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ロストカラーズ  作者: あすか
第五章 黄国内乱
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第166話 それぞれの情報を共有しよう

「なぁ。まだ話が続くようなら、ここじゃなくて戻って話さないか?」


 もう敵はいないんだし、いつまでも【トールの遺跡(ダンジョン)】にいる必要はない。


「いや。ちょっとしんどいかも知れないけど、このまま話そうよ。ここなら誰にも聞かれないし、城に帰って報告する前に、僕達の間でだけでもちゃんと状況を把握しないとね」


 下手に町に帰ると周りの目を気にしないといけないのか。城に帰ったらまた最初から説明しないといけないし……そういうことなら仕方ないか。



 ――――


「じゃあまず、それぞれが別れてからの話を聞こうか。サクラくんから簡単にお願いするよ」


「私から? 私は特にないわよ。ケインと戦っていた所にあの女がやって来たのよ。その後でケインにその……英霊って言うの? それをケインに無理矢理入れたのよね。その後知らない男……ディランだっけ? 彼がやって来て、そのすぐ後に貴方達がやって来たのよね。正直意味分かんないって感じだったわよ」


 まぁケインと姉さんは今回の決戦ではほぼ二人だけの世界って感じだったからな。興を削がれた感じだろう。


「僕とアイラは、トオルさんがシオンの助けに行った後、プラナから話を聞いたんだ。聞いた内容はさっきトオルさんが話した内容だよ。その後デューテの英霊がやられたのを知ったプラナが、ケインだけは回収しようと僕達から離れたんだ。急いで追いかけたかったんだけど、クロムとディランが立ちはだかって……何とかクロムを倒したところでトオルさんが戻って来たんだ」


「アイラくんのお陰で状況は把握してたからね。SSランク冒険者まで現れたって聞こえて慌てて戻ったんだよ」


 そうか。気になることがあるって急いで戻ってたけど、そんな理由があったんだ。


「クロムくんが死んだからか、僕が来て形勢が若干不利だと思ったのか。はたまたケインの中にミカエルが入ったのを知ったからかは分からない。けど、僕が合流した後すぐにディランくんはプラナくんの元に向かったんだ」


「急いで追いかけたんだけど……追いついた場所で、プラナとディランは既に天使化していたんだ」


「あれね。本当に驚いたわよ。いきなり知らない男の人が入って来たかと思ったら、二人で白い翼が生えるんだもの」


 何も知らない姉さんが驚く様が思い浮かぶ。

『ちょ、ちょっと! どういうことよ!?』とか言ってそうだ。


「それでサクラくんと合流してケインくんを助けようと思ったんだけど、彼女――もう天使の格好をしていたからガブリエルって呼ぶね。ガブリエルの魔法で動かなくなってね。かなり魔力を消費しちゃってたからね。全力を出せば動けたかもしれないけど、そこで使い果たすのもどうかと思って……どうしようもなかったよ」


 やっぱり魔力を消費していたトオルじゃ厳しかったか。まぁ俺もスーラに助けてもらわないと動けなかったしな。


「僕は立ってることすら出来なかったよ」


 リュートとアイラでは修行してもまだ魔力が足らなかったか。


「だからシオンくんが来るまで待ってようと思って、色々と話を聞くことにしたんだ」


「だから積極的に話しかけてたのね。いつもの好奇心かと思ってこんな時に! って内心凄く腹を立てちゃったわよ」


「流石に僕も状況はわきまえるよ。まぁ好奇心が無かったとも言えないけど……」


「アンタらしいわね」


「話を戻すよ。そこで聞いたのが彼女がガブリエルということ。それからウリエルとミカエルの名前だった」


 そこで初めて彼女らの正体が分かったって訳だ。


「そこで僕はラファエルはいないのかい? って聞いたんだ。そしたら向こうは凄く驚いてね。『どうして貴方がその名前を?』って……」


「まぁ四大天使って有名だからな。俺だってもう一人は? って思っちゃうよ」


「でもそしたら『あの人はここには来ていません』って口を滑らしてね。だから最低でもラファエルは降臨済みみたいだよ」


 あんな天使が最低後一人はいるのか……最悪だな。


「まぁそんな話をしていると、シオンくんの間抜けな声が聞こえてね。サクラくんが急いで呼んだんだよ」


「こっちが大慌てしてるって時に『どこぉ?』だものふざけてるにも程があるわ」


 ふざけてるなんて人聞きの悪い。


「いやいや。元の場所に居なかったら何処って探すのは当たり前でしょ!」


「という訳で大体は説明したと思うけど……皆は大体の状況は把握できたかな?」


 俺の突っ込みは総スルーらしい。


「まぁ大体は……」


 情報量が多すぎてイマイチ完ぺきではないんだろう。全員が複雑な表情をしている。


「とりあえず今はそれでいいよ。城でも皆に説明することになるだろうし、分からないことがあったらそれまでに考えといてね。じゃあ次はラミリアくんお願い」


 そっか。まだラミリアの話を聞いてなかったな。ラミリアはホリンが来てエキドナと別れた後に何かあったのか?



