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ロストカラーズ  作者: あすか
第三章 不死王討伐
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第66話 残党狩りをしよう

「いやー。しっかし、ほんに妬けるくらいの熱い抱擁じゃったな」


 エキドナは俺がさっきルーナに抱きついたことを、まだ蒸し返してくる。


「うっさい。さっきはちょっと感極まっただけだ。なぁルーナ……ルーナ?」


「えっ? あっ? 何でしょうかシオン様?」


 珍しく話を聞いていなかったようだ。やはりもう限界だろうか?


「おい、大丈夫か? ……疲れてるなら休んでていいぞ」


 怪我はなかったとはいえ、あれだけの激戦だ。疲れないはずがない。


「え、ええ。やはり少し疲れているようです。申し訳ございませんが、わたくしはリンの所で少し休ませて頂きます」


「おう。無理そうだったら、先にシクトリーナに戻ってろ。もう結界もないし、トオルに言えば、転移でシクトリーナまで帰れるだろ。あっちの様子も気になるしな」


 登録していた魔法結晶は、さっきの病院に上書きしちゃったからな。帰るのなら、トオルにお願いしないといけない。


「あっ、じゃあ予備の魔法結晶を渡しておくよ。これを使えばシクトリーナに戻れるからね」


 トオルがルーナに魔法結晶を渡す。まだ予備があったんだ……。


「トオル様。ありがとうございます。では、お言葉に甘えまして、わたくしはセツナを連れて、先に帰ることにします。代わりにリンを残しておきますので、何かありましたらリンにお申し付け下さい」


 セツナもさっきまで捕まってたんだ。城でゆっくり休ませたいな。


「分かった。じゃあリンにはこっちに来るように伝えてくれ。あ、あと例の二人も一緒に連れてきてくれと言っといてくれ」


「畏まりました。では、先に失礼します」


 そう言って、ルーナは転移で帰っていった。


「あれは……確実に堕ちておるな」


「うん、僕もそう思うよ」


「はぁ? んな訳ないだろ」


 端から見たらそうかもしれないが、今のルーナにその余裕はなかっただろう。単純に限界がきただけだ。

 まぁ、シチュエーション萌えのルーナだから、さっきの強敵からの流れは、見逃せないイベントだった可能性も少しはある。

 まぁ、俺も流石に抱き締めるのはやり過ぎだったかもしれない。後で詫びを入れておこう。


「えーと。これからどうするんだ?」


「そうじゃな。おーい、ゼロよ。お主はこれからどうするんじゃ?」


「ん? ああ、十分楽しませてもらったし、カミラだけ連れて帰るわ。それで主要人物はいなくなるだろ。あとは勝手にしろ」


 あと一人だけ幹部に出会ってないが、俺の【毒の自動追尾】も気がついたら発動していた。今はホリンに確認させているので、それ次第だが、巻き込まれている可能性が高い以上、ヘンリー軍の幹部はカミラしか残ってないはず。

 あとは有象無象のスケルトンやレイスのみ。どうとでもなるだろう。


「ま、不夜城の再編成は任せとけ。そっちには迷惑を描けないよう言い聞かせる」


 そう言うことならいいだろう。


「分かった。じゃあ落ち着いたら、酒でも持って、またあの隠れ家に行くわ」


「おお、ちゃんと塩辛も持ってくるんだぞ! いいな!」


 そんなに塩辛が気に入ったのか? 仕方ない。今度は多目に持っていくとしよう。


 ゼロが帰ると、この場に残ってるのは、三人だけになってしまった。


「ここ……どうするよ?」


「ひとまず、ラミリア達が来るのを待つしかないのう。人間共も生き残りをどうするか決めねばならぬし、この国の領土をどうするか話し合わねばならぬ」


「そっか。んで? ラミリア達に連絡は付いてるのか?」


「うん、さっき連絡したよ。明日にはこっちに辿り着くだろうって」


 ヒポグリフで来るから、一日で到着出来るらしい。


「なら今日は大人しく残党狩り?」


 まだスケルトンは結構残っているはずだ。あっ、でもヘンリーが死んだから、スケルトンも活動してないのかな?


