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ロストカラーズ  作者: あすか
第二章 魔王城防衛
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日常編 アンケート

本編の()はフリップのようなものを使用してあり、直接声に出してないイメージでお願いします。

<シクトリーナ城 アレーナの場合>


「えっ? なんですかこれ? ……アンケート?」


(Q1 今の生活はどうですか?)


「そうですね。私はシエラ様の時からずっと料理番をしていました。当時は兵士がたくさんいましたが、作るものは毎回同じ。正直惰性の部分がありました。でも、今は毎日違う料理を作ることができて、やり甲斐を感じてますね」


(料理を作るのは楽しい?)


「楽しいですね。同じ食材でも、味付けを変えたり、調理法を変えたりするだけで、全く別の料理ができあがる。地球産の知らない料理を作るもの楽しいですが、何よりそこからより美味しく出来るか考えるのが本当に楽しいです」


(食べるのと作るのどっちが好き?)


「難しい質問ですね。今は作る方でしょうか。美味しい料理が完璧に作れたときの快感は、なにも勝てません」


(今後挑戦したい料理は?)


「肉は定期的に食べてますから海鮮……それも魚より、貝や海藻の可能性を見出したいですね。炊き込みご飯を作ってみたいです」


(聞いているだけでお腹が空いてきました)



(Q2 ここの城主をどう思いますか?)


「シオン様ですか? そうですね……城主というには頼りなさ過ぎますね。シエラ様に比べても威厳がないです。でも、どなたにでも同じように接しているのは好感が持てます。上に立つものとして、それが良いのかは分かりませんけどね」


(城主として改善してほしいところはありますか?)


「つまみ食いは止めて欲しいです。あと、深夜にコソッと調理場を使うのも止めてもらえると。知ってましたか? あの人、深夜に自分一人だけ美味しそうな料理を作って食べてるんですよ!)


(美味しそうな料理とは?)


「魚のカルパッチョとかアサリの酒蒸しとか……この間はタコ焼き食べてました。どうやら休日に自分で釣りをして手に入れてるみたいです」


(それは……許せないですね)


「魚介は貴重ですから……私達はニンフのナーイアスさん達に頼まないと手に入らないですからね。シオン様はそれを一人で食してるんですよ。全くうらや……なんでもありません」



(Q3 改善して欲しいところはありますか?)


「調理場の冷蔵庫を改造してほしいです! せっかくドルク様やダナン様が冷蔵庫を開発してくださったのです。業務用でたくさん保管できる冷蔵庫と冷凍庫を!!」


(要望として提出しましょう。他にはありますか?)


「後は……最近は村の人に料理を教えることが多くなりましたが、教えるために大きめな調理室か、ここの調理場の改装を希望したいです」


(分かりました)


(Q4 最後に何かありましたらお願いします)


「結局これって一体何なんでしょうか?」


(はい。ありがとうございました)



<シクトリーナ城 ルミナの場合>


「アンケート? 畏まりました。何でもどうぞ」


(Q1 今の生活はどうですか?)


「今の……というのは、警備隊の生活のことでしょうか? 私達の仕事は特殊ですから普段は第一、第二、通信隊のお手伝いをしております」


(特殊とは?)


「お客様がいらした場合は、部屋の中や外の警備。外から侵入者や盗聴などのスパイ防止などですね。後は捕虜を捕まえた場合の見張りなども仕事になります」


(外部からの干渉があってからが、警備隊の仕事になるんですね)


「その通りです。まぁ本来なら常に気に掛けないと駄目なんでしょうが、ここには結界がありますし、通信隊がおりますから、侵入者はすぐに分かります。ですので普段は待機しつつ、他部署のお手伝いをします」


(Q2 ここの城主をどう思いますか?)


「貧乏性だと思います。数が少ないから貴重なのは分かりますよ。ですが、結局使わないならそれは捨てることと同じです。一気にパーッと使えばいいんですよ」


(例えば?)


「ガソリンです! せっかく車があるなら乗り回さないと勿体ないでしょう! 運転しなかったらエンジンが錆び付いてしまいますよ!!」


(運転は誰が?)


「もちろん私が!!」


(それってただ運転したいだけじゃ?)


「えへっバレました?」


(Q3 改善して欲しいところはありますか?)


