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ロストカラーズ  作者: あすか
第六章 青に忍び寄る白
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第191話 解散しよう

 船のゲートを使ってやって来たのはリン、ラミリア、ミサキ、レンの四人。

 恐らくトオルのメールを確認してルーナが送り込んだのだろう。……トオルは本当に余計なことをしてくれたよな。


「ではシオン様。最初から詳しく聞かせてくださいっス」


 船を片付けた後で、早速リンが俺を問いただす。


 俺はルーナに課せられた毎日連絡ってノルマを全くしていない。

 初日はまぁ移動して町に入っただけ。昨日はトオルが一旦帰って問題ないって報告してるから必要ないと思ったからだ。

 まぁ本当は面倒なだけだったんだけど。


 とにかく四人はまだ何一つ知らない状態のはずだ。


「シ、シオン君。そちらの女性方は、どちらからいらしたんだい?」


 そしてホーキング側も、さっきまで船にいなかった四人を見て驚愕の表情を浮かべている。そりゃあどっから出てくるんだって、普通は驚くよな。


「えっと、こっちの二人がリンとラミリア。【月虹戦舞】のパーティーメンバーです。で、残りの二人がミサキとレン。バルデス商会の社員です」


 恐らく聞きたいことは、名前ではないとは思うのだが……。まぁ説明のしようがないもんね。


「シオン様。私らにもあの方々を紹介してほしいっス」


「えっ? ああ、そうだよな。こちらはホーキングさん。この町の領主様だ。それからご友人のレムオンさん。奥の二人が付き人さんね。で、こちらがガロンさん親子。料理店を営んでいて、俺が今お世話になってる人だ。娘さんのカタリナは冒険者ギルドの受付もしている」


 俺は一気に紹介した。レムオンに関しては大っぴらに話しては駄目かなと思って誤魔化したけど……。


「ルーナ様からはただの旅行と聞いてるっスけど、何でこの町の領主様とクルージングしてるんスかねぇ?」


「えっ……あっ、そうだ! ノーマンが今後のために挨拶したいって言ったからだ」


「そうだ。って言ってる時点でメッチャ誤魔化してるっスね」


「い、いやそんなこと……まぁ詳しい話は後でにして、とりあえず帰ろうか」


 何せ今はメチャクチャ目立ってる。ただでさえ今はでかい船で帰ってきたばかり。降りてきたのはこの町の領主。騒ぎを嗅ぎ付けて、いつマフィアが来るか分からない。だから今は自己紹介だけすれば十分だろう。


「お、おいおい、帰るって……まさかこの女性陣もウチに……? 流石にこの人数を……いや、女性をウチのようなボロ家に泊めることは出来ないぞ」


 移動しようとしたらガロンさんが慌てて待ったをかける。

 ちゃんとした料理店だったから、ボロって訳じゃなかったけど?

 まぁ女性を泊めるとなると奥さんの目とか気になるんだろうな。


「……シオン様。なんで、宿に泊まらず、この方のお世話になってるんスかねぇ?」


「え……その……まぁ……実は昨日、このガロンさんと仲良くなってね。泊めてもらってたんだ。ははは……」


 なんか今回のリンは随分と棘のある言い方をしている気がする。置いて行ったのが嫌だったのか、ルーナに何か言われてきたのか……何なんだろうな。


「ふーん。本当っスかねぇ?」


 俺の言い訳は間違ってはない。間違ってはないが、リンは全く信じてなさそうだ。


「まぁそれは良いっス。で、ルーナ様からは、どうやらシオン様がやらかしたって聞いてきたんスけど……今度は何をしたんスか?」


「いや……やらかしたのはゼロなんだけどさ」


「そういえばゼロ様とトオル様がいないっスね。どこに行ったんスか?」


 そこでようやく思い出したように辺りを見渡すリン。


「まぁその辺も落ち着いてから話すよ。とりあえず本当にこれ以上ここにいたくないんだ。だから今日は解散……」


 と、解散しようとしたけど、ホーキング達は館に帰るよな。となると、何があるか分からないから送った方がいいよな。


「えっと……リン。すまないが、ノーマンとホーキングさん達を館まで送ってくれ。一応領主だから護衛があった方が良いと思うんだ。もし面倒事が起こったら、ノーマンの指示通りにしてくれ。送り終わったら、ガロンさんの店に集合な」


「一応って……僕はちゃんと領主なんだけど?」


「はぁ……どうやら面倒事が起こる心当たりがあるんスね。……まぁ了解っス。集合場所はノーマン様が知ってるんスよね?」


「ああ、ノーマンはどちらも知ってるから大丈夫だ。あっ念のためスーラの分身を持っていけ」


 戦えるのがリンしかいないからな。もしマフィアが現れても、スーラの分身が非戦闘員を守ってくれるだろう。


 ホーキング達は俺達のことがかなり気になっているようだったけど、流石にここで聞くわけにもいかないと思ったらしく、大人しく帰った。

 明日にでも、きちんと説明しに行った方がいいかな。



「じゃあラミリアとミサキ、レンは俺と一緒に……いや、先に今日の宿だな。宿探しを頼む。ちなみに俺は出禁になってると思うから、俺の名前は出さないで、女性四人で泊まってくれ」


