12話 眷族化
朝日の明るさを感じるとともに、体を包まれるような人肌の暖かさや柔らかさを感じるという、幸せな状況で目が覚めた。寝ている僕の隣には、一糸まとわぬ状態のセシリアが身を寄せてきて、ちょうど彼女も目が覚めたようで「おはようございます。ヤマト様。」と恥ずかしそうに挨拶をしてきた。昨夜はいろいろ頑張ったから、若干僕も気恥ずかしさを感じているが、何とか平静を装おって挨拶を返すことができた。
「おはよう、セシリア。準備ができたら朝御飯を食べに行こうか。」
僕とセシリアが一階の食堂に行くと、同じ宿泊客だろうか、ちらほらと席について食事をしている姿が見える。今日の朝食はパンとサラダにスープ、あとはスクランブル・エッグのような玉子を焼いたようなものだった。パンが少し固かったが、他の客がスープに浸して食べていたので僕も真似をして食べた。僕の正面に座っているセシリアも同じようにして、だけど僕よりも美味しそうに食べていた。
朝食後、僕は今後のことを考えていた。僕のスキルを活かすには魔物を倒すのが一番良い。それなら魔物を倒すことが多い冒険者にろうと思う。ただ、スキルを簡単に取得できるのは普通に考えたら不自然なはずだ。セシリアに聞いたところによると、スキルを生まれつき持っている人もいるが極一部らしい。訓練等、毎日努力をすればスキルを得ることもあるが、レベルを上げるのは本当に大変らしい。まあ、達人でLv5くらいって言ってたしね。あとはダンジョン等で手に入れるスキルオーブという物で、スキルを取得したりレベルを上げることができる。今後もスキルを取得していく以上、セシリアには僕のスキル等を説明しておこうと思う。
「セシリア、大事な話があるから聞いて欲しい。」
と僕が言うと「分かりました。」と聞いてくれる姿勢を見せる。僕が異世界から来たこと、女神様にスキルをもらったこと、そのスキルで魔物を倒せばスキルを取得できること等を説明した。セシリアはかなり驚いていたが信じてくれたようで、
「ヤマト様は、勇者様なのですか?」
と突拍子もないことを言ってきた。何でも過去に異世界から勇者が召喚されたことがあるようで、その勇者も強力なスキルを持っていたらしい。
「僕は、勇者ではないよ。女神様からも幸せになるように言われているだけだから。でも、セシリアはこんな話を信じるの?」
とセシリアに聞いてみた。僕だったら『異世界から来た。女神様に会った。』とか言われたら『この人大丈夫?』と疑うかもしれない。そう思って聞いてみると、
「はい、信じます。ヤマト様のその強さ、魔法、私の部位欠損を治していただいたことからも、ヤマト様ほど何でもできる方を私は知りません。多才過ぎます。それは天才では済まないほどだと思います。だからヤマト様が勇者様だと言われても信じますよ?それに優しくて格好良いですし。」
と、目を輝かせながらも、最後は小声で説明してくれた。・・・最後のくだりいる?まあ、嬉しいけども。でも、何でもかんでもやりすぎたか?少しは自重した方が良いかな?だけど、セシリアの時は命がかかっていたしなぁ。今となってはセシリアを失うことなんか考えられない。僕はセシリアを抱きしめると「ヤ、ヤマト様!?」と狼狽えていたが、
「ごめんね。セシリアがあんまり可愛かったから、ついね。」
僕の言い訳に、セシリアは赤面しながらも「いえ、私はヤマト様のものですから」と答えた。僕がセシリアを大事にしていることは、追々分かってもらおう。
僕の目的の一つに、セシリア強化計画があるのだけれども、何か良いスキルはないかと思い探してみるとLv1で10ポイントの【眷族化】というスキルがあった。このスキルは、眷族にした者とポイントを共有、つまり僕とセシリアのどちらが魔物を倒しても、僕とセシリアの両方にポイントが入る。セシリアにたまったポイントで、セシリアのスキルを僕が取得させる。取得させるスキルのレベルは【眷族化】のレベルが上限となるようだ。かなり強いスキルだ。ただ、このスキルは僕の固有スキルと言っても過言ではなく、一度【眷族化】をすると死ぬまで解除できないようだ。事前にセシリアに聞いてみると、
「ぜひ、私をヤマト様の眷族にして下さい。私は一生をかけて御恩をお返しします。」
と幾分、そこまで力まなくても良いとは思ったが、僕もセシリアを一生大事にしようと思ったので「じゃあ、眷族化するよ。」と言って、セシリアに眷族化を施した。
※現時点のステータス
【Name】ヤマト
【スキル】鑑定Lv10、全言語理解、スキルメニュー、風魔法Lv5、索敵Lv10、生活魔法、空間魔法Lv3、二刀流Lv5、隠蔽Lv10、回復魔法Lv5、眷族化Lv1
【SP】16
【称号】女神の加護
【眷族】セシリア
【Name】セシリア
【スキル】剣術Lv2、身体能力強化Lv2、生活魔法
【SP】0
【称号】ヤマトの眷族




