その先へ
リカは刀型オプションワークス『修羅』を鞘からゆっくり抜きニルスに構える。返事のないカズトを無視して息を整える。静寂が続き、瓦礫が地面に落ち音が聞こえたと同時に駆け出した。短剣を5本ニルスに投げる。ニルスはその5本を振り払いリカに向かってくる。ニルスは一瞬動きが止まった。確認すると足が凍りついていた。リカは短剣を投げたと同時に修羅に氷と霧の属性を付与させ動きを止めた。しかしニルスは炎魔法にて氷を溶かす。それと同時にリカが神風剣術……神霰の柱の技を放つ。
この技は相手の懐に飛び込み残撃を16回ほど打ち込む奥義
しかし一瞬の最中それを打ち込むのは不可能に近い。だがオプションワークスがあるからこそできる。
ニルス「がぁ」
ニルスがこの技を受けて吐血しながら吹き飛ぶ。回復魔法を行使しようとしたが魔力を乱され発動出来なかった。リカは網膜に魔精眼を張り、ニルスのツボを刺激して乱したのだ。
リカ「今だ!カズト!!」
ニルス「!!」
リカがそう言った。ニルスはそこへ視線を送ると確かにそこにはカズトが倒れていた。しかしその姿は徐々に消えかけていた。霧魔力…有幻覚による錯覚である。ニルスは目を見開いた。実力者でさえ錯覚させる魔法は体験したことが無いからだ。
カズトはニルスの遥か上空に待機していた。そして加速の炎を50重に重ね合わせて一気に落下していく。その速度は音速を越えていた。ニルスは落下してきたカズトに向けて僅かな魔力の防御壁を張った。
カズト「神風剣術奥義……千手鋼剣」
ニルス「はぁぁぁあ」
千人に分身したように錯覚させるほどであった。防御壁に衝突したその突きは、あっさり破りニルスに連撃となって襲いかかった。それが止むとニルスは地面に叩きつけられ、カズトはゆっくりと降りて膝を付いた。ニルスとの戦闘で炎を大量に消費して貧血を起こしていた。
数分後やっと立ち上がったカズトはニルスも元へ歩いていく。リカはニルスの廻りに魔力を乱す装置を展開し捕縛するところだった。
カズト「もう終わりだ」
ニルス「その様だね……向こうも終わったようだ」
カズト「リカ下がれ!!」
椿を突きつけたときニルスの身体中が発光した。尋常出ないほどの輝きにリカを下がらせた。そして装置が破壊され空へと上がっていく。そしてニルスは頭に角が出現し、顔には刺繍が浮かび上がっていた。さらに魔力も上昇していた。
そしてニルスの横に見覚えのある人物がいた。
カズト「何故そこに居るんだイロハ!」
カズトの主人であるイロハ・タチバナがそこにいた。しかしイロハもニルスと同様に変貌していた。
「黙れ人間……我は高貴なる鬼の一族であるぞ」
イロハだがイロハでは無かった。
ニルス「お久しぶりです姫」
「ニルスか1000年ぶりだな」
ニルス「姫も相変わらずで」
「この娘の体に馴染めん……それ」
イロハの放った火弾はフエベビィーラ連峰に直撃し、火柱が上がり消滅した。
ニルス「お人が悪い……その力でも足りないと?」
「そうは言っておらぬ……小娘がまだ拒んでおる」
ニルス「では始めようか……転生魔法……鬼人臨依」
ニルスは巨大な術式を展開し発動する。すると王国中からいくつもの光の柱が伸びる。