20話 王城にて
目が覚めて、天井を見上げると一目で豪華と分かる証明が天井に設置されている。電気無いのに、どういう構造なんだろう?ベッドは今まで使ったことがないほど、大きくてふかふかの物だ。そして、ベッドより柔らかいものが両側に寄り添っている。セシリアとソフィアだ。セシリアも目を覚ました様で「お早うございます。ヤマト様。」と微笑む。続いて、ソフィアも目を覚まし、「・・・お早うございますぅ。」と朝に弱いらしく挨拶してきた。
「二人とも、お早う。今日は王城から迎えが来るらしいから、早めに準備しようか。」
と促し、それぞれ身支度を始めた。
部屋で外出の準備をしていると、不意にドアがノックされた。「ヤマト様、王城からの遣いの方が参られました。宿のロビーで待っておられます。」とドア越しに教えてくれたので、すぐに向かうことを告げ、僕達は部屋を出た。
ロビーに行くと、見覚えのある騎士が待っていた。あれ?この騎士、この間の隊長さんっぽい人だな。僕が「お待たせしました。」と言うと、
「いや、それほど待ってはいない。先日はすまなかったな。姫様を守るのに必死だったものでな。名乗るのが遅れたな。近衛隊隊長のバラン・ヴァレリーという。」
意外に素直だと思った。先日の様子からすると、もっと高圧的な人だと思ってたよ。
「いえ、気にしていませんよ。私は冒険者のヤマト、兎人族の子がセシリア、エルフのこの子がソフィアと言います。」
僕は自己紹介とセシリア、ソフィアをそれぞれ紹介する。バラン隊長は頷くと、
「うむ、ヤマト殿の女性は噂通り美しいな。そして、噂通り強い。」
噂通り?どんな噂だろう?というか、団長まで噂が届いていること事態びっくりなんだけど。僕が「噂ですか?」と尋ねると、
「正直に言うと王城に招待するのに、すこし調べさせてもらっただけだ。何でもナックルという者が、一番詳しく教えてくれたらしいぞ。聞いてきた部下が、しばらく【全能】という言葉が頭から離れなかったらしい。」
何してんだよ、ナックルさん!いや、もう【全身凶器】で良いや。まさか、昨日ギルドマスターの部屋に巻き添えで呼ばれた仕返しじゃないだろうな!
「ところで、私達は武骨な冒険者ですので、王城に適した服を持っていません。急なことで用意もできておりませんし。」
とさりげなく話題を変えてみる。するとバラン隊長は、
「問題ない。この度は非公式の会合だからな。清潔であれば良い。」
と言ってくれたので、僕達は気にしないことにした。僕達は、バラン隊長が用意してくれた馬車に乗り込み、王城へ向かうことにした。
王城への道中、馬車の中で僕達を呼んだのが誰かとか、王都について聞いてみた。バラン隊長が言うには、この国エストワール(初めて知った)は実力主義で、個々の強さの他に指揮能力や政治手腕等、実力があるものを優遇するのだと言う。また、スキルは遺伝することがあり、スキルがものを言う世界なので、積極的に貴族等が優秀なスキル所持者を抱え込む傾向にあるらしい。僕、貴族に狙われるんじゃない?僕が助けたお姫様や話を聞いた王様、つまり陛下が礼をしたいと言ったことから、今回僕達が呼ばれたらしい。
王城に着くと、豪華な応接室のような部屋に通された。冒険者ギルドの応接室とは、広さからしてレベルが違う。しばらく待っているとバラン隊長と共に30歳後半くらいの男性と、16歳くらいの女の子が部屋に入ってきた。男性は金髪で白色のシャツに黒いズボンで、『貴族の執務服です』って感じの出で立ち、女の子は白とピンクを基調としたシンプルなドレスを着ていた。男性が僕を見て口を開くと、
「非公式だから堅苦しい挨拶は抜きにするぞ。俺がこの国の王、アレク・オブ・エストワールだ。それでこっちが俺の娘、ルウナ・オブ・エストワールという。わざわざ来てもらってすまないな。」
ルウナ王女が紹介に合わせて微笑み、
「昨日は助けていただきありがとうございました。魔物の襲撃の際、私は気絶していたので、やっとお礼が言えました。」
と頭を下げる。ルウナ王女は父親譲りの金髪で、腰までの長さがある髪はさらさらで髪自体が輝いているようだ。優しげな印象を受ける顔は絶世の美少女、つまりセシリアやソフィアと同じくらい可愛い。今度は僕が、
「お招きいただきありがとうございます。冒険者のヤマトです。後ろの二人がセシリアとソフィアと申します。」
と挨拶を返す。
「まずは娘を助けてもらったそうで礼を言う。ヤマトが助けに来なければ娘はおろか騎士団も全滅していたかもしれない。本当にありがとう。この例にお前に子爵の地位と領地をやる。」
アレク王のいきなりの言葉に、さすがに貰いすぎでは?と思い聞いてみると、アレク王はニヤリと笑うと、
「心配するな。領地とは言っても何もないところだ。他の者から文句は出んさ。」
と返してきた。そんな領地を貰っても、あんまり嬉しくないなぁと思っていると、「後で分かる。」としか教えてくれなかった。さらにアレク王は、
「それと今日来てもらったのは、もうひとつ用件があってな。結論から言うと、ヤマトの回復魔法で俺の妻の病を治療して欲しい。高度な回復魔法が使えるんだろう?もともと、ルウナが騎士団と出ていたのも、回復術師を探していたからなんだ。ヤマト、頼めないか?報酬は可能な限り叶える。」
と言って、王自らが頭を下げる。僕は慌て、
「頭を上げて下さい。どこまでご期待に添えるか分かりませんが、協力させてもらいます。」
と答えた。僕の回復魔法はレベル5だけど、ポイントが有るからレベルを上げてみるか。
※現時点のステータス
【Name】ヤマト
【スキル】鑑定Lv10、全言語理解、スキルメニュー、風魔法Lv10、索敵Lv10、生活魔法、空間魔法Lv10、二刀流Lv10、隠蔽Lv10、回復魔法Lv5、眷族化Lv10、危険察知Lv10
【SP】207
【称号】女神の加護
【眷族】セシリア、ソフィア
【Name】セシリア
【スキル】剣術Lv10、身体強化Lv10、生活魔法、隠蔽Lv10、危険察知Lv10、全状態異常耐性Lv5
【SP】103
【称号】ヤマトの眷族
【Name】ソフィア
【スキル】精霊術Lv6、精霊眼、生活魔法、隠蔽Lv10
【SP】36
【称号】ヤマトの眷族




