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19話 王家からの招待

「【全能】!何で俺までギルドマスターの部屋に呼ばれるんだよ!」

「まあまあ、そんなこと言わないで下さいよ。【全身凶器】さん。」

「俺をその異名で呼ぶなって言っただろ!っていうか異名に「さん」付けするんじゃねえよ!」

僕とナックルさんが、ギルドマスターの部屋で騒ぐことになったわけは、少し前に遡る、


「お帰りなさいませ。ヤマト様。」


と、セシリアとソフィアが出迎えてくれる。二人の天使に癒されるな。僕は皆に、魔物を討伐して怪我人を治療して戻ってきた、と簡単に説明した。僕に怪我もないし問題ないということで、予定通り王都に向かうことになった。


王都に向かっていると、またしてもナックルさんが僕の隣に座っている。・・・あの、隣はセシリアとかソフィアが良いんですけど。あんまりナックルさんが僕を【全能】と呼ぶので、休憩の時にナックルさんの異名がないのか聞いてみた。


「俺に異名なんか、ね・・・」ねぇよ、と言おうとしたところで、カッツさんが、


「ナックルの異名は【全身凶器】だ。」

「何で言うんだよ!カッツ!」


カッツさんが説明してくれたことで、ナックルさんの異名が判明した。何でも鉄甲等を使って格闘してたら、そんな異名がついていたらしい。本人は気に入ってないみたいだが。


王都の門の前に着くと、ヤックさんが、


「この度はありがとうございました。また、よろしくお願いします。私は王都にも館を構えていますので、ご入り用の際はお立ち寄り下さい。」


と言って、僕達に依頼達成のサインをしてくれた。ヤックさんと別れ、王都に入るとさすがに人通りが多かった。普通の人族が多いが、獣人やエルフ、ドワーフっぽい人もいる。いろいろ見て回りたいが、とりあえずナックルさん達と依頼の達成報告をしに、冒険者ギルドに向かうことにした。


冒険者ギルドは大きく、大きな館くらいあった。中に入ると、正面に受付カウンター、依頼の掲示板が右手側にあるのは【エスト】の街と一緒だった。僕達は受付カウンターに行き、依頼の達成報告と魔物の討伐報酬を貰おうと並んだ。ナックルさんに続いて、僕も依頼の達成報告と魔物の討伐報酬を貰おうとしたところ、僕のギルドカードを確認した受付嬢が、


「えっ!?シルバーウルフ亜種!?」


と大きな声をあげた。ギルド内が少しざわつくが、受付嬢がシルバーウルフ亜種について聞いてきたので、報告した依頼中に討伐したことを簡単に説明すると「少々お待ち下さい!」と言って、カウンターの奥に向かった。あっ、このパターン、僕知ってる。ギルドの偉い人が絶対出てくるでしょ。僕がそんなことを考えていると、


「おい、【全能】!シルバーウルフって聞いてねぇぞ!?倒すのが簡単な魔物じゃなかったのかよ?しかも亜種だと!?」


ナックルさんに聞かれて、観念した僕は「嫌だなぁ、ナックルさん。『簡単に言うと魔物を倒した。』って言ったんですよ。」


案の定、ナックルさんには「屁理屈言うんじゃねぇよ!」と言われたが。しばらくすると、さっきの受付嬢が戻ってきて、


「ギルドマスターがお会いするそうです。依頼のことも聞きたいので、パーティー・リーダーだけで結構です。」


と言ってきたことで、冒頭に戻る。


「【全能】、そういう大事なことは先に言っておけよな。」


なんだかんだ言って、ナックルさんは面倒見が良いと思う。見た目は厳ついけど、冗談が言えるしな!


「それよりもナックルさん。シルバーウルフ討伐ってギルドマスターに呼ばれる様なことなんですか?」


僕は疑問に思ったので、ナックルさんに聞いてみた。あれ?返事がない。


「【全身凶器】って呼ばないと返事してくれないんですか?」


僕がそういうと「そうじゃねぇよ!呼ばれた理由を考えてたんだよ!」と僕のボケにつっこんでくれた。


「確かに亜種とはいえ、シルバーウルフを討伐したくらいで、いちいちギルドマスターが出てくるのも妙だな。因みに、シルバーウルフはAランクで、その亜種はAの上位。つまりSランクの一歩手前だ。騎士の一個大隊で何とか倒すくらいだな。まあ、【全能】みたいにCランクが単独で倒すのが異常っちゃ異常なんだが。」


と、そんな話をしていると、男女二人が部屋に入ってきた。男性はエルフで見た感じ若そうに見える。もう一人の女性は人族の女性で若く、仕事が出来そうなキャリアウーマンって感じ。何だかマリアさんを思い出す。エルフの男性が話始めた。


「待たせたかな?私がギルドマスター統括のエドウィンという。エルフだから若く見えるかもしれないけど、これでも長くこの地位についているよ。」


と、大抵の女性が見惚れるような笑顔を見せる。まあ男前なのは認めるが、僕は男だからね。このギルドマスターの話を聞いて、後でソフィアに年齢を聞いた時「私は見た目通り、ピッチピチの16歳で、ヤマト様が初めてです!」という情報を得た。余談だけど。


「早速だけど、まずヤマト君。君を【鑑定】しても良いかい?」


と確認してきた。あらかじめ聞いてきたのは初めてだな。僕は感心しながらも、


「良いですけど、無駄ですよ?」


と答えた。僕は【隠蔽】Lv10だ。【鑑定】はできないだろうと思い、了承した。すると、やはり覗かれたような感じを受けた。ギルドマスターが【鑑定】したんだろう。


「なるほど。【鑑定】できない。私は【鑑定】Lv10なんだよ。なのに、【鑑定】できない。この意味が分かるかい?」


同じレベルだとどうなるんだろう?強い方が勝つ?


「正解は魔力、つまり魔力量が多い方が勝るんだよ。だから君は私より魔力量が多いことになる。これは相当だね。」


それから僕とナックルさんから、依頼やシルバーウルフ討伐の件を聞き取り、


「じゃあ、ヤマト君はAランクに上げておくよ。あと、ここに来てもらった理由だけど、王家から依頼を受けてるんだよ。何でもお礼がしたいらしいよ?ただ、他にも何か理由がありそうだったけどね。」


と、もの凄く不安になるようなことを言ってきた。ランクについて上がりすぎじゃないかと思ったから、ギルドマスターに聞いてみると「大丈夫だよ。わたしがトップだから。」と微笑んでいた。因みに、Sランクになるには国に認められる必要があるらしい。


「今日は王家御用達の宿に泊まってね?そう依頼されてるから。明日の8の鐘がなる頃に迎えが行くように手配しておくよ。」


と言われて話は終わった。その後、散々ナックルさんに「俺が行く必要あったか?」と文句を言われたが、シルバーウルフの買取り額の半分を渡すと喜んでいた。チョロい。


僕とナックルさんが受付まで戻ると、予想通りセシリアとソフィアに言い寄る男達がいて、一連の行程(決闘からの奴隷送り)を済ませると、ヤックさんが「これが【全能】たる所以か。」とか余計なことを言っていた。いろいろ疲れたので、ナックルさん達と別れて宿に行くことにした。


案内された宿は、「どこの高級ホテルだよ!」という印象を受けた。異世界で初のお風呂があるし、ホテルの中に噴水がある。これ、いるのか?とも思ったが金持ちの考えることだからな。僕達は3人で泊まれる部屋を案内してもらい、明日に備えて休むことにした。・・・もちろん、二人の美少女との激しい戦闘が繰り広げられたことは言うまでもない。

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