戦闘Ⅴ
飛んでくる全ての炎の槍が遅く思え、弾道でさえはっきり分かる。
私は乱射されるファイヤランスの雨を掻い潜って接近していく。無論、身体強化をかけて速度を上げている。
ドゴンドコンッ!
すぐ側に炎の槍が落ちて爆発しているにも関わらず、私には不安が無かった。冷静に避けながらどんどん距離を縮める。
50×50の広さである舞台に爆発があちこち起きる中、突き進んでいく。
狐の表情が段々焦りと苛立ちに満ちていく。距離が10mを切ったところで上級魔法【ファイヤメテオ】を使ってきた。
半径およそ5mという大きな炎の球が私に向かって落ちてくる。
身体強化しているとはいえ、掻い潜れそうにない。どうするべきか……
カズト≪突っ込め。ギリギリで避けろ≫
イロハ≪ギリギリで?≫
カズト≪ああいう奴は倒したと思って油断する。その隙に爆煙の中から強襲するんだ。やり方は、イロハ次第≫
イロハ≪なるほど……それでいく≫
正気に戻ったらしいカズトのアドバイスを元に、ギリギリで後退して避ける。
ドオォォンッ!!!!
爆発と共に爆煙が広がる。すかさず私は左手のハンドソードを投擲する。
カズトが補助してくれているのだろう、標的の位置が分かるため、迷いはない。
爆煙から飛び出すと、右肩に先程投げたハンドソードが突き刺さった狐が顔を強張らせていた
対策をされる前に一気に加速し、右手のハンドソードを奴の左肩に突き刺す。
続いて両手に新しくハンドソードを形成して胸部にも突き刺す。
さらにダガーを二本形成し、腹部にも突き刺す。
ぶっちゃけ、もう勝負は着いているが、この先突っ掛かって来ないようにもう一撃加えるか……
右手に普段よりも大きいロングハンドソードを形成し、袈裟斬りにする。
イロハ「これが………私の戦い」
狐「おぉのぉぉぉれぇぇぇぇーーーっ!!!!」
そして最後に全属性の炎で形成したダガーを身体中に突き刺した。
マリア「すごいな」
「あの娘のやり方と来たらWWWWWW」
クロス君と二足歩行の黒猫が爆笑してたけどよく分からない。あの猫は彼の使い魔なのかな?喋れるってことはかなり上位の種族だろうけど……
立ち上がっているカズトと合流したところで先生の放送が入った。
クロト《勝者、イロハ・タチバナ!命令はどうする?》
ワアァァァァ!!!!
歓声が沸き上がる中、命令を考える。ちっとも考えてなかった……
カズト≪イロハ≫
イロハ≪ん?何、カズト≫
カズト≪女子寮って男性侵入禁止結界ある?≫
イロハ≪もちろん、社会的に殺すレベルらしいよ≫
カズト≪じゃあ魔法無しで裸で女子寮特功でいいじゃん?≫
≪それいい≫
カズトの提案を伝えると生徒の大半が合掌していた。残りは貴族で笑っていた。
そこで授業終了の鐘が鳴り、終わりになったので、カズトと一緒に一旦外に出ることにした。