「うーん、車関係以外には特には」


(Q4 最後に何かありましたらお願いします)


「シオン様!! 何で地球から来るときにもっといい車に乗ってこなかったんですか!! 実用的よりも、もっと重視するところがあったでしょう! この車では峠を攻めることが出来ません!! 何故ハチロクに乗ってこなかったのか……」


(ここの峠はアスファルトではありませんから、すぐに事故ってしまいますよ。ではありがとうございました)



<フィーアス村 子供達の場合>


(Q1 今の生活はどうですか?)


「大好きー! 美味しいものがたくさん食べれるし、新しい遊びもたくさん増えたー!」


(あたらしい遊び?)


「うん、バドミントンでしょー? あやとりでしょー? それからおままごとでしょー? あとはーお医者さんごっこ-!!」


(お医者さんごっこ?)


「うん! じょーしゅさまがねー。お医者さまになってしんさつするのー!!)


(へぇ……城主様が?)


「うん! 他の遊びも全部城主様が教えてくれたんだー!」


(Q2 ここの城主をどう思いますか?)


「大好きー! だってね、じょーしゅさまは私の作ったパンケーキを美味しいって食べてくれたの!」


「わたしも-!! はちみつを分けたら、美味しいって頭撫でてくれたのー!!」


「あのね!! 私大きくなったらじょーしゅさまにおよめさんにしてもらうんだー」


「ナンちゃんズルいー! わたしもわたしも! 大人になったらじょーしゅさまとけっこんするんだー!」


(Q3 改善して欲しいところはありますか?)


「あのねあのね。他の村には私達と同じくらいの子供もいるんだって。一緒にあそんでみたいなー」


(Q4 最後に何かありましたらお願いします)


「じょーしゅさま。いっつもおしごとでたいへんだろうけど、たまには遊びにきてください」




<フィーアス村 とあるリャナンシーの場合>


(Q1 今の生活はどうですか?)


「とても快適ですわ。以前よりも健康になった気がしますの」


(健康になった?)


「ええ、きっと栄養のある食生活のお陰でしょう。元々魔族は食事が少なくても、魔素で何とかなるのですが、直接エネルギーを体に取り込むととても元気になりますのよ」


(Q2 ここの城主をどう思いますか?)


「とても良い方と思いますわ。先代のシエラ様には、私達を助けていただいた恩がありましたが、ここではあまり手助けはしてくださいませんでしたの。今回の城主様は、直接手は下さりませんが、暇なときはよく顔をお出しになっては皆さんに声を掛けてくださいますの。とても励みになりますわ」


(他の方はどうですか?)


「ヒカリ様にはもう感謝しかありませんわ。私達の中ではあの方は女神とお呼びしてますの。サクラ様もよくお出でになって手伝ってくださいますわ。本当に気さくな方で、偶に偉い方だと感じないときがございますわ」


(Q3 改善して欲しいところはありますか?)


「特にはごさいませんわ。……しいて挙げるなら嗜好品を……化粧水やシャンプー、リンスにも、もっと力を入れていただきとう思いますわ」


(足らない?)


「汚れ落としの魔法もございますので、今のままでも生活には困りませんが、数日に一回ではなく、毎日利用したいと思うのは女として当然ではありませんか? ……それに、先日のようにシオン様に覗れても平気なように、常に綺麗にしないと……。そう思いますわよね?」


(覗かれたのですか?)


「温泉に入ろうされた際に、間違えたとか言って一緒に入ろうとしてましたわよ)


(事実確認をいたします)


「私はいつでも待ってますわよとお伝え下さい。あと、シャンプーの生産が追いつかないようでしたら、村総出で頑張りますわよ」


(いえ、畑を優先してください)


「勿論ですわ」


(Q4 最後に何かありましたらお願いします)


「これからもこの村をよろしくお願いしますわ」



<ツヴァイス村 ドルクの場合>


(Q1 今の生活はどうですか?)


「ようやく家の建築が落ち着いてきた。これでようやく、やりたいことに着手できる」


(やりたいこと?)


「おうよ! 一番の目標は電気の導入だな。今は魔力結晶や魔法結晶で誤魔化しているが、電気も加わればさらに生活が豊かになるだろう」


(本職は鍛冶職人では?)


「そうだがよ。今は武器よりも生活に役立つものが作りてぇ。で、電気があったら尚のこと便利だろう? 回り道かもしれんが、最短ルートでもあると思ってる」


(Q2 ここの城主をどう思いますか?)


