火の意志
デメリスは困惑していた。氷魔法を使おうにも発動時に溶けてしまう。そこまでの温度となっている。さらにあの剣に触れれば自分は無事では済まない。
クリス「いくぞ」
クリスの一言でデメリスは防御態勢に入る。氷が溶けない分厚い氷壁を創る。デメリスは安心し次の魔法を唱えようとしたがクリスの灰塵一弦に一刀両断された。その反動によりデメリス腹から胸まで斬りつけられた。デメリスは後ろには退き、その傷を氷で塞ぐ。そして氷魔法で対応するが溶かされ無駄であった。雷魔法と闇魔法を併用するが通用しなかった。氷魔法を得意とするデメリスは、ほかの魔法を使うと威力が落ちてしまう。その欠点があった。
デメリス「はぁ……はぁなんだそれは……」
クリス「これはお前たちが……欲しているものだ」
デメリス「ほぅ……それがサイエンスの……作品でしたか……興味深い……ここまで殺るとは」
クリス「安心しろ殺しはしない……捕らえてアジトと首領の居場所を吐かせる」
デメリス「殺しはしない……か。この国は何処まで甘いんだ。」
デメリスは懐から魔道具を取り出す。
デメリス「貴女はこれで葬ってあげましょう。あの人より承った最高の魔道具を使うときが来た」
その魔道具とは
地獄氷竜から採取された胆嚢を天才魔道具技師ギュード・マグレルトに製作された呪われた氷の指輪『呪氷輪』
太古から存在する氷山より採掘された古代遺産の『氷幻剣』
その氷山の頂上に出現したダンジョンの奥深くに眠っていた神代遺産の氷魔装甲冑
『氷弍蕃装』
取り扱いが難しく使用するには相応の敵に遭遇したときに許された魔道具。小型魔獣を倒すために
熟練の魔導師1師団連れてくるようなものだ。これはデメリスが任務を遂行するための執念
デメリス「大戦氷装備」
クリス「奥の手か……私にも負けられない」
クリスも負けてはいられない。フレイが産まれて時期当主はなれない身ではあるが火の貴族としてギルドマスターとして市民を守らなければならない。たとえ自分が死んでも火の意志はフレイが引き継ぐだろうとクリスは思っていた。
そしてオプションワークスが進化を始める。使用者の覚悟で次の段階になるシステムをリカは組み込んでいた。
リカ「残火」
燃え上がっていた剣は消えうせ、焼き焦げた魔力刀が顔を見せた。能力の詳細は脳に直接伝わる。
そして王国内の水がすべて蒸発した。燃え上がっていた炎が残火に集まってきて消えてしまった。デメリスの魔道具である氷は蒸発していなかった。ふたり回りはまさに氷炎地獄となっていた。
しばらく見つめ会うとふたり同時に駆け出した。剣同士がぶつかり合うと辺りが焦土となり氷結した。
クリス「残火……旭頚刃」
デメリスはクリスの振るった残撃を避けると地面が遠くまでえぐれてしまった。デメリスは冷静さを取り戻しクリスを見ると消耗が著しく息が上がっていた。
デメリス「貴女のそれは魔力と精神力を大幅に削ってますね。だとすればそろそろ限界の筈です。」
そうクリスは限界に来ていた。オプションワークスは魔力と精神力を媒体に力を増幅させる武器である。それを使い続ければ何かしらの障害が発生する。それをクリスは忘れていた。汗が大量に噴出し身体中が悲鳴を上げ、吐血してしまった。オプションワークスは力を失い元の状態に戻った。
クリス「く、くそがぁ」
デメリス「貴女のそれに敬意を込めて……
氷剣」
デメリスは剣に魔力を纏わせ倒れそうなクリスに向けて放たれた。氷山が出来上がりそれを眺めるデメリス。装備を解除しようとしたとき氷山は崩れ落ちたのだ。その中から現れたのはクリスを脇に抱え刀を振るったリカの姿だった。
デメリス「何者だ。」
リカ「ただの迷子です。道を教えてくれよ。」