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ロストカラーズ  作者: あすか
第二章 魔王城防衛
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日常編 メイド達の日常

今回から日常編になります。

今回はシルキーメイド隊の紹介。

<メイド長のお仕事>


 ルーナの朝は誰よりも早い。

 午前三時起床。そして簡単に身だしなみを整えると部屋を出る。


 最初に向かうのは通信室だ。通信隊が毎日交代で当直勤務を行っている。


「おはようございます。ルーナ様」

「おはようございます。何か報告はありますか?」

「いえ、特にはございません」

「畏まりました。大変でしょうが、引き続きお願いします」


 今までに何か問題があった試しがない。それでもルーナは毎日顔を出す。



 次に向かう場所は家畜小屋だ。


「おはようございます。ルーナ様」

「おはようございます。相変わらず早いですね」

「いえ、この子達のためでしたら多少は……それに交代制ですから。五日に一度くらいなら何ともありません。それよりもルーナ様こそ毎日朝早くから大変ではありませんか?」

「それがわたくしの仕事ですから。それでは引き続き頑張ってください」


 城の家畜の世話は第一メイド隊の仕事だ。それをヒカリが手伝っている。


 その次は調理場だ。ここでも交代で料理隊が朝食の準備をする。


「おはようございます。朝食の準備は大丈夫でしょうか?」

「ルーナ様、おはようございます。はい、問題なく準備できています」

「そうですか。ならいつもの時間に食堂を開けるようにお願いします」

「畏まりました」


 各部署の朝の活動が確認出来たら、自室へ戻り、朝食の時間までしばしの休憩。

 読書をする時もあれば、一日のスケジュールを考えることもある。


 朝食後は各部隊の隊長、もしくは代わりの者が集まり本日の業務のミーティング。

 各部署への指示がルーナの仕事だ。

 大体ニ十分くらいのミーティングが終了すると、次は城主であるシオンの元へ向かう。


「シオン様、おはようございます」

「おはようルーナ。今日はどんな感じだ?」


 ここでは先ほどのミーティングでシオンに関係のある事を説明する。

 その上で、シオンの今日の予定を確認する。


「では、いつものように午前中は魔法の修行。午後からは各村の視察でよろしいでしょうか?」

「ああ、午前中の修行は模擬戦形式で。午後の視察は今日はシャルティエでいいか?」

「ええ、本日はシャルティエが担当いたします。わたくしは城の方へおりますので、何かございましたら連絡ください」


 シオン一人を視察に行かせない。必ず秘書として、シャルティエかルーナが交代で付き従っているのだ。基本はルーナだが、三日に一回はシャルティエと交代している。


 基本は毎日午前中の修行が終わり、午後になると視察の付き添い。

 シオンの付き添いがない日はヒカリかサクラと共に行動。

 それすらない場合はもしくは書類整理だ。今日は偶々ヒカリもサクラもいないため書類整理を行う。


 申請書の管理などはルーナの役目だ。必要に応じてシオンへ報告し許可をもらう。

 人が増えてくると、それだけ問題も発生し、各部署から要望が増えてくる。

 集中していると時間がすぐに過ぎる。書類の確認が終わるころにはすでに夕方になっている。


 この時間になると、各部署から今日の報告が上がってくる。

 どの部署も基本的には問題ない。偶に第二から魔物の報告があったり、料理隊から食材の報告があるくらいだ。


 メイド達の報告の後はシオンへの報告だ。今日は視察に同行しなかったため、シオンからの報告も伺う。

 夕食はシオンへの報告が終わった後だ。一緒に食べることもあれば、先に食べることもある。

 メイドとしては主人より先に食べるのはご法度なのだが、シオンから時間があるときに食べろ、可能なら皆で食べたほうが美味しいからメイドも関係なく全員で出来るだけ同じ時間に食べろと言われている。

