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ロストカラーズ  作者: あすか
第六章 青に忍び寄る白
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第257話 準備完了しよう

 ラピスラズリに幻影魔法のお願いをした後、次に偵察隊の見張りをお願いすべく、海魔王がいる第二竜宮城へとやって来た。


 第二竜宮城はドライ海峡の四の島と中央の島の海中に建設されていた。錬金術師もいないのに、どうやってこんな短期間で……とも思ったが、ティアマトの配下にも似たようなことが出来る魔族がいたらしい。

 それに、ドルクも少し手伝ったそうだ。ドルクには本当に休む暇なく頑張ってもらってるな。城塞都市建設が終わったら、ゆっくり休んでもらおう。


 俺は第一も第二も転移で入ったから、外観は分からないが、そっくりに造られているとのこと。


 トオルが側にいるので、俺も難なく竜宮城内へと通された。そこにはティアマトとテティス。それからゼロがいた。

 俺達が説明をすると、二人は快く引き受けてくれた。


「シオン様は姉さまの恩人です。喜んで協力させていただきますわ。ですよね? 姉さま」

「もちろんです。皆様にはお世話になりましたし、妾としても天使を捨ておくことは出来ません」


「ありがとう助かるよ」


 天使の偵察隊は数日後の出発予定だ。

 リカに頼めば、飛行船の出発状況は分かるはずだ。やっぱり、向こうに協力者がいると助かるな。


 飛行船が出発したら、まっすぐに西に向かうはずだ。カラーズ大陸から海に出てからティアマト達には見張りをしてもらう。

 そこで逐一飛行船の現在位置や、敵の情報を仕入れてもらう。

 敵がドライに到着する半日前の地点までやって来たら、見張りを止めてもらって構わない。

 ラピスラズリには城塞都市の幻を出してもらい、俺はホリンに乗って迎撃の準備に入る。

 今回は飛行船との空中戦になるので、戦闘参加者は俺だけだ。

 エキドナ達はグリフォンやヒポグリフに乗って戦うことが出来るのだが、エキドナ達の戦力、本体が来るまで隠しておきたい。

 せっかく、現時点までシクトリーナや魔王の関わりはバレてないんだ。本体前にバレてしまうと、シンフォニアやシクトリーナが攻められかねない。

 祖のため、俺もバレないように変装するつもりだ。


「シオン。俺も奴らには憤りを感じている。俺とカミラ、それから夜魔族も全面的に協力しよう」


「ゼロ……助かる」


 ゼロは空も飛べるし、敵に面は割れてないはずだ。戦力としてはこれほど頼りになる奴はいない。

 それに夜魔族の協力も助かる。

 単純に戦闘力よりも、開発面で人員が欲しい。


「ねえシオンくん。じゃあ第四の島を、ゼロくん達、夜魔族の皆に管理してもらうのはどうかな?」


「……そう……だな」


 トオルの言う通り、夜魔族もいるなら島を一つ管理してもらった方が助かる。だが……俺はふと頭の中にルーナの顔が浮かんだ。ルーナは躊躇していて、一ヶ月経った今でも、まだ核の管理人を名乗っていない。

 正直、ルーナにやって欲しい気持ちはある。だけど、状況から考えるとゼロの方が良いのも分かるし、いつまでも待つわけにはいかない。


「まぁその話は偵察隊を追い返して、三の島が完成した後にしようか」


 俺の心情を察知したのか、トオルは結論を先延ばしにしてくれた。……第四の島の開発前に結論を出さないとな。



 ――――


「シオン様。見張りとは別で、わたくしと姉さまのお願いを聞いてくださいませんか?」


「お願い?」


 テティスが改まって俺へと尋ねる。……お願いって何だろう?


「はい……。先ほど、シオン様はご自身が敵を迎撃すると仰ってましたが……」


「ああ、変装して正体がバレないようにするけどな」


「その役目。妾にやらせてもらえぬだろうか?」


 テティスに代わりティアマトが答えた。


「えっ!? ティアマトが迎撃するってこと?」


「その通りです。敵はテティスが治めるこの海を荒らしました。それは到底許せるものではありません。その報いとして、迎撃を妾とテティスに任せてくれませんか?」


 二人は元海魔王と現海魔王だ。ティアマトの戦闘力は暴走時に確認しているから、負けるとは思っていない。テティスは……のほほんとして、強くはなさそうに見えるが、それでも魔王だ。弱いわけではないだろう。


「だけど……敵は空を飛んでくるんだぞ? 大丈夫なのか?」


 普通の船ならともかく、今回は飛行船だ。海の中で生活している二人がどうやって上空の敵を倒すんだ?