「シオンの旦那か。権力者ってやつは文句ばっかりだが、旦那は俺達の仕事に協力的だから問題ない」


(Q3 改善して欲しいところはありますか?)


「材料がよ……足りねぇんだ。買い出しには行ってもらってるが圧倒的に足りねぇ。色々と無理なのは分かってるが商人と取引がしてぇな」


(要望をとして提出します)


(Q4 最後に何かありましたらお願いします)


「まだ何も手つかずだが、構想はある。だから気長に待ってくれや」



<ツヴァイス村 エイミーの場合>


(Q1 今の生活はどうですか?)


「まるで夢のようです。ここには文句ばかり言う上官はいないし、エロい目で見てくる上官はいないし押し倒そうとする上官はいないし」


(上官がいないこと以外は?)


「ああ、すいません。そうですね。働いた分だけ食事にありつける。町並みは清潔でキレイ。母も元気になりましたしいうことありません」


(Q2 ここの城主をどう思いますか?)


「シオンさんですか。いい人ですよね。私のような人にも気さくで優しくて……私が今ここにいるのは全部シオンさんのお陰です」


(……好き?)


「そっそそそそそんな……すすすすす好きとかそんじゃがっ」


(……噛みました?)


ひた()いらいれす(痛いです)。ひりひりひまふ(します)


(動揺しすぎです)


「んく、ぷはー! ポーション美味しいです。ありがとうございました」


(どういたしまして。で、好きなの?)


「……正直なところ分かりません。ただの憧れかもしれませんし、優しくされて舞い上がってるだけかもしれません。それに最初のインパクトが強すぎて……別にシオンさんが悪いわけではないですけど、未だにあの戦闘のことが夢に出て恐怖で目が覚めることがあります」


(大丈夫? 薬いる?)


「いえ、悪夢なのは確かですが、あの時の気持ちを忘れないためにも、無理矢理押さえつけたくないんです」


(……強いね)


「ふふ、どうでしょうか? ただの小心者ですよきっと」


(Q3 改善して欲しいところはありますか?)


「子供たちの寺子屋? をフィーアスとツヴァイス合同にできないですか? 偏見が少ない子供のうちに多種族とのふれ合いを教えていきたいです」


(要望として提出します)


(Q4 最後に何かありましたらお願いします)


「無理にとは言いませんが、リーダー……ヴォイスさんやアルフレドさん達も助けてはもらえないでしょうか? きっと彼らなら分かっていただけると思うんですけど」


(……一応伝えてみます)


「あと……このアンケートってシオンさん見ませんよね?」


(…………)


「えっ!? いやあああ! ちょっとおお!! カット! せめてさっきの部分だけでもカットしてえええ!!」



<ツヴァイス村 セラの場合>


(Q1 今の生活はどうですか?)


「ああ、快適だ。飯は冒険者時代に拠点にしていた王都の宿屋よりも美味いし、町を守るって大任も任されてるしな」


(町は大丈夫そう?)


「特に問題は起こってないな。普通ここまで多くなったら、仕事をサボったり、喧嘩したり文句ばっか言うやつがいるんだが……元村人だから苦労を知ってるってのが大きいんだろうな」


(人間関係も良好?)


「良好すぎるくらいだ。ここじゃ競争が少なすぎるから町の発展はするだろうが、個々の伸びしろがないかもしれない」


(何か競争できるものを見つける?)


「何でもいいさ。野菜の大きさコンテストでも、焼き物コンテストでも、料理大会でもな。娯楽にもなるし、ちょうどいいと思うがね」


「要望として提出します)


(Q2 ここの城主をどう思いますか?)


「シオンさんか? ここに誘ってくれた時に話しはしたが、それっきりだから、正直あまり知らないな。一緒に旅したトオルさんや姉御ならよく知ってるんだが……」


(姉御?)


「ああ、サクラの姉御だ。って、本人に言うと怒られるけどな。平原に狩りに一緒に行ったり、修行をつけてくれたりと色々とお世話になってるよ」


(修行?)


「まだ全然大したことないけどな。姉御が『この町を守るのは貴方達よ-!』って俺やイオンズ、リャンファンとグリンさん達を一から鍛えてくれてる」


(厳しい?)


「厳しいなんてもんじゃない。まさに地獄だ。でも、少しずつ強くなってるのが分かるから何も言わないし、感謝してる」


(……惚れた?)


「ばっか、俺達の中で姉御に惚れねー奴は男じゃねーよ。まぁ手を出すなんて命知らずもいないがな」


(どこに惚れる?)