 その為、仕事が終わってる人は出来るだけ同じ時間に食べるようにしている。


 夕食後は就寝まで自由時間になる。昼に書類整理が出来なかった日は、ここで書類の整理を行う。量が多い場合は深夜までかかることもある。


 今日は昼に書類仕事が終わったので、夜にゆっくりすることが出来る。

 月に二、三回しかないゆっくりした時間だ。シオンやメイド達はもう少し休めと言うが、シエラ時代は今よりももっと忙しかった。あの頃に比べると今は十分に休めてる。

 それに今は毎日が充実している。他のメイド達も生き生きとしている。休むのが勿体ないと思うくらいだ。

 だけど、こんな日常は長くは続かないだろう。戦いも始まるだろう。

 この短い幸せの期間を噛み締めつつ早めに休むことにした。



<第一メイド隊のお仕事>


 第一メイド隊の仕事は城内の維持だ。

 城内の清掃から家畜の世話、迷宮部屋の罠の確認を行う。

 また、滅多にないことだが客が来た場合の接客も第一の仕事だ。


「本日も問題ないようですわね」


 第一メイド隊の隊長――シェルファニールは日誌を確認する。

 第一メイド隊には現在八名が所属している。全員がシルキーだ。

 隊長であるシェルファニール。サポートのシャロン。

 その他六名で回している。その中で二名のコンビを組み計四組のチームを作る。

 早番の一組が家畜小屋の世話、朝食後は迷宮部屋の清掃を行う。

 残りの二組は居住区の清掃を行う。人がいない迷宮部屋よりも毎日使う居住区の方が清掃が大変だ。

 残り一組は休日にしている。休日→居住区→居住区→早番→休日のローテーションだ。


 他の部署に比べると日常は毎日の繰り返しで落ち着いている。第一が一番活躍するのは客が来た時だ。客への対応はほぼ全て第一が対応することになる。今はまだ客が来たことはないが、今の戦いが終わったら外交も行う可能性があるという。それからが第一の本領発揮となるだろう。


「その時のために、今はしっかりと綺麗にしないといけませんわ」


 城内だけでない。お客様と直接対応をする第一メイド隊として、美容に気をつけないといけない。全員が肌の手入れを欠かさないのであった。



<第二メイド隊のお仕事>


「シャルティエ隊長! 今日はどうすればいいですか?」


 第二メイドの副隊長――シャラが隊長であるシャルティエに確認する。


「私は今日はシオン様と視察なので、ツヴァイスの方はよろしいです。フィーアスの方を任せてもいいですか?」


「畏まりました」


 第二メイド隊の仕事は城外の対応だ。主な役割はフィーアス村とツヴァイス村への対応だ。


 その為、第二メイド隊にはシルキー以外にも、フィーアス村からリャナンシーが一緒に働いている。

 隊長であるシャルティエ、副隊長のシャラ、他にシルキーが三名、リャナンシーが三名の計八名が第二メイド隊だ。


 シャルティエが三日に一度シオンに付き従うため、その日はツヴァイスでの活動は行わず、フィーアスで仕事を行う。

 村人間で問題はないか? 病気や怪我はしてないか? 収穫量や生活品の在庫確認も行う。

 あとフィーアスにできた温泉の清掃も大事な仕事だ。


 他には毎日ではないが、アインス砂漠やドライ海峡など別の転移先の確認も必要な仕事だ。転移の動作確認や、魔物が大量発生していないか。いざというときに転移が使えない……なんてことがないように、確認しなくてはならない。


 最近はツヴァイスやフィーアスの子供に勉強を教えることがある。勉強を教えるのはシャラだ。

 毎日ではない。それにツヴァイスとフィーアスに交互に教えている。


 他の部署に比べて、外での作業が多い上、肝心のシャルティエが、若干頼りないため、いつもシャラの気苦労が絶えない。


<メイド料理隊のお仕事>


 メイド料理隊は数あるメイド隊の中で一番過酷と言われている。

 シクトリーナ城に住んでいるシオン達やメイド達の毎日の食事の準備、保管している食材の確認、フィーアスやツヴァイスへ料理の指導。それに加え、自分たちで狩りをして食材を確保することもある。


