助っ人登場
氷の中から出てきた少女と抱えられている夜桜マスターに疑問を感じていた。あの氷山をいとも簡単に砕き何ともなかったように平然としていた。リカは近くの瓦礫に近づいてクリスをそっと下ろした。
クリス「クロ……キバ……何故…来た?」
リカ「何故って街を守りにだよ」
クリス「あいつらの……目的は……お前だ……お前の……製作した武器が……目的」
リカ「喋るな……もういい寝てろ」
クリス「私も……戦う」
リカ「安心しろあいつは俺が殺る」
クリスは遂に力尽き意識を失った。回復魔法を掛けて治すと、ゆっくり立ち上がりデメリスに振り向く。へらへらしている顔はいつも以上に怒りを表していた。
デメリス「今度はそなたが相手か?」
リカ「なんだ?不満か?」
デメリス「いや年端もいかない小娘を殺しても目覚めが悪い退いては貰えぬか?」
リカ「なんだ弱気じゃねぇか?なんならひとつ教えてやるよお前らが探してる『サイエンス』ってのは俺だよ」
デメリス「!?なんと……私の目的は果たせそうですね。では私たちの元に来て貰えぬか?」
リカ「だれが行くかよ」
デメリス「手荒な真似はしたくは無かったのですが力付くで来てもらおう 幻氷海牛」
氷魔法で造形された海牛を霧魔法にて姿を惑わせた。姿を消した海牛はリカの廻りに配置が完了し一気に襲いかかる。リカは魔力を薄く展開し、領域に侵入した物体を把握し軽々と避ける。
デメリス「ほぅなら幻影氷」
氷の残撃がリカに向かってくる。それをリカはオプションワークス『双雨剣』を起動し、残撃を破壊した。それは魔力で造られた双剣である。能力は様々で使い勝手がいい。この能力は残撃に僅かに展開している術式を破壊する。『術壊』が作用しているからだ。
リカ「こんなものか?」
デメリス「凄いじゃないか……
『生きとし生けるもの
すべてを凍らせ
永久に溶けることのない地獄を……
氷世界』
私の世界で倒して上げます」
景色ががらりと変わり氷の世界が出来上がった。天候も変わり吹雪となっていた。魔法で術破は出来ないと悟ったデメリスはこの世界の魔法を発動した。リカの足が凍りつき始めると無理矢理引き剥がし空へと駆ける。空中に魔力を込めて立っていた。
デメリス「さぁ見せてください貴女の力を」
リカ「なにいってんだ?もう見せてるだろ」
リカがデメリスの右腕を持っていた。右腕を見ると血が吹き出していた。それに驚いたデメリスは右肩を氷で止血した。
デメリス「いつの間に」
リカ「速すぎて見えないだけさ」
氷魔法氷蜂を数百作り出し、自身を囲うように展開し無敵空間が出来上がった。これでデメリスは多少の時間は稼げると思っていた。だがリカは双剣を解除し新たにワークスを取り出す。スナイパーライフルが出来上がった。そして網膜にターゲットマーカーが映りだす。
ターゲットマーカーが氷蜂の動きをすべて捉える。引き金を引くと弾が拡散し氷蜂に次々に命中する。そして蜂の隙間を通り抜けデメリスに命中した。氷の甲冑を削り生身の肉体に直撃した。
デメリス「な、にぃ」
さらにスナイパーライフルを解除し、斧に切り替える。大きく振りかぶり蜂の檻に突っ込み檻をぶっ壊した。
リカ「かくれんぼは終わりか?」
デメリスはこの少女に勝てないと悟った。雄叫びを上げながら氷魔法を出鱈目に連射し始めた。冷静さを失ったデメリスに対しリカは氷魔法を潜り抜け斧から短剣に切り換えデメリスの頸動脈を斬った。血が吹き出しているが片手で傷口を塞ぐ。
デメリス「ぐぅおおお!」
リカ「諦めろもうお前は死ぬ……」
デメリス「私はまだ死んでおらぬ!私は不死身だ!」
氷の指輪が禍々しくなり炎が漏れだした。その炎がデメリスを覆い消え去り、リカの背後に現れた。それは完全に魔獣と変わり果てた姿となっていた。