「その心配は必要ありません」


 どうやら上空への対策はちゃんとしているようだ。なら……任せてもいいかもしれない。

 二人は顔バレしてないから、変装する必要もない。

 それに……二人の気持ちは痛いほど分かる。俺だって、シクトリーナを同じように荒らさせたら、自分の手で……と思うに決まっている。危険を感じたら、助けに入ればいいんだし、ここは二人の気持ちを尊重しよう。


「分かったよ。ただし、危険だと感じたら勝手に介入するからな」


「我らの願いを聞き入れてくださり、感謝いたします」


「感謝だなんて大げさな。俺の方こそ手伝ってくれて感謝してるんだ」


 これでこちらの戦力は現役魔王がエキドナ、カミラ、テティスの三人。元魔王がティアマトとゼロの二人。他にも俺とトオル、英霊トールだっている。うん、負ける気がしないな。



 ――――


『ヒミカと話したわ。貴方の提案を受けることにしたわ』


 その日の夜、リカから連絡があった。


「そうか。ならカプセルは……」


『もう飲んだわ。特に体に変化はないけどね』


「当たり前だ、契約を守っている限り、何の変化も起こらないさ」


 まぁそもそもまだ発動もしてないけどな。発動しても何も起こらないけど……。


『それで? この後どうすればいいの?』


「とりあえず二人には偵察隊の出発まではそっちにいてもらう。出発前にいなくなると、下手したら偵察隊が来なくなる可能性もあるからな」


 というか、出発を教えてくれないと困る。


『分かったわ。じゃあ偵察隊が出発したら連絡すればいいのね?』


「ああ、その時に転移の魔法結晶を、カプセルを送った時とと同じ方法で渡す。それに魔力を流すと俺達の場所へと転移する」


『あの町に戻るって訳ね』


「いや、町じゃない。二人が来る場所は、偵察隊の目的地――ファントムのアジトだ。俺達はドライと呼んでいる」


『それで私達をアジトに閉じ込めるつもりなの?』


「お前は何でそんなに疑り深いんだ?」


『全てを疑ってかからないと、生きていられないじゃない』


「そうかもしれないけど……まぁ確かに自由にはさせられないのは事実だけど、アジトなのは俺達がいるからだ。他意はないぞ」


『まぁいいわ。ここにいるよりは遥かに生存確率は高そうだしね』


「そういうこと。それに偵察隊を撃退したら、町にも戻ると思うし、希望するなら解放も考える」


『力を封じられて解放されても困るだけよ。まっ、しばらくは厄介になるわ』


 しばらくって言うけど、きっと二人もシクトリーナを見たら、デューテのように居座るような気がする。まぁ出て行かれても、気になるから別にいいけどね。

 俺はリカともう少しだけ打ち合わせをして通話を切った。



 ――――


「後は塔の準備をするだけだな」


 リカとヒミカの件、偵察隊の見張り、城塞都市の幻。この三つは問題ない。

 後は塔の建設だけだ。


「なぁトオル。造るのはハリボテなんだよな?」


 ハリボテなだけなら、ドルクにお願いすればすぐに完成すると思うんだが……。しかし、準備した素材は明らかにハリボテとは思えないほどの量だ。中央の島は面積が狭いので、素材を置くだけで、溢れんばかりになっている。


「いやぁ。城塞都市の建設は後回しで良くなったからね。今から全員で突貫すれば、ハリボテじゃなくちゃんとした塔が完成するんじゃないかと思ってね」


 コイツ……今からちゃんとした塔を造る気なのか。


「それで……何故わたくしも呼ばれているのでしょうか?」


 そう、何故かルーナもトオルに呼ばれていた。


「だって、塔の管理者はルーナくんなんだから、しっかりと見届けてもらわないとね」


「「はっ?」」


 俺とルーナは同時に驚きの声を上げる。……何を言い始めたんだトオルは?


「ほら、四の島をゼロくんが管理するんだったら、ルーナくんが暇になるじゃないか。なら中央の島をやって貰おうと考えたんだけど」


 あっトオルもルーナのこと考えていたのか。……塔の管理者か……。


「いいじゃん。ルーナなら、しっかりやってくれるだろうし」


「し、しかし……中央の塔はシオン様が管理すべきなのでは?」


「シオンくんには別に大事な仕事があるからね。塔の管理までは無理かな」


「えっ? 俺に大事な仕事? 聞いてないぞ?」


 一体トオルは俺に何をやらせる気だ?


「シオンくんには、中央と四つの島全ての管理をお願いすることになるんだよ」


「……はい?」

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