 その分、他の部署よりも人数が多く、十名のシルキーメイドと五名のリャナンシーメイド。総勢十五名いる。

 朝は四時前から朝食の準備を開始する。全員が朝食を終えたら、休む間もなくすぐに昼食の準備に入る。

 昼食が終わったら、村の女性に料理教室を開いたり、夕食の準備や新しい料理の研究にも勤しんでいる。


「シオン様! また勝手に調理場を使われましたね!」


 隊長のアレーナが振り下ろしたハリセンがシオンの頭を叩く。小気味のいい音が食堂に響き渡る。


「ごめんって。でもちゃんと掃除して綺麗にしてただろ?」


「そういう問題ではないです! ちゃんと事前に申請してくださいって言ってるんです!」


 アレーナは城主のシオンに対して強気に出れる数少ないメイドだ。


 そしてその光景にいつもオロオロとしているのが副隊長であるモニカだ。いつ無礼だと言われてアレーナが罰を受けないか心配で仕方がない。

 きっとこれからもモニカも心配し続けることになるが、罰を受けることはなさそうだ。


<メイド遊撃隊のお仕事><メイド通信隊のお仕事>


 メイド遊撃隊には隊長はいない。各人が色々な場所で活動しているからだ。

 リンとセツナは赤の国へ、シグレとサクヤはヘンリーの国へ情報収集のために活動している。

 もう一人シルキーのメイド遊撃隊がいるが、いつでもサポートとして出られるようにと、一人は待機している。そしてリャナンシーの一人の六名が遊撃隊だ。リャナンシーが皆からの情報をまとめ、ルーナへと報告する伝令役になっている。そのためこのリャナンシーは通信隊と兼任している。


 メイド通信隊の仕事は、遊撃隊との連絡。

 それからシクトリーナ領土内の見張り及び結界の維持、城内にいるメイド達との連携よ、なくてはならない部署だ。

 そしてその中心となっているのが、キャメリアの魔法【千里眼】だ。

 【千里眼】は領土内のどこでも見ることが出来、それを映像として映し出すことが出来る。

 また、登録されている場所であれば同時に何か所でも映すことが出来る。しかし、キャメリア自身は一人しかいないため、画面を動かすことが出来るのは一か所だけ。残りはその場を映すことしかできない。差し当たって迷宮部屋には一部屋ごとに登録がされているため、全ての部屋は映すことが可能だ。


 そのキャメリアだが、通信隊の隊長ではない。隊長はエリーゼでキャメリアは副隊長だ。

 隊長まで任せてしまってはキャメリアの負担が多すぎる。

 本来なら副隊長の役職も外したほうがいいかもしれないが、会議には必ず参加するため、それなら副隊長に……という訳だ。


 エリーゼはメイドの中でも真面目な優等生って感じで、特に世話焼きで有名だ。シオンの無茶ぶりにも全力で答える。

 同じメイド隊のティティやシルビア、それからシオンもだが、影では委員長と呼んでいる。

 ティティとシルビアは、そんな委員長を困らせる賑やかな女子高生って感じだ。

 ティティは何時も元気で、新しいことには何でも挑戦したがる。それにエリーゼが無理やり付き合わされる。シルビアはティティに比べると大人しいが、自分の体形が気になるのかダイエットをしようと色々試そうとしてエリーゼを巻き込んでいる。シルビア自体はスレンダーで全く気にすることはないのだが……。


 その他に四人のシルキーが通信隊に所属している。いつ通信や侵入者が来るか分からないので、常に二十四時間体制で活動している。

 勤務時間の割には人数が少ないが、日中は遊撃隊や警備隊も手伝ってくれるため、そこまで人員は必要としない部署だ。

 有事の際には一番頼る部隊でもある。



<メイド研究隊のお仕事>


 数あるメイド部隊の中で一番謎に包まれている部署がこの研究隊だ。

 隊長の名前はキーナ、副隊長にリズがいる。

 他にはシルキーが三人とグレムリンが一人いる。


 主な活動は魔道具の研究だ。それから地球産の道具の改造も行っている。


 地球産の改造はグレムリンのグレイが一任している。機械が好きな彼女は、電気がなくても動くようにと電化製品を中心に研究している。

 車をガソリンなしで動かしたり、炊飯器やドライヤー、冷蔵庫など身近なものから、銃などの武器も改造している。また、トオルとよく一緒になって何かをしているようだ。ケータイなども彼女がいなかったら使えなかったと聞いている。