 ――――


「エキドナ様とホリンが行かれた後、私はヒカリさんに魔力回復ポーションを頂くために、一旦城へと戻りました。まぁ結果として間に合いませんでしたが」


 いやいや。俺達のピンチに何が足りないかを察してすぐに準備をしてくれる。それだけで大したものだ。それに今回はエリクサーの準備をしても、魔力回復ポーションの準備をしなかった俺達に落ち度がある。

 というよりも、今まで魔力回復ポーションを携帯する習慣がなかったからだが。今後は何かあったときのために、最低一つは携帯した方がいいかもしれないな。……でもヒカリに負担が掛かるから、何とか自作できる方法を考えないとな。


「私はヒカリさんに魔力回復ポーションとキューブを借りて、キャンピングカーまで転移することにしました」


「キューブも借りたのか?」


「ええ。もし相手が強力な場合、トオル様の魔法で透明になって潜入したかったのです」


 なるほど。相変わらずキューブは便利だな。


「そしてキャンピングカーまで転移した私は、ここに来る前にウェイバリーへと向かったのです」


「はっ? 何で?」


 ウェイバリーに行くなんて話、今までの間になかったよな?


「一つは転移の登録のためにです。シオンさん達は直接ここまで来たんですよね?」


「あ、ああ。ウェイバリーで決戦じゃなくてこの遺跡(ダンジョン)で決戦なら目立つキャンピングカーでウェイバリーに行く必要はないもんな」


「恐らくそうだろうと思いました。そして仮に敵がここから逃げ出した場合、ウェイバリーに行く可能性が高いと思い、念のため登録に行きました」


 ここから敵が出た場合……か。色々な可能性を考えて行動する。おそらく以前のラミリアならそこまで考えなかったはずだ。ヴァスキの件があったから……ラミリアも成長したんだな。


「そうしたらウェイバリーは大騒ぎになっていました」


「大騒ぎ? 何かあったのか?」


「領主が行方知らずになったらしいのです」


「……領主って、女王の叔父だったっけ? 確か過激派の黒幕の一人だよな」


「ええ。それで今回の決戦に関係があるかと思い少し調べてみました。すると屋敷がすっかりもぬけの殻。まるで最初から誰も住んでいなかったかのように人はおろか物まで全て無くなってました」


「物まで? ……何もかも?」


「ええ。小物程度ならともかく、ベッドやクローゼットなどあらゆるものが無くなってました」


 うーん。勝ち目が無くなって夜逃げするにしては、おかしすぎるな。逃げるなら出来るだけ身軽な方が良いはずだ。どれだけケチでもベッドやクローゼットまでは持ち去るはずがない。


「証拠隠滅……かな?」


「ええ。私もそう思います」


 トオルとラミリアの二人はその状況だけで何か気づいたようだ。証拠隠滅? 何のだ? 領主を誰か殺したのか?


「ええい! 何を二人だけで分かっておるのじゃ! 妾にも分かるように説明せい!」


 本当エキドナの言う通り早く説明してほしいものだ。


「さっきプラナくんは洗脳で相手を眷属に出来るって話はしたよね」


「そうじゃの。確かにしとった」


「要はその眷属って……殆どが過激派に属してるんじゃないかと思うんだ。僕は今回の過激派の争いも全てプラナくんが仕組んだんじゃないかなって思えるんだ」


「……何でそんな話になるんだ?」


 順番的には過激派が暗躍し始めて、ケイン達を勧誘したんだろ?


「そういえば……過激派との交渉は基本的にはプラナがやってたよ」


 デューテが思い出したように呟く。


「過激派と取引してたのはケインじゃないのか?」


「今回の決戦を始めるって言いだしたのはケインだけどね。でも普段の話し合いとかは全部プラナがやってたんだよ」


「【聖女】なら貴族や大物の診断することもあるだろうし【時の咆哮】戦で兵士達の怪我も治したんでしょ。過激派の主要メンバーを眷属化することは簡単じゃないかな」


「……何でそんなことしたんだ?」


「ケインくんにケガさせて早くミカエルの魔力を馴染ませたかったんでしょ。普通に冒険者してたら怪我なんかしなかったみたいだしね。人間同士の争いなら怪我するとでも思ったんじゃない?」


「そんなことで今回の内乱を引き起こしたのか?」


「だって彼女は数年間ずっとこれを目的に活動してたんだよ。時間かかっても確実に器を手に入れるために……」


「……それで証拠隠滅ってのは?」


「簡単だよ。プラナくんに繋がるものは全て消し去ったんでしょ。もしくは眷属として一緒に逃げたのか……まぁこの国の貴族なんか必要ないだろうから処分したって感じだろうけどね」


「自分の手がかりを一切無くすため?」


「そう考えるのが妥当じゃない? もし生き残って捕まったら、洗脳の魔法の秘密とかバレちゃうかもしれない。屋敷に滞在したことがあるなら、残った物から思念を読み取れる人がいるかもしれない。流石に建物を消去すると見つかるのが早くなるから中身だけみたいだけどね」


「そこまでして隠したい秘密って何なんだよ……」


「それが分かれば苦労はしないよ。でも……例えば故郷のことや、仲間のこと。もしかしたら英霊のことを話していたかもしれない。憶測だけじゃ分からないよ」


 確かに今の証拠隠滅って話もただの想像に過ぎないか。


「まぁ今回のことで器は回収できたし、彼女はこの国にはもう戻ってこないかもね」


「プラナは結局どこに逃げたんだ?」


「間違いなく彼女の故郷だろうけど……」


「どこかは分からないんだろ?」


「予想は出来てるけどね。まず間違いないと思うよ」


「どこだ?」


「白の国……聖教国だよ」

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