「なぁ? アンデッドって、ヘンリーが死んだら活動してないのかな?」


「そんなことはない。使い魔と違うて、命令で従ってはおるが、ヘンリーの魔力で動いておるわけではない。ただし、リビングデッドは違う。あれらは魔石ではなく、ヘンリーの魔力で動いておるからの。活動を休止しとるじゃろう」


 リビングデッドなら、魔石はないから、寧ろ活動してない方がありがたい。


「なら俺はスケルトンやレイス狩りをしようかな」


「うーん、そうじゃのう。それも面白くないと言うか、芸がないと言うか……。そうじゃ! せっかくじゃから、この城を探索せぬか? もしかしたらお宝があるやもしれぬ」


 エキドナにとっちゃ、スケルトン何て雑魚を相手にするのも億劫なんだろう。


「じゃあ二人で行ってこいよ。明日からは忙しいから、あまり二人きりになれそうもないしな」


「別に気を使わんでもよいのだぞ?」


「別にそんなに気を使ってる訳じゃないさ。どのみち俺はリンを待たないといけないし、大事なお客もいるしな」


「そう言えば例の二人って言ってたね。一体だれだい?」


 トオルの質問に俺はニヤリとして答える。


「日本人さ」



 ―――――


「お待たせしましたっス!」


「……まさかホリンに乗ってくるとは思わなかったな」


 リンと二人はホリンに乗ってバルコニーからやって来た。女性三人なら何とかホリンでも乗れるらしい。


「スケルトンに囲まれてた所を、ホリンさんに助けてもらったっス!」


「おいおい、物騒だな。大丈夫だったか?」


「ええ、傷一つないっス」


「それは良かった。ホリンもありがとな。しかし……そっか。やっぱりスケルトンは残ってたか」


「まだまだいるっス。でも、同士討ちも多かったっス」


 同士討ちは俺が洗脳したスケルトンか。まだ魔法の効果が切れてないんだな。


「二人も……大丈夫だったか?」


 俺は二人の方に尋ねる。


「はい! 大丈夫でした」


 確かミサキだっけ? 元気に答える。


「それはよかった。えーと、レンちゃんだっけ? 君も大丈夫?」


「はぅ! だ、大丈夫です」


 こっちはちょっと人見知りっぽいかな? 驚かせたくないし、あまり話しかけない方が良さそうだ。


「そっかそっか。じゃあ早速で申し訳ないけど、君達には、これからのことを考えてもらわないといけない。君達の大事な人が亡くなって悲しいだろうけど、君達の今後に関することだから、きちんとしないとね」


 二人は真剣な顔で俺を見る。


「まず、一つ目の選択だ。俺はシクトリーナ城って城の城主だ。リンやさっき俺と一緒にいたルーナはそこのメイドだ。君達は俺達と一緒に来てもいい。あ、別にメイドになれと言ってる訳じゃない。城に客人として住んでもいいし、俺が治める町があるからそこに住んでもいい。それは任せる」


 同じ日本人として可能な限り面倒はみたい。もちろん、住み続けるのなら、そのうち働いてもらうけどな。


「次の選択肢は、今まで生活していた場所に帰る選択肢だ。もちろんその場合は、可能な限り、その場所まで送ろう。あ、流石に日本には送れないぞ」


 宿屋にいたみたいだから、王都暮らしじゃなかっただろう。元々住んでいた場所が良いなら、それを優先させたい。


「そして最後の選択肢はここで別れるだ。君達もここの世界に来て色々見てきただろ? ここは日本と違う。安全な場所はないし、親切な人なんて数えるくらいしかいない。俺だって、親切にしてるけど、本当は悪いやつかもしれない。実際に、この寂れた王城にいるくらいだしな。だから俺みたいな、得たいの知れないやつに関わりたくなかったら、ここから出ていってもいい。さぁどうする?」