 俺とノーマンはガロンさんの家で良いだろうけど、さっきの様子だと四人は難しそうだ。

 なら宿を探さないといけない。俺がついて行くと問答無用で駄目だろうから、ここは三人に任せるしかない。


「町の宿に出禁て……シオンさん。それ大概やで。あとで詳しく聞かせてや」


「まぁそれは後で……あっ、お前達もスーラの分身を連れていけ。宿が決まったら、スーラの分身がガロンさんの店まで案内してくれると思うから」


「了解やで。ちなみにお薦めの宿ってあるん?」


「そうだな……荒波亭が安くてお薦めって聞いたぞ。ただ俺は行ってないから事実かどうかは分からん。ちなみに初日に潮風亭って宿には泊まったけど、そこは金額が高いだけで、そこまで質がよくなかったから他のところがいいぞ」


「なるほど、シオンさんはそこで出禁になるようなことをしたんやな……」


「違うつーの!」


「ははっ、冗談や。ほな、ちょっと行ってくるわ。レン、ラミやん行こうや」


「あっ良ければ私が町を案内しますよ」


 三人で行こうとするところに、カタリナが声をかける。三人は町のことを全く知らないから、カタリナが案内してくれると助かる。


「ホンマか! えっと……カタリナさんやっけ? ホンマ助かるわ。右も左も分からん町で宿探しは大変やと思ってたんや」


「カタリナでいいですよ。えーと、ミサキさんとレンさんとラミリアさんでしたよね?」


「ウチらも呼び捨てでええで。ほんでな……」


 カタリナを含めた四人は話ながら町中へ消えていった。……ほんの数分くらいだったけど、四人が来てからまるで嵐のようだったな。


 残ってるのは俺とガロン夫妻だけ。


「その……何て言うか、お前さんも大変そうだな」


 うう……ガロンさんの優しさが染みる。



 ――――


「じゃあ皆が帰ってくる前に料理でも作って待ってようか」


 俺とガロン夫妻は何事もなく無事に店に戻ってくることが出来た。

 まぁマフィアが町中を彷徨いてはいたが、帰るときは念のため、俺だけ透明になってたから絡まれることはなかった。


 まぁガロンさんには『見えないのに声だけ聞こえるのは恐怖だな』と怖がられてしまったが。

 しかし、この夫婦も肝が据わってるというか……随分と俺達に順応してきた。


「今日釣った魚はまだ残ってるから、あれ使って飯作ろう」


 ゼロが釣ったマグロは大量に残ってるし、他の人も結構大量に釣れていた。そういえば負けた罰としての命令権ってどうなったんだろう。このまま、なぁなぁで無くなってくれないかな。


「……で、その釣った魚はどこにあるんだ?」


 俺達は帰る時は手ぶらだった。気になるのは仕方ないだろう。


「ああ、裏口の冷蔵庫だよ」


 まぁ今は【物体交換】で元の場所に戻ってはいるから裏口にはないけどね。ただ、トオルからカードを預かっているので、俺がいつでも出すことが出来る。


 昨日、俺がトオルにブチギレた簡易アイテムボックスのようなシステム。あれからすぐにトオルは改良を加えた。

 具体的には冷蔵庫内を細かくグループに分ける。例えば魚はAグループ、貝はBグループのようにだ、そしてグループごとの袋を用意してその中に入れる。

 そして入れる時は投げ入れるのではなく、置くように入れるのがコツだ。

 前回は冷蔵庫の中央に投げ入れていただけだから、それだけでも随分と変わる。

 勿論まだまだ改善の余地はあるだろうが、応急処置としては十分だろう。


「どうやってあの中に入れたん……まぁいい。それよりも新しい料理はあるのか?」


 考えても詮無いと思ったんだろうな。それよりも料理の方が気になるらしい。


「……結構レパートリーが増えたくせに、まだ新しい料理が知りたいのか?」


「そりゃあ、あればあるに越したことはない」


 まぁそれが料理人の性かな。


「でもね、ガロンさん。ガロンさんは焼く、煮る、揚げるはもう知ってますよね?」


「ああ。煮るってのは煮つけ、揚げるってのはフライと天ぷらのことだろ? 焼くはまぁ焼き魚とかそういう意味でいいんだよな?」


「そうですね。正直料理ってのはその三種類の方法を知っていれば十分なんですよ。後は応用です」


 まぁ他にも蒸すや炒める、茹でるもあるけど、それも応用ってことでいいよね。


「応用か……」


「ええ。例えば揚げる。天ぷらとフライは衣揚げって言います。他にも素揚げやから揚げって方法もありますよ。焼くだってそうです。素焼き、塩焼き、照り焼き……かば焼きなんてのもあります。それを自分で見つけ出していくのは楽しいと思いますよ」


「大変そうだが……確かに面白そうだな」


「今回はその方向性を見つけるってことで、試してみましょう。えっと……マグロの量が多いので、マグロ料理をメインに作りましょう。生の刺身は先ほど食べたので、今度はカルパッチョと漬け。焼くのはマグロステーキ。揚げるのは竜田揚げ。煮るで角煮を作りましょう」


「お、おう。何を言ってるかさっぱり分からんが、まずは何をすればいいんだ?」


 ガロンさんは張り切ってるし、俺もこっちに来た四人の点数を上げれば怒られる可能性も減るかもしれない。よし、張り切って作るとするか!

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