》!!」
グレンは槍を左右の手に構え、爆発による推進力を追加して空中で槍を振り下ろす
すると、地面という支えがないので槍はグレンごとかなりの回転数で回りはじめる
そして槍は炎を纏い、さながら炎の車輪のごとく黒ローブに向かい飛んでいく
決してポケモソの技では(ry