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ロストカラーズ  作者: あすか
第七章 天魔戦争
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第265話 任命式をしよう

 ジョーカーズのキャラが濃すぎて、何とも言えない感じになったけど、今日はこれだけじゃない。


「じゃあ、新人の紹介も終わったし、任命式を始めようか」


 そう、任命式が今日のメインだ。


「まず、すでに決まっている名称。【四天王】からだな。四天王はティアマト、リュート、ラミリア。実は最後の一人をまだ悩んでいる」


「シオン様……何故その人選になったか、お聞きしてもよろしいでしょうか?」


 まぁ前は魔王の四人だったし、気になるよな。


「うん。その前に次の役職を言おうか。次は各島の管理者。通称キーパーだ。第一の島『アルファ島』のキーパーはトオル。第二の島『デルタ島』のキーパーがエキドナ。第三の島『ガンマ島』のキーパーがデューテ。第四の島『ファイ島』のキーパーがゼロ。最後に中央の島『イプシロン』のキーパーがルーナ。オマケで、竜宮城――海のキーパーがテティス。この六人は決定している。で、この六人は四天王から外したんだ」


 兼任よりは別の方がいいと思った。


「あの……第二竜宮城は妾の城なのですが……何故妾ではなく、テティスがキーパーなのでしょうか?」


「だって、ティアマトが自分で四天王を名乗ったじゃないか。だから、代わりにテティスがキーパーだ」


 俺達だけに名乗ったならともかく、映像付きで敵に四天王って言っちゃってるんだから、ティアマトだけは変えることができない。


「うぅ……こんなことなら四天王を名乗らなければ良かったです」


「まぁ四天王もキーパーも互いに優劣はないから気にするな。で、残ったメンバーで、四天王を考えると、実力的にリュートとラミリアが候補に挙がった」


「サクラ様は? キーパーを外せば、サクラ様が一番の実力者ではないですか?」


「姉さんは……姉さんには、シクトリーナに残ってもらうことにした。既に姉さんにも許可は取ってある」


「ええ、ルーナがいないシクトリーナを守るとしたら、私しかいないものね」


 姉さんは、この任命式には参加しているが、任命式が終わればシクトリーナへ帰還する。

 トオルの情報によると、ガブリエルが俺を疑っているって話だ。

 今回、全軍を率いてこちらに来るはずだから、可能性は低いかもしれないが、万が一に備えて、天使がシクトリーナの方に攻めてきてもいいように、あっちにも戦力を置いておかないといけない。

 実際に、エキドナのシンフォニアにはハーマインを含むエキドナ親衛隊が。夜魔国にはカミラが残っている。


「姉さん以外になると、実力的にはアイラが四天王になると思うんだ。でも、そうなると、ガンマに四天王が二人配備されちゃうから、ちょっと考えてた」


 アルファ島はトオルとゴーレム。

 デルタ島にはエキドナとラミリア。あと、スライムとウルフとグリフォン。

 ガンマ島はデューテとリュート。それからアイラ。

 ファイ島はゼロと新メンバーのジョーカーズ。


 もしアイラを四天王にしたら、バランスが崩れる。

 だから、バランスを考えると、アルファ島か、ファイ島。もしくはイプシロンだな。


 アルファ島はトオル以外はゴーレムしかいない。現在アルファ島にはトオルの部下として、イチカ、ニコ、ミユの三体がいる。三体はあの変態ゴーレム技師であるドノバンに愛想を尽かして、彼の元から家出してきた。ルーアンの時にもそうだったが、ドノバンは新しいメイドゴーレムのシホに夢中で三体は忘れられていたらしい。その為、トオルの元に来たらしいのだが……まぁ元々頼む気だったから丁度いいんだけど、本当随分と人間臭い行動だよな。

 ただ、こちらも一人だけ四天王って言われたら……違うよな。


 ファイ島は……カミラがいたら何も考える必要はなかったんだけどな。いないんだもん。ジョーカーズの誰かなら、実力的には丁度いいかもしれないけど、一体誰を選べばいいのだろうか。……クラウンはないな。


 イプシロンの常駐は、既にキーパーのルーナ以外なら、俺とラピスラズリ。それからメイドだけだ。

 ラピスラズリは二人で一人って感じだから、選択肢から外した。メイドは戦力じゃない。唯一の戦力はリンだけど、メイドの中でリンにだけ役職を増やすのは良くない。

 本当は俺って言いたいところだけど……多分全員から反対があるだろうしな。


「別に名称があってもなくても、配置は変わらないから良いと思いますが……」


 ルーナの言うことももっともだ。だけど……。


「それを言うなら、名称自体どうでも良いことになっちゃう。名称は天使側に向けての話になるから、均等にはしたいんだ」


「では、ゼロ様の部下の五名の内、どなたかにすれば宜しいのではありませんか?」


 やっぱりそうなるよな。


「そうだよな。じゃあジョーカーズで誰を四天王にすれば……」


 俺がそう言うと、五人の目が光った気がした。……ヤバい。この五人。仲間ってよりライバル同士の関係だ。それが一人だけ役職を手に入れるとなると……下手したら、この場で喧嘩に発展しそうだ。


