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ロストカラーズ  作者: あすか
第五章 黄国内乱
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第160話 応援を呼ぼう

 出来るだけ早くデューテに憑りついた悪霊(トール)を引き剥がす。

 その為にはどうすればいいか?


 まず現状デューテの体はどうなっているか? を考えないといけない。

 トールの話からするとデューテの精神……とでも言えばいいか。とにかくデューテ自身はまだ生きていて体の中にいるらしい。


 いつものようにゲーム脳で考えれば、要はデューテは憑依というステータス異常になっていると考えていいだろう。

 ステータス異常となれば話は簡単だ。俺の魔法、毒魔法は人体に影響を及ぼす全てを排除することが出来る。この間のラミリアの洗脳を解除したときと似たような感じだな。


 という訳で、デューテの体内からトールを排除することも可能の筈だ。

 ただ、それにはデューテの精神が体内に残っている必要がある。


 もしデューテが完全にいなくなって、トールが完全に体を支配すれば、それが正常の状態と認識してしまう。そうなるともう俺の魔法でも治せない。


 タイムリミットまではトールが言った約一時間。デューテの体が変形するまでだ。だからこそ急がなくてはならない。


 では、次にどうやってその魔法をデューテに使うか? を考えなくてはならない。一番確実なのは、ラミリアの時と同様に直接体に触れて魔法を流し込むことだ。


 だが、今回は前回と違い、そう簡単にはいかない。

 魔法を使おうすると流石にトールは黙っていないだろう。

 トールの抵抗を掻い潜って近づけたとしても、先ほどのように雷に弾かれてしまうに違いない。


 となれば、残された選択肢は遠距離から状態異常回復の魔法を唱えるしかない。ただし、勿論それもトールが大人しく受けてくれるはずがない。


 相手は完全ではないにしても伝説上の存在だ。

 現時点で俺と魔力は殆ど五分。この後もどんどん強くなっていくはずだ。


 ……倒すだけならともかく、助けるとなると、どう考えても俺一人では無理だ。無理に一人で頑張って、デューテの命を危険にさらす訳にはいかない。よし、応援を呼ぼう!


 俺は素早くケータイを取り出す。


 幸いトールは何もしてこない。相手は完全体になるまで待つつもりだろうから、無理に向こうから攻撃する必要がないのだ。


 ラミリアに連絡すれば今ならエキドナがそばにいる。くそっこんなに事になるなら初めから連れてくればよかった。ってこんな状態考えられるか!!


 連絡さえつけば、転移でキャンピングカーまで来ることが出来る。キャンピングカーからなら数分で辿り着くはずだ、なら充分間に合う。


 俺はトールから視線は逸らさないようにしつつ、通話する……が、応答がない。というか相手に届いてない!?

 何でだ! ……まさかこの電磁波の影響で……って、日本と違って、魔法結晶で作動してるから電波は関係ないんじゃ?


 いや、待てよ。確か過去にも一度ケータイが繋がらない時があった。

 あれは赤の国の王都だった。その時の理由がヘンリー……じゃなくて、ゼロが張った結界のせいで、外と連絡が取れなかったんだ。


 ってことは今は電磁波じゃなく、この遺跡(ダンジョン)の結界に阻まれてケータイが使えないのか。……どうする?

 向こうから攻撃はしないし、大人しくはあるが、流石に結界の外に出るのはトールが許可してくれないだろう。もしくは俺が結界の外に出ている内に他の仲間に危害が……やはり目を離すことは出来ない。


 何とか結界の外に連絡が……そうだっ!? 念話! 俺はさっき外にいるホリンと話したよな。

 ホリンとの念話はケータイと同じ原理のはずだが、声じゃなくて念話だから通じたのか? それともすぐ外だから距離的な問題か? どっちでもいい。とにかくホリンに連絡だ。


(ホリン! ホリン聞こえるか?)


《マスター!! どうされましたか?》


 よしっ! 通じた。後はホリンにラミリアと連絡してもらえば……。


(ホリン。緊急事態が発生した。今すぐ応援が必要だ。ラミリアに連絡して、エキドナがいるようなら応援に来てくれるように言ってくれ!)


 するとホリンは動揺したように息を飲む。どうしたんだ?


《マスター。私が長距離連絡出来るのは、マスターとキャンピングカーにしか出来ません》


 し、しまったぁ。そうだった。ホリンはケータイじゃなくて、首輪に付けている魔法結晶で俺と通話をしている。その為、俺と直通か、運転中や映像出力対応でキャンピングカーとしか繋がってない。


 こうなったらホリンに呼びに行かせるか? いや、ラミリアがいるのはキンバリーだ。ウェイバリーならともかく、キンバリーまで行って帰ってくるのに、ホリンが全速力で飛ばしても片道一時間は掛かる。

 往復二時間。どうあがいても間に合わない。


《マスター。急いでラミリア様のところまで行ってきます!》


 俺の葛藤を知ってか知らずかホリンはそう宣言する。


(無理だ! 時間がない。いくらホリンでも、一時間でラミリアを連れて帰れないだろ!)


《一時間……十分です!》

(ホリン!)


