聖なる剣
シンは勇者が手放した聖剣に近づく。
シン「これは戦利品としてありがたく使わせてもらう」
聖剣を手に取ると光輝きだした。
カアアァアァアァァァアアァァアァアアアァァーーーッ!!!
「!?」
その瞬間、聖剣から先程の黄土色の光とは違う、強烈な“銀色の光”が放たれ、辺りを包み込む。
ってなんで銀色!?そこは金色じゃないのか?
「んぁ~~~やっと解放されたわぁ~~~」
「!?」
“銀色の光”の中からそう言う少女の声が聞こえてくる。
『・・・サクヤッていったか?』
「ん?」
次の瞬間、“銀色の光”の中からマリアに貸してもらった漫画で髪が銀色で銀のドレスを着た、某借金執事が主人公に登場する関西人のお姉さん的お嬢様が現れた・・・
「・・・」
「ん?なんや?うちの顔に何か付いとんのか?」
自分の姿を見て、思わず固まってしまった僕に対し、突然現れた謎のサクヤは首を傾げながらそう尋ねてくる。
シン「いや。っていうかあんた、誰だ」
対するシンはそう言って尋ねる。
「誰ってさっきまであの屑に嫌々使わされていた聖剣に決まっとるやないか。」
問いに対し、謎の咲夜は先程のシンの攻撃を受けて、灰となっている屑勇者を指差しながらそう答えた。
ん?っていうかちょっと待て。
シン「嫌々使わされていた?」
謎のサクヤもとい聖剣の言ったことについて、俺は首を傾げながらそう尋ねる。
「あぁ、うち、一応『勇者の聖剣』として『アルドノア帝国』で今の今まで保管されて今回、帝国で召喚された勇者(屑)の手に渡ったんやけど、うち個人としてはあんな無自覚で周りに迷惑をかける公害屑を一度たりとも“主”と認めたことがないんねん。だから、嫌々やねん。」
対する聖剣は真面目な表情でそう答える。
聖剣に認めて貰えてない勇者ってさどうなの?
「ぶっちゃけた話、あれは屑勇者ですらあらへん。ほんまにただの公害屑や。」
シン「っていうかだったらなんでさっきまで能力を使って、公害屑の傷を回復させてやってたんだ?」
先程まで能力を使って、公害屑の傷を回復させていたことについて、シンはそう聖剣に尋ねた・・・
「あぁ、あれな。あれははっきり言って、うちの“意志”やあらへん。あれはあの公害屑に憑いていた、帝国の『教神』っていうババアに“意識”を押さえ込まれて、能力を勝手に使われただけなんよ。」
先程まで能力を使って、公害屑の傷を回復させていたことについて、聖剣はため息混じりにそう答える。
「まぁ、あんさんがさっきあの公害屑を葬って、うちを奪い取ってくれたおかげで、うちは今、あの公害屑と『教神』のババアの“呪縛”から解放されたんやけどな。」
ふぅ~ん。つまりこの聖剣もあの公害屑の被害者って訳か・・
「なんで色が黄土色から銀に変わっているんだ?」
銀色の西洋剣に変わった聖剣を手に取りながら、そう聖剣に尋ねる。
『あぁ、あれな。あれはあの公害屑のうちとの適性率があまりにも酷すぎたせいで、色が本来の色から黄土色に変わってもうてただけなんや。この銀色がうちの本来の色や。』
「因みに適性率は具体的にはどれくらいだったんだ?」
『過去史上最低。まさかの0%より下の-1020%や。』
マジでか
『マジマジ。大マジや。この数値にはうちもびっくりしたわ。まぁ、せやからこそ、うちはあの公害屑を最後まで“主”として認めなかった訳やけど・・・』
『あ。そや。せっかくやから、あんさんがうちの新しい名前を付けてぇな。エクスカリバー以外なら、なんでもええから。』
突然聖剣がそう言ってくる。
うーん。名前ねぇ・・・この聖剣が人化している時はサクヤの姿をしていることからあやかって・・・
「・・・サクヤ・・・サクヤ・アヴァロンはどうだ?」
とりあえず聖剣にサクヤにそう名付けてみる。
カァァァ
「!?」
すると次の瞬間、シンの右手の甲に銀色の“令○”が刻み込まれた・・・
『いよっしゃあああっ!!“契約”成功!!』
「・・・どゆことだ?」
右手の甲に“○呪”が刻み込まれた瞬間、なんか喜びの声を上げたサクヤに対し、僕は思わず呆然としながらそう尋ねる。
『あんさん。知らんかったのか?うち、聖剣との“契約”の条件はうちに名前を付けることなんやで♪』
『なんや?あんまり動揺してへんなぁ。自分。』
シン「いや、多分そんな感じの流れかなぁ~と思ってたし。」
カグツチとサクヤとの二刀流……いい
『そやぁうちは自動での所有者の傷の回復、魔法の威力強化、空気中の魔力の吸収&所有者への魔力の還元、引斥能力、概念切断、神さえも斬り裂く神斬、仙術の発動の計8つの能力を持っているで。』
「っていうかそんなとんでもない能力を持っているなら、なぜ最初から使わなかった?」
『使わなかったんとちゃう。あの公害屑があまりにも屑過ぎるせいで、うちの能力を上手く引き出せなかったんよ。』
なるほどね。
こうしてシンは帝国の聖剣をゲットした。