 出来ればこの選択肢は選んでほしくないけど……。


「そんなん選択肢になっとらんやん。ここで別れるゆう選択はまずない。シオンさん、あっ、城主なら様付けなあかんな。シオン様が悪い人ならウチらはすでに死んどる」


「別に様なんて付けなくていい。ってか、城主ってもお飾りだから気にするな。それに、俺は実は二人を売り飛ばそうと助けた、奴隷商人かも知れないぞ?」


「そんな訳あるわけないやん。ウチらだってこの世界で結構暮らしてきた。人を見る目はあるつもりや」


「へー、で別れる選択肢はなくなったが、残りの二択はどうするんだ?」


「……わがままな願いなのは承知しとるが、出来ればウチら二人を引き取ってはもらえんやろか? 元々世間知らずで、何も出来ん小娘二人やが、オトンの元で商人の勉強はしてきた。金勘定や交渉も、少しは出来る。せやから置いてもらえんやろか?」


 この二人……商人だったのか。商人って俺達が今欲しい人材だよな。


「さっきも言ったけど、俺のところに来るのは構わない。でも、商人だったんだろう? 戻らなくて良いのか?」


「……オトンが死んだことは、報告せなあかんと思う。けど、オトンがおらんかったら、ウチらに居場所はあらへん」


「やっぱり異邦人だと居心地が悪いのか?」


「ん? ああ、ちゃうちゃう。あの商会はオトンが頑張って大きくしたんやけど、既に一人息子が後継いでるから、ウチらはオトンと気ままな行商をしておったんや。別にその息子と仲が悪いわけやない。でもオトンがおらんのに、ウチらが厄介になるのも悪い気がして……。それに商人やるとしても、オトンがおらんのに、ウチら二人で行商も……ねぇ?」


 ああ、別に居心地の問題ではないんだ。ってか、二人で行商は危険すぎるだろ。


「じゃあ、まあウチに来てもいいけど……ウチの城は殆どが魔族だから」


「「……え?」」


 やっぱり驚くよなぁ。



 ――――


 俺は二人にシクトリーナと俺達の話を簡単にした。詳しい話はしていない。そう言うのは、落ち着いてからゆっくり話したかったからだ。

 だからここでは俺達が辿り着いたのが、二年前の魔王の城だった。なんやかんやで城主になった。

 ここには別の魔王を倒しに来た。これくらいしか説明していない。


「じゃあリンさんもルーナさんも魔族やったんや。ちょっと肌が白いな思たけど、人間と全然変わらんやんか」


「そうだな。基本は魔族も人間も変わらないよ。で、元魔王の城で、魔族が多いけど、それでもいい?」


「言うたやんか。ウチらには行くとこがあらへん。せやからお世話になるわ。な、レン」


「うん。ミサキちゃんが良いなら、私は構わないよ」


「君たち二人の話も城に戻ってからゆっくり聞くから。だから今日は大人しく待っていてくれ。明日になったら城へ案内する。リン、彼女たちを休める場所へ。この城でもいいし、さっきの場所に戻ってもいいぞ」


「シオン様。でしたらこの城がいいっス。あそこは……生きている人間はいるけど、居心地はそこまでよくなかったっスから」


 話を聞くと、一部冒険者の横暴が目に付いたり、絶望して、生きる気力がない人などが目立ったようだ。まぁパニック状態だから仕方がないとは思うけど、やっぱり貴族だけでなく、住民も赤の国か……って、偏見を持ってしまうよな。