「全てだろ? まぁ顔は……メイドに美人が多いんで、見劣りするけど、一応整った顔はしてる? 体付きも……まぁ他の人と比べると足りないところは多いが、多分悪くはなさそう? そして何よりあの性格。何が起きても動じない鋼の精神力と、男よりも男気あふれる行動力。あれで女性ってんだから驚きだ」


(……褒めてる?)


「ったりめーよ! 姉御の良さが伝わんなかったか? 他にも言おうか?」


(結構です)


(Q3 改善して欲しいところはありますか?)


「改善ってか、まだ発展途中だから仕方ねーが、仕事を増やしてほしい。現状男の仕事は農業と焼き物くらいだ。料理や商売、後は冒険者風に何でも職みたいなのが欲しい。その為には金銭のやり取りから開始しないと駄目だからまだ先だろうが……」


(将来的にはそうなると思います。もうしばらくお待ち下さい)


(Q4 最後に何かありましたらお願いします)


「これはお願いだが、酒の提供をもう少しお願いしたい。現状酒はゴミ処理当番に支給されるだろう? それだと月に二回位しか当番がやってこないから、もう少し増やして欲しい」


(要望として提出します)





-------------------------------------------------------------


「なんだこれは?」


 なんかアンケートと評したビデオレターを見せられた。


「何って見たままですよ。日頃から皆様がどんなことを考えているか聞いてみました」


「結構いつも面談とかしてたと思うけど」


「それは新しく来た村人たちとでしょう。ですので今回は城のメイドやシオン様と直接面識のある者に話を聞きました」


「これって誰が聞いたんだ? ルーナ?」


「ゲンさんに頼んで、昔ここにいたシルキーになってもらい、新人メイドの初仕事の振りをしてお願いしてみました」


 ……なにやってんだ?


「ねぇ女神だって……恥ずかしいよ」

「あの子達……姉御って言うなってあれほど……ってか男よりも男らしいってどう言うことよ! それに確かに私より美人でグラマーな人は多いわよ! でも比べなくてもいいじゃない! あれ絶対褒めてないわよね!!」

「皆は色々言われていいじゃないか。僕とか殆ど空気だったよ」


 ヒカリはテレっテレして、姉さんは怒ってる。そしてトオルが凹んでる。もう収集つかないぞ。

 とりあえず三人は無視しよう。


「で、これを参考に改善案を出せばいいのか?」


「改善案はわたくしの方で致しますので、シオン様は最終確認だけお願いします」


「ん? じゃあ俺がこれを見る必要はなかったんじゃないのか?」


 いや、見たくなかった訳じゃないけど…エイミーとか可哀想だろ。質問の字幕を出す編集をするくらいなら、せめてカットしてやれよ。


「これはシオン様に生の声を直接見ていただきたかったのと……一部問いただしたいことがございしたので……」


 ん? なにやら雲行きが怪しくなってきたぞ?


「シオン? あなた深夜に忍び込んで一人でアサリの酒蒸しやらたこ焼きを食べたんですってぇ?」


 背後から姉さんが忍び寄る。


「シオン君って温泉とか覗いちゃう人だったんだ」


 ヒカリから失望のまなざしが注がれる。


「シオン様? 子供達と遊ぶのは問題ございませんが、お医者さんごっことはどういった遊びでしょうか? どうやらお嫁さんにする約束もしているみたいですし、ちゃんと説明していただきませんと……」


 ルーナが俺を蔑んだ目で睨んでくる。


「えっ? いや、ちょっと待って!? それ殆ど誤解だから!」


 正直、食べ物以外は濡れ衣だ。

 温泉は転移は女湯の入口付近に設定されてるから、たまたま女湯の近くにいただけだし、お医者さんごっこは怪我をした子供を治しただけだ。

 まぁ食べ物は食べたけど……結構昔の話……でもないな。今でもやってるわ。


 とりあえず……怒ってる女性に対して言い訳は無理だったとだけ言っておく。


 あと、しばらくの間エイミーが俺を見ると逃げ出したり、セラ達が姉さんのしごきが酷くなったと嘆いたり、子供達の間で誰が俺のお嫁さんになるか問い詰められたりと、二次被害が多かったのも付け足しておく。


 なお、ルーナによる改善案は現在進行形で継続中だ。きっと今よりもよくはなるだろう。

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