 他の研究隊は魔道具の研究だ。現在は魔力検査カードや翻訳飴が量産できないか研究している。

 魔力検査カードに関しては目途が立っているため、完成間近だという話だが、翻訳飴に関しては難航しているとのこと。やはりソータの魔法と言うことで特別な施しがされているようだ。


 キーナやリズ、他のシルキー達もそうだが、研究チームは一人で没頭していることが多い。

 また、本人たちはかなりの引きこもり体質だ。

 元々気弱な部分がある上に、更に超絶的に運が悪い。久しぶりに研究室から出たら、迷子になって泣いているところを発見されたこともあるらしい。運が悪いというか、方向音痴なだけの気もするが、本人たちは頑なに自分たちの運が悪い所為にしている。



<メイド補給隊のお仕事>


 メイド補給隊の仕事は城と各村の食料管理や備品管理、人の管理と様々な数字を取り扱っている。

 第一や第二、料理隊からは在庫報告を聞き、管理を行っている。

 足らなくなってきた在庫の量産を依頼、偶にトオルやセラ達に買い出しをお願いしたりする。


 隊長のリーネと副隊長のサラの二人。それからもう一人シルキーがいる。他には村からローレライ族が三人の計六人が所属している。


 リーネは守銭奴的なイメージが強いため、将来外交や商売するときは商人との交渉役に……とシオンは考えていた。



<メイド警備隊のお仕事>


 メイド警備隊は普段は仕事がない。城の警備に関しては通信隊がやっているし、第一と第二がいるから内にも外もやることがない。

 その為、普段は第一と第二、通信隊の仕事を手伝っている。


 警備隊が活躍するのは有事の時だ。敵が攻めてきた場合の捕虜の見張り、敵の死体の処理や戦利品の確保、来客時の身辺警護などだ。


 隊長はルミナ。メイド随一の脳筋と呼ばれている。

 趣味は車の運転。だが、車は許可なく乗ることが出来ないため、こそっとドルクに自動車を作ってくれと懇願しているらしい。

 副隊長のパメラはそんなルミナのことを呆れながらも見守っている。

 人数はシルキーだけの十人編成だ。今のところ十分だが、有事で足らない場合は第一第二が手伝いに入る。



<ルーナ視点>


 メイド長:ルーナ

 第一メイド隊:隊長シェルファニール・副隊長シャロン 他シルキー六名 計八名。

 第二メイド隊:隊長シャルティエ・副隊長シャラ 他シルキー三名、リャナンシー三名 計八名

 メイド料理隊:隊長アレーナ・副隊長モニカ 他シルキー八名 リャナンシー五名 計十五名

 メイド遊撃隊:リン、セツナ、シグレ、サクヤ 他シルキー一名 リャナンシー一名 計六名

 メイド通信隊:隊長エリーゼ・副隊長キャメリア ティティ、シルビア 他シルキー四名 計八名

 メイド研究隊:隊長キーナ・副隊長リズ 他シルキー三名 グレムリン一名 計六名

 メイド補給隊:隊長リーネ・副隊長サラ 他シルキー一名 ローレライ三名 計六名

 メイド警備隊:隊長ルミナ・副隊長パメラ 他シルキー八名 計十名


 わたくしは名簿を確認しながら嘆息します。


「やはり……もう少し人員を増やすべきでしょうか」


 今は問題ないでしょうが、住民が増えるとメイドの数が圧倒的に足りません。

 育てることを考えると、今から増やさないと必要な際に役に立ちませんからね。特に料理隊は急務かも知れません。


 それに……いつまでもわたくしがメイド長をするわけにもいかないでしょう。

 後任を育てる時が来るかもしれません。シェルファニールかシャルティエか……サクヤは能力的には問題ないのですが、遊撃隊として必要な存在です。

 アレーナやエリーゼも適任でしょうが、彼女らは断りそうです。


 シオン様はいずれ旅に出てしまうでしょう。

 わたくしはメイド長としてこの城を離れることが出来ません。

 ですが、もし後任が出来、わたくしに勇気があれば……その時はシオン様について行けるのでしょうか?

 ……いやですね。そんなことはあるはずがないのに。

 こんな夢みたいなことは考えずに、早く寝てしまいましょう。せっかく今日は夜が落ち着いているのですから。

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