 先にシクトリーナへ連れていくことも考えたけど、城の皆への説明もあるし、出来れば一緒に連れて帰りたい。


「ならこの城にいるといいさ。今エキドナとトオルが城の探検に行ってるけど、それ以外の人はいないはずだから」


 この状態で隠れている敵は、流石にもういないだろう。


「それがそうでもなかったようじゃ」


 どうやらエキドナが帰ってきたらしい……が、どうやらオマケが付いてきたようだ。


「エキドナ……何でもかんでも拾ってきたら駄目だろう。ちゃんと元いた場所に戻してきなさい」


 エキドナが拾ってきたのって、どうみてもアンデッドだよ? しかもただのスケルトンじゃなさそうだよ。


「じゃがコヤツ、城の宝物庫におったぞ。捨ててきたら宝を持ち逃げするやもしれんぞ?」


「ほう? 宝物庫にねぇ。じゃあこいつはそれなりの地位の男か? ってか、何の種族なんだ?」


「一応ワイトじゃと思うんじゃが……ちょっと違う気もするのう」


 これがワイトか。俺のワイトの印象はエナジードレインとか、生命力を吸ってそうな、魔法が得意なスケルトンってイメージだ。


「……儂の名はオズワルド。元はこの国の宰相だった」


 へぇ赤の国のお偉いさんか……ん? どこかで聞いた名前だな。


「なぁトオル。オズワルドって名前、どこかで聞き覚えないか?」


「多分グリンくんかサイラッドくんの話で聞き覚えがあるんじゃない? オズワルドって人と、ハインリヒって名前は僕も聞いたことがあるよ」


 流石にトオルは物覚えがいいな。俺は言われるまでその名前は忘れてたよ。


「ああ、ハインリヒ部隊な。……懐かしいな。あれも一年以上前の話か。じゃあこいつに赤の国の事色々と聞けばいいんじゃないか?」


 この国の宰相だったのなら、詳しい話が聞けるかもしれない。


「そうじゃの。こやつは明日ラミリアが来たら引き渡す予定じゃ。それよりも、そこにいるのがさっき言っておった娘か?」


「ああ、二人とも挨拶してやってくれ」


 俺はミサキとレンに挨拶をさせる。


「は、初めまして。ミサキって言います」

「は、はぅ。レンです。よろしくお願いします」


 二人とも緊張しながら挨拶する。お辞儀なんか綺麗に直角になっている。


「うむ、妾はエキドナと申す。シオンの客なら畏まる必要はないぞ」


「ミサキくんとレンくんだね。僕はトオルだよ。シオンくんと一緒にこっちに来たんだ」


「エキドナは、こう見えてもこの世界で一、二を争うくらいの魔力を持っている魔王なんだ。下手に怒らすと……」


 あっ、二人がエキドナを見る目が恐怖に包まれる。ちょっと驚かせすぎたかな。


「シオン、そなた妾を何だと思っておるのじゃ。安心せい。そなた達には何もせぬわ。どうやら妾の鬱憤は、全部シオンが引き受けてくれるようじゃからな」


 どうやら藪蛇だったようだ。だけど、このやり取りで、二人は少し落ち着いたようだ。

 この後はリンに二人の事を任せる。エキドナとトオルには見張りをしてもらって、俺はホリンとスーラと一緒に残党処理。スーラや洗脳したスケルトンが集めた灰色の魔石はすでに四桁を超えていた。


 そして、ここでもスーラの新しい力が判明した。小さい魔石同士をスーラが飲み込むと、合体させることが出来るのだ。いくつかまとめて合体させることで、クズ魔石が質のいい魔石へと変化する。


 これを繰り返すと、最終的な数は、四分の一程度になるかもしれないが、それでも上質の魔石が三百個は下らない。それを魔法結晶へと加工すると……トオルの魔法はさらに便利になりそうだ。


 よし! 明日までに、出来るだけ残党を狩れば、もっと魔石が手に入るな。……今日は徹夜だな。



 ――――


「頑張りすぎた……」


 結局一晩中スケルトンを狩りまくった。残党だから、楽だろうとかとんでもない。後から後から増えてきやがる。雑魚でも塵も積もればなんとやらだ。んで、結局城に帰ったのは昼前くらい。

