始まり
まず最初に認識したのは、どこまでも白く広い空間で、僕は思わず、
「えっ!?」
と、声をあげて周囲を見回した。
しかし、ただ白い空間が広がるのみで、その白い空間で異質なのは、ただ僕がいる、ということのみだった。
僕は状況を理解すべく、
「えっと、僕は日本の高校生、名前は・・・何だっけ!?」
と半ば混乱しながら声に出していた。
どこの誰か思い出せず、取り敢えず体に異常が無いことを確認していると、不意に、
『初めまして。混乱しているところ申し訳ありません。』
と女性の優しい声が聞こえた。
さっきまでは誰もいなかったはずなのに、そんなことも気にならないくらいの容姿の女性、つまり絶世の美女が目の前にいた。
金髪碧眼で、慌てる僕を慈しむ様にニコニコと見つめる女性は一転して悲しそうな表情になると、
『あなたは、お亡くなりになりました。』
と、いきなり言われ、
「えっ?僕死んだんですか!?っと言うか、死んだ記憶も無いんですが!」
と僕は慌てて女性に問いかけた。
女性は、さらに、
『はい、間違いなくお亡くなりました。』
『あなたの生前の記憶は一部、規定により消去させていただきましたが、結論から言うと、あなたには異世界に行って頂きます。』
・・・記憶の無い僕でも、ちょっと信じられない事が僕の身に起こったようだ。