「うん。やっぱり四天王はアイラにしよう。五人はジョーカーズ自体が役職ってことで」


 これが一番平和的解決に違いない。


 これで、一応トップに俺。四天王にティアマト、ラミリア、リュート、アイラ。キーパーにトオル、エキドナ、デューテ、ゼロ、ルーナ、テティス。以上十一名が幹部になる。


「シオンくんにお願いしていたのはそれだけじゃないよね? 名前付き天使の呼び名についてもお願いしてたけど……」


「ちゃんと分かってるって」


 全くトオルはせっかちだな。


「あまり凝った感じにはしたくなかったから、単純にネームドにした。なので今後は名前付き天使はネームド天使に統一する」


 あまり凝った感じにすると逆に分かりにくくなる。

 結局分かりやすいのが一番だ。

 今後は、ホムンクルスはそのままホムンクルス。

 聖教徒は……彼らが自分でエンジェルって言ってたので、エンジェル。

 聖教徒じゃない名前なしの天使は大天使。

 名前付き天使がネームド天使。

 それから七大天使と教皇。

 普段はまとめて天使と呼ぶ。これだけの区別が付けば十分だろう。

 今後はこれを基準に敵を区別することにした。


「じゃあ最後にキーパー達がドライ諸島に結界を張ったら終了だな」


 城塞都市の建物は完成したが、これで終わりではない。それぞれの島に設置した核にキーパーが魔力を注ぐことによって、結界が発動。本当の完成となる。


 アルファ島はトオルの転移結界。

 デルタ島はエキドナの三色を利用した多重結界。

 ガンマ島は【トールの遺跡(ダンジョン)】と同じ、電磁波によるバフデバフ結界。

 ファイ島は俺も赤の国で体験した、ゼロによる瘴気の結界。


 イプシロンはルーナによる特殊結界。イプシロンから、四つの島へ向けて、魔力の送魔線を繋げる。俺は知らなかったが、銀は魔力の伝導率がかなり高いらしい。その特性を使って、各島から魔力を得、防御結界を張る。イプシロンと四つ分の魔力が合わさった防御結界をイプシロンに張る。これにより、遠距離攻撃は完全に無効化するし、イプシロンに入ることも出来ない。

 結界を破る手段はただ一つ。各島の核を外すこと。

 ただし、それだと島ごと破壊……なんて真似をされかねないので、四つの島を同時に攻略し、同時に核を破壊すること。同時でなく一つずつ攻略や、遠距離からの島ごと破壊では結界は破れない……という設定だ。天使にそのルールを説明して、こちらの土俵で戦ってもらうつもりだ。


 あと竜宮城からも結界が発動している。各島を【海のカーテン】が包み込み、遠距離攻撃を防いでくれる。


 そして、最期に全ての島を包み込むように、俺がアズラエルの魔法を無効化する結界を張る。

 この結界内では、アズラエルの魔法を無効化する。これで天使がアズラエルを投入しても、結界内なら仲間達はアズラエルに怯えることはない。


 俺はイプシロンの最上階へやって来た。

 ここで他の島が結界を張るのを見届ける。まずはアルファ島。転移の結界だからだろうか、アルファ島に亀裂が走ったように歪んで見えた。が、それも一瞬のこと。すぐに普通に戻る。今ので発動したのか?

 同様にデルタやガンマ、ファイでも似たように一瞬だけ属性の色が光り、島を包み込むと消えていく。最後にイプシロンから各島へ虹のような、銀色のアーチが各島を繋いでいく。ああやって繋がるのか。


『シオン様。全ての島の結界が張り終わりました』


 最上階に設置されていたスピーカーから声が聞こえてきた。よし、じゃあ俺の番か。

 俺がアズラエル対策の魔法を核に流し込むと、塔の頂点から紫色の光が四つの島を包み込むように拡がる。光は海に着水すると消えてなくなる。


「成功……したのか?」


 特に何か変化があるとは感じない。これが実感できるときは、アズラエルが現れたときだけだろう。


《シオンちゃん。色々あったけど、ちゃんと起動して良かったの》


「そうだな。しかし……アズラエルの結界が間に合って本当に良かった」


 別の魔法の研究をしたり、城に居候していたワガママ女王の所為で、中々着手出来なかったもんな。あの女王、年末ギリギリまで城にいやがった。というか、正月までここで過ごそうとしたから無理矢理追い返した。ようやく着手したと思ったら、次々と厄介な問題が発生するし……。


《本当に大変だったの……》


 スーラは感慨深げに呟く。今回のスーラは本当に頑張ったもんな。

 きっとスーラに目があれば、きっと遠い目をしているだろう。


「一番苦労したのが【魔力の共鳴】での伝達だったけどな」


《あやうく年を越すかと思ったの》


「本当にな……」


 人間、必死にやれば、何とかなるもんだな。俺も、当時を思い返してみた。

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