 お陰で王都内にアンデッドは殆どいなくなっていた。結局狩り尽くしてしまったな。

 ちなみに魔石はホリンとスーラが適度に城へ持ち帰っている。一体ホリンは何往復したんだろう? もしかしたら俺より大変だったかも知れないな。


 俺が赤の城に帰ると、すでにラミリア達エキドナ親衛隊が来ていた。


「シオンさん……お疲れのようですね」


 来たばかりのラミリアが見ても分かるくらい疲れた顔をしているようだ。


「見ての通りだよ。流石に一晩以上、ずっとスケルトンと戦い続けるのは骨が折れたよ」


 スケルトンだけに……とは口が裂けても言えない。


「まぁその結果がこの戦果なら、上々ではないでしょうか?」


 大量積まれた灰色の魔石を見れば、納得だろう。


「そうだな。んで、流石に疲れたんで、休ませてもらいたいんだが……後は任せて大丈夫か?」


「ええ、ここは私達に任せてください。数日もすれば、平定できるでしょう」


「数日で出来るのか?」


「まぁ暫定的には……ですけどね。復旧や実際に治めるようになるのは、まだ先の話です」


「そっか。まぁこれからはこまめに情報交換しよう。それに手伝いならいくらでもするしな」


「ええ、期待してます」


「それじゃあ俺はシクトリーナに戻るわ。何かあったら連絡くれ。ケータイは誰か貰ってるんだろ?」


「えっと、リンさんがこちらに残るそうなので、連絡はお願いしてます。エキドナ軍にケータイが支給されるのは、トオルさんが量産体制に入ってからですね」


 この魔石があればそう遠くはないはずだ。


「なるほどな。じゃあ何かあったらリンを通してくれ。じゃあな」


「あ、シオンさん。帰る前に一つだけご忠告が」


「ん? 何?」


「サクラさんが暴走しています。私も側で見ましたが、あれはヤバイです。……メイドによると、過去最大級に荒れ具合らしいですよ」


 ……聞きたくなかったな。その情報。えっ? 一気に帰りたくなくなったんだけど。


「何があったの?」


「敵からビッチ神の称号を貰いまして。敵全員のビッチ神コールで、ブチギレました」


 何そのカオスな状況。まずビッチ神って何? なんで敵からコールが巻き起こるの?


 ってか……そりゃあ姉さんがキレても仕方がない。絶対に八つ当たりされる。ほとぼりが冷めるまで帰りたくないぞ。


「なぁ俺ここに残っちゃ駄目か?」


 休みに帰りたいのに、絶対更に疲れること請け合いだ。


「私は別に構いませんが、皆さんが帰ったのに、一人だけ残ってるとまた何か言われますよ」


「だよなぁ。はぁ仕方ない帰るか」


 俺がラミリアに礼を言って、トオルたちの元へ行くと既に皆が待機していた。


「遅いぞシオン。他の者は皆準備が完了しとるぞ」


 他の者ってトオルとミサキ、レンの三人だけだしなぁ。


 リンはこのまま残るし、エキドナもラミリア達がいるから勿論ここに残る。


 トオルは一旦は帰るが、転移の為に、向こうとこっちを行き来することになる。で、魔法結晶が出来次第、シクトリーナと赤の国、エキドナの城にゲートの扉を開く。扉が出来れば、誰でも自由に行き来できるから、運搬や人員の補充もやりやすくなる。それが出来たら、一気に進展することだろう。


「いや……城で姉さんが荒れてるって聞いたから、帰りたくなくなった」


「何じゃ? サクラはどうかしたのか?」


「詳しくは姉さんの名誉に関わるから言えないけど、どうやら昨日の戦いで、とても不名誉なことがあったらしい」


「ふむぅ。そう言われると気になるが、まぁいいじゃろう。今度酒の席で会ったときに、聞けばいいのじゃからな」


 そのエキドナと姉さんの酒宴。絶対に参加したくないな。


「じゃあ行くよ」


 トオルの言葉で俺達はシクトリーナへ転移した。

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