裏切りの変革
イロハの頭の中では混乱していた。親友のリリィが自分の体をレイピアで刺していたからだ。リリィは刃を抜き、血を振り払う。そして状況を理解したフレイが声をあげた。シンは回復魔法を使い治そうと試みるが塞がらなかった。
フレイ「なにやってんだよお前は!!」
フレイがリリィの胸ぐらを掴もうとしたとき
リリィ「水魔法……水弾」
水弾を放たれ、フレイは咄嗟に火壁にて防御した。水魔法なら火魔法は有利だと思っていたからだ。その思い込みの無惨にも破れ去った。火壁から水弾が蒸発せずフレイに直撃し、闘技場の壁まで吹き飛ばされた。大きなクレーターをつくり気絶し倒れた。リンクはレグルスにてリリィを殴り付けるが拘束魔法にて縛り上げられた。そしてマリアはリリィの頭に銃口を突きつけオプションワークスのワークスビットを配置して逃げられないようにしていた。
マリア「お前なにやったのか分かってるのか?」
リリィ「えぇ分かっていますよ。」
マリア「なら!」
リリィ「これも組織の為……幻惑魔法…霧の迷い」
銃口を突きつけたリリィが霧となり消えた。マリアの特殊能力にてリリィの居場所を見つけてそこに弾を放つ。霧魔法を解除し弾を防ぎ高台に立つ。
リリィ「変装魔法解除」
リリィがその言葉を言うと、別人と成り代わっていた。
コーネリア「私は夜明の魔剣No.3
コーネリア・ビストというわ
よろしくね坊やたち」
マリア「いつからだ」
銃口をコーネリアに向けたままそう訪ねた。コーネリアは普通に答える。
コーネリア「いつからって最初からよ…大変だったわよこの子の信用を得るのは何年掛かったことか」
マリア「イロハをみんなを騙してたのか?それにウォルス家も」
コーネリア「えぇそうよ…だけどウォルス家は昔から無かったわよ。栞魔法で全国民にその意識を挟み込んで改変してたから」
大規模な魔法を長年に渡って発動させるには無理がある。誰にもそれを認識させるこもなく今までやってのけるなどそんな魔法も聞いたこともない。
コーネリア「あぁ魔法を説けと言うのでしょ?ほら解いたわよ」
コーネリアがその魔法を解除すると異世界から来た者以外は頭を抱えだした。リリィとウォルス家という貴族は端から存在してないと記憶が戻っていた。
コーネリア「もう良いかしら?あら目覚めそうね」
コーネリアがイロハに視線を送ると異変が起きていた。黒い霧がイロハを覆い始める。シンは異変を感じてイロハから離れる。黒い霧が球体となり渦巻いていた。
イロハの意識の中ではリリィ…親友に裏切られたことがショックがいっぱいだった。黒い靄が現れた。
『貴女は力を欲しているか?』
別に力は欲しくはなかった。欲しかったのは別の何かだ。だけどいまはもうどうでも良くなっていた。
今まで接してくれた皆……
私を強くしてくれた皆…………
私を平等に接してくれた皆…………
……もうこの体は嫌だ
……もう助けられるのは嫌だ
……もう守られるのは嫌だ
こんな街なんて……国なんて……私なんて
『無くなってしまえ!!』
『それが貴女の望みならば手を取れ』
靄が手を差し出した。イロハはゆっくりと手を差し伸べるが一瞬躊躇してしまった。カズトの顔が浮かび上がったが靄がその手を引いてしまい。後には引けなくなった。
『我の力を受け継ぐがよい』
そしてイロハはその靄に取り込まれてしまった。イロハが目を開けゆっくりと立ち上がる。それを見たマリアは安堵した。シンはイロハに駆け寄り大事がないか確かめようとしたとき痛みを感じて視線を送ると腹を貫かれていた。
「近寄るではない人間が……」
シン「なぁ……にぃ……」
腕を抜き腕を振るうと血が飛び散った。シンは回復魔法を使おうとしたが間に合わず倒れた気を失った。だが勇者の加護が在るとはいえ自動で少しずつ回復していくが重症には変わりはなかった。
イロハの横にコーネリアが降りてきた。
コーネリア「お久しぶりです姫」
「うむさて……」
イロハは空へと上がると両手を広げ魔力を集めだした。学園を消滅させるほどの威力がある魔力弾を待機していた。重軽傷者がいるため逃げ出せずに絶望した表情を浮かべる生徒たち
「生徒たちに手を出すのは許さないよ」
イロハらを拘束魔法にて縛り上げられた。ホワイト学園長だった。白の服装を身に纏う彼だが構成員らの返り血を浴び真っ赤に染まっていた。へらへらしている彼は真顔でイロハらを見ていた。
「おや誰かと思えばホワイトの坊やではないか」
ホワイト「そういう君は変わらないねイロハ君……いや酒呑」
「久しいのそう呼ばれるのは……」