 駄目だ。念話が切れた。きっと急いでキンバリーへと向かったんだろう。

 そして、ホリンのことだ。例えどんな無茶なことをしてでも必ず時間内に連れてくるだろう。


 無茶なことさせてすまないが……ホリン。頼んだぞ。



「どうした? さっきから黙りこんで。我をこの体から追い出すのではなかったのか?」


 俺がずっと……といってもほんの二、三分だが、黙っていたのを不審に思ったのだろう。


「……そう慌てるな。今作戦を考えてるんだ。そっちこそ邪魔してもいいんだぞ?」


 とりあえず挑発は基本だ。相手から攻撃してくれれば隙も出来る。


「ふん、人間の考えなぞ邪魔するまでもないわ。それに我は時が経つのを待てばよいだけだ。我が完全体になれば、その時は相手をしてやろう」


 挑発には乗ってこないか。やはり向こうから攻撃する意思はないようだ。万が一に備えて防御に徹する気だろう。


 こちらとしては、とりあえず、ホリンを信じてギリギリまで待つ。

 ただ何もせずに待つわけではない。少しでも相手の情報……技や魔法、癖などを見つけいつでも倒せる準備をする。

 そしてもし間に合わない時はその情報を元に攻撃を仕掛ける。


 ……とりあえずはだ。すぐ来てくれる援軍を呼ぼう。


「トオルっ!! 集合!!」


 俺は部屋の中に聞こえるように大声を出す。これであっちが余程ヤバくない限り、すぐにこっちに来てくれるはずだ。


「ぬっ? 集合? 我ならここにいるが?」


 目の前でトールが戸惑っている。……さてはコイツ、自分が呼ばれたと勘違いしたな。


「何寝ぼけたことを言ってる。お前を呼んだんじゃねーよ! バーカ」


 俺は答えながら試しに【毒射】を放つ。【毒射】はトールに届かず目の前でバチっと弾けてなくなる。くそっ防御魔法か。


「ふん、そんな攻撃では我に届きすらせぬぞ」


 恐らくトールの周囲に雷の防御魔法が張られてある。何か行動したわけではないから自動発動なんだろう。


 ってことは、まずはこの防御魔法を破らないといけないな。ホリンが帰って来た時に防御魔法すら破れてないと困る。


 うーん。今の【毒射】を見ると、【毒矢】か【毒彈】も似たようなものだろう。勿論【毒の霧】や【毒の雨】も効かないだろう。


 本当は【毒の霧】に【魔力無効】を付与して相手の雷を封じるのがてっとり早い。

 が、それを通用するまで威力を上げるには俺の魔力を殆ど使わないと駄目だろう。


 デューテに解呪の魔法を唱える。恐らくその魔法に俺の現魔力の八割くらい消費するはずだ。だとすると現時点で使える魔力は二割程度。


 節約するためには【毒の霧】はおろか、【絶対防御】すら控える必要がある。


 現状は殆ど魔力を使わない【毒射】や【毒矢】を使用するしかない。が、それも防御魔法を突破するにはある程度魔力を消費する。

 魔力の消費を抑えて威力を上げる……。


(スーラ。まずは相手の防御魔法を破る。俺はあまり魔力を使いたくないから協力してくれ)


《分かったの!》


 スーラとの合体技なら【毒矢】や【毒射】に使う魔力はそのままで威力は強くなる。


 スーラは早速二つに分裂して俺の両手に巻き付く。


 俺はその状態で【毒矢】を唱える。相手が攻撃してこないなら、発動に少し時間がかかっても、貫通力のある【毒矢】が一番威力が増す。


 スーラにより強化された【毒矢】は一直線にトールへと向かう。


「ほぅ!」


 流石に先程の攻撃よりも強いと理解したのかトールから簡単の声が上がる。

 だが特に何もしなかった。破られない自信でもあるのだろうか? いつまでその余裕の顔をしていられるかな?


 強化された【毒矢】は先程【毒射】が消滅した場所で同じようにバチっと音を立てるが、先程のようには負けず、無事防御魔法を貫通する。


「なにっ!?」


 そこで初めてトールの驚きの表情になる。ったく、俺とスーラの合体魔法を舐めすぎだ。


 トールは慌てて右手を前に……まさかそれで防ぐ気か!?


 【毒矢】はそのままトールの右手に直撃。その威力により右手から肘の辺りまでが一瞬にして消し飛んだ。


「むっ!」


 何かに気が付いたトールはすぐさま残った右腕部分。肩から肘の部分までを雷を纏った左手で切り落とす。

 【毒矢】に仕込まれたマヒ毒に気がついたみたいだ。やっぱりそう簡単にはいかないか。


 それにしても……ヤベーな。

 あの体はデューテのだから、戻ったときに右腕がないと……トールを追い出したら、意識が戻る前にエリクサーで治さないと。


「よもや我が【雷纏】(らいてん)を撃ち破るとは思わなかったぞ」


 らいてん……【雷纏】(らいてん)か? 恐らくさっきの防御魔法のことだろう。なるほど、確かに雷を纏っているな。


「片腕を失ったわりには随分と余裕じゃないか? いくら【雷神】トールといえども片腕を失ったらヤバイんじゃないのか?」


「ふん、こんなものは一瞬で……ほれっ、この通りどうとでもなる」


 トールの右腕があった部分に雷が集まったかと思えば……次の瞬間、切り落とした部分からすっかり元通りになっていた。

 おいっ! 雷で部位欠損を治すとか聞いたことねーぞ!! デューテの体に傷がつかなかったのはいいが……これ本